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【エッセイ】この服、ここで買いました

好きなお洋服のブランドがある。
ブランド、と言ってもハイブランドみたいな誰もが知っている高級で有名なものではなくて。ルミネとかでも買えるくらいの、女子大生なら1度は着たことあるかな、みたいなそんな感じのお店。

3つくらい好きなお店があって、私の持っている服やカバンのうちお気に入りほとんどそこで買っている。

洋服の中でも1軍と2軍があったりする。1軍はお出かけや旅行用。2軍は地元でお買い物したりレッスンに行ったり、バイトに行く用。明確に使い分けているわけではないけれど無意識にある。
その1軍を買うのがお気に入りのブランド。

最近もその1軍を身にまとい、買い物をしていた。目的はダウンコート。

元々白いダウンを持ってたんだけど、袖口がすごく汚れていることに気づいてしまって。気づいたらそれを着ていることがすごい恥ずかしくなって思わず次のゴミの日に捨ててしまったの。1月の上旬なのに。
まだまだ寒くなるこれからをダウン無しで越すのはさすがに無理だと思い、とにかくいち早く新しいものを手に入れたかった。

好きなブランドの店舗を見つけて入ろうとする。
その時に気づく。
そう、そこのブランドのワンシーズン前のカーディガンと、ノベルティでもらったバッグを持っていたのだ。数年前のものならまだしも、最近売っていたものすぎて店員さんにはすぐに気づかれるだろう。

そのお店のものを着て買い物をするのが本当に苦手。そもそも、お洋服などを見ている時に店員さんが話しかけてくるのが苦手だ。実は人見知りで、会話モードのスイッチを入れないと話せない性格なのだ。お買い物は完全にオフモードなので、店員さんから声をかけられると挙動不審になる。
ましてや、そのお店のものを身に付けての買い物。きっとこの人は買うだろうと思われるのも気まずい。それに店員さんから「うちのですよね?いつもありがとうございます!」って言われるのもきまずい。
いっそ顔が覚えられるくらいの常連ならまだいいけれど、服でわかる程度の距離感が1番居心地が悪いのだ。

しかし、ダウンはどうしても今欲しい。
ここのお店のダウンは可愛い。見るしかない。

意を決して入店。不運にも今日は平日の昼頃。店内に客は私しかいない。目当てのダウンを少し見たところですぐに店員さんがやってくる。
「それ、可愛いですよね〜!もしかしてうちのカーディガンとバッグですか?」
この時点でかなり緊張気味の私。それなのにこういう時ってなぜか余計なこと言っちゃうんだよなあ。
「すごい気に入ってて使ってるんです!」
「最近寒いのにダウン捨てちゃって〜今ダウンほしくて〜」
緊張のあまり全部言っちゃう。そんな様子を見て店員さんも多分私が緊張するタイプの人間だとは到底思わないのだろう。どんどん話しかけてくる。
ここでクールに「自分で見ますので」みたいな顔ができたらいいんだけどな。結局スイッチをオンにしてしまう。

ダウンは気に入ったので買った。購入する時レジでまで店員さんとかなり話してしまった。
気まずいけれど、商品を褒めた時の店員さんが嬉しそうで可愛かった。まあ、今回はプラマイプラスかな。

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