リモートワーク下でも「ユーザーの声」をオープンに共有できるユーザーインタビュー環境を構築してみた
NewsPicksでUIデザイナーをしております。つづく(ひらい) ともこと申します
私が所属しているNewsPicksではプロダクトやコンテンツの改善を目的としたユーザーインタビューを実施しております。
コロナ禍前までは、NewsPicksユーザーにオフィス等にお集まりいただいて、みなさまの声をダイレクトにお伺いできるような機会があったのですが、
そういったオフラインでお会いする機会が設けづらいご時世ということもあり、ユーザーインタビュー=オンラインでの実施というのが弊社でもスタンダードになっています。
時間や場所を問わずにお話できるという点はオンラインでユーザーインタビューを実施するメリットだなと思う反面、以下のような課題感もありました。
(会社によっては)モニタールームなどでインタビュー実施状況をリアルタイムで観察できる環境が構築されていたが、オンラインだと難しい
またNewsPicksでのインタビュー実施状況として下記の2点も課題もありました。
組織内でインタビュー実施状況が共有されてないことにより、インタビューしているユーザーやユーザー層が重複しているケースがある
各部署やチームレベルでユーザーインタビューの実施状況やノウハウが閉じてしまっており、その結果、せっかくインタビューにより得られたインサイトが組織内で伝播されづらい
ユーザーの個人情報などを除き、基本的にはユーザーの行動、考え、意見などは、どんな役割のメンバーであっても把握できるとプロダクト開発に反映できる点も多いと思い、
「オンライン実施だけどナレッジやノウハウが閉じないユーザーインタビュー環境の構築」をNewsPicksのプロダクトデザイナーを中心に検討していきました!
その中で「これは有効だったので今後も継続していきたい」というTIPSをご紹介していきます!
使用するツール
Googleカレンダー
Google Meet
Slack
ハドル機能
インタビュー実施前にやること編
1.Googleカレンダーで共有カレンダーを作成
「インタビューの予定日を確保するぞ!」となった場合、通常であればインタビュー実施メンバー内でのみ予定の共有が行われるとおもいます。
そうすると「どのチームがどの期間にどのくらいの人数を対象としてどんなインタビューを計画している」かの情報が当事者内に閉じてしまいます。
よく、組織内で「誰がどの期間におやすみ予定なのか」や「組織全体での大事なお知らせ(書類提出締切日など)」を共有するための共有カレンダーが設けられていることも多いかと思いますが、まさにそれと同様の仕組みでインタビュー実施日を共有するための「NPユーザーリサーチ」という共有カレンダーを設定しました。
(ちなみに“NP”というのはNewsPicksの略で、今後もよく出てきます!w)
作成方法などの細かい手順はこちらを参照してください
他のユーザーとカレンダーを共有する
2.共有カレンダーを開催主催者にしてインタビュー日程を登録
1の手順で「NPユーザーリサーチ」という共有カレンダーを作成しました。
そしてインタビュー実施日の予定をおさえる際は自分のアカウント名義で予定を作成するのではなく、「NPユーザーリサーチ」名義に切り替えて、予定をおさえるのがポイントです!
そうすることで、予定に招待されたメンバー以外でも、この「NPユーザーリサーチ」をマイカレンダーから参照できるようになっていれば、インタビュー実施の予定を確認することができます。
3.登録されたインタビュー予定がSlackのインタビューチャンネルに通知されるように連携
リモートワークが基本なNewsPicksではオープンなSlackチャンネルが多くあり、Slackでの情報キャッチアップが浸透しているので、インタビューの実施状況を共有するためのスペースとして「#np-user-research-interviewroom」というSlackチャンネルを作成しました。
チャンネルを作ったら、インタビュー実施メンバーだけでなく、プロダクト開発に関わる人や、インタビュー実施に興味関心がある人を中心にこの部屋の存在をどんどんシェアしていきましょう!
1、2の手順でインタビュー予定をおさえたら、インタビュー実施日が「#np-user-research-interviewroom」チャンネルに通知されるように連携していきます。
連携方法に関してはこちらを参照してください。
Slack 向け Google Calendar for Team Events
4.インタビュー開始数分前にSlackのインタビュールームチャンネルに通知がくるように設定
3の手順で、「#np-user-research-interviewroom」チャンネルにいるメンバーにはインタビューの予定があることを共有できますが、さらにインタビュー当日にも開始直前でリマインド通知されるように設定しました!
なんでそこまで手厚くリマインドするのかは「インタビュー実施中にやること編」で説明していきます。
インタビュー実施中にやること編
1.インタビュー日通知のスレッドにインタビュー関連情報を投稿
「インタビュー実践前にやること編」の3の工程でリマインド通知された投稿のスレッドに、本日のインタビュアーや書記、インタビューの質問項目とインタビュイーが発話した内容を書き入れていく「インタビューシート」の共有リンクなどを投稿します。
(ちなみにインタビューシートはFigjamで作成していました。)
そうすることで実際にインタビューに同席しない人でも、「これから誰がどんなユーザーに何のインタビューを実施するのか」について把握することができますし、実施したログとしても残ります。
2.インタビューのGoogleMeetに同席する社員は最小限に
デプスインタビューの場合、インタビューに同席する社員は多くても3名までにしていました。
インタビューに同席する社員数が多いと、インタビュイー側にとって「正直に言いづらい」などの心理的ハードルが上がってしまう懸念もあるため、「見学目的でユーザーインタビューの様子を視聴したい!」という場合は3の手段で視聴してもらうようにしました。
インタビューに同席する3名は下記の役割を担っていました。
流れとしては、インタビューが開始したら、実施にあたっての諸々の説明をする流れで「社内での知見共有を目的としたインタビューの録画、共有の許可」をインタビュイーに確認します。
許可いただけたタイミングで書記①がインタビューの録画を開始します。
そして書記②もインタビュー実施のリアルタイム中継を目的として、Slackのハドルミーティング機能を使います。
3.インタビュー見学者はSlackのインタビュールームチャンネルにてハドルミーティングを視聴する
「インタビュー実施の様子を見学したい」という社員は「#np-user-research-interviewroom」内でハドルミーティングに参加することで、リアルタイムでインタビューを視聴してもらいました。
4.インタビュー中に「インタビュイーに聞きたいこと」があれば対象のスレッドに投稿
基本的にはインタビュアーがインタビューの流れをファシリテーションしていきますが、時間が余るなどの状況があれば、インタビュー通知のスレッド上で見学者からの質問を募り、インタビュアーを介して追加で質問していくこともありました。
なのでインタビュアーはインタビューの後半に差し掛かったら意識的に対象スレッドの方も確認しておくようにします。
インタビュー実施後にやること編
1.対象スレッドにインタビュー録画を投稿
個人情報の取り扱いを気をつけつつ、インタビュー実施の録画を、インタビュー通知のスレッド上に投稿します。
リアルタイムでのインタビュー見学ができなかった人がいる場合は録画を確認してもらえばOKですし、ログとしても残ります。
1スレッド上に情報を一元化するというのが大切です。
2.インタビュー実施後の調査結果資料があればSlackのインタビュールームチャンネルにシェア
一定数のユーザーインタビューが実施終了したタイミングでKJ法やKA法などでインタビュー結果をまとめた場合はそのドキュメントもSlackのインタビュールームチャンネルで共有すると、インタビューのナレッジを伝播できます。
その他おすすめのツール
「ユーザーインタビュー実施するぞ!」という時に意外とハードルが高いのがインタビュイー候補者との日程調整だったりします。
メールなどで「この日のこの時間あいてます!」というやり取りを複数人と行うのは単純に時間ががかかりますし、ダブルブッキングしてしまうなどのミスも発生しやすくなります。
個人的には今回初めて「Calendly」というサービスを使用しました。
インタビュー主催者の予定の中で空いている時間を登録して、インタビュイー宛に共有したら、空き時間の中からインタビュイーの都合がつく時間を1枠選択してもらうだけで、インタビュー主催者とインタビュイー側の双方のGoogleカレンダー上に自動的に予定が作成されます。
埋まった枠は空き時間予定から消えるので、ダブルブッキングしてしまうこともありません。
Googleカレンダーの「予約スケジュール」機能でも代替できそうなので、今後はそちらも検討予定ですが、トラブルが起きがちな日程調整まわりはこういったサービスや機能を使っていくこともおすすめです。
まとめ
今回はTIPS集になってしまったので具体的な手段の話が多めでしたが、改めてこの環境構築を検討し、トライした理由として「ユーザーの声やそこで得られた学びを閉じない環境にする」というのがとても大事だと思っています。
プロダクト開発に関わる人であれば誰しも1度は「ユーザーの声を聞いてみたい!」と思うタイミングがあるのではないでしょうか?
実際にユーザーの声を聞くことが今後のプロダクト開発にとって刺激となることも多いので、ユーザーインタビューの取り組みを組織内でオープンにしていく文化づくりのために継続して色々なトライをしております。
そんなNewsPicksで働くプロダクト開発メンバーの話を聞いてみたい!という方がいらっしゃいましたらぜひいつでもお声がけください!
お話ししましょう!!
そして変わらずNewsPicksではプロダクトデザイナー鋭意募集中でございますので、こちらもお声がけお待ちしております!
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?