浅草に孤独のグルメの豆かん食べに行ったら帰りの寿司屋でとんでもない体験をしてしまった話
人は本当にトラウマになった事はすぐに人には話せない。
ある事件から一年たち。
やっとトラウマが消化できそうなので記事にしてみます。
私は「孤独のグルメ」というマンガが大好きだ。
その中でも「豆かん」の話が特に好きだ。
主人公のゴローちゃんが
一番うまそうに食べてるのは豆かんだと思っている。
その豆かんの元となっているお店は、浅草の梅むらさん。
首都圏に住んでいると、
意外と観光地である浅草には行かないものだ。
何年も行きたい店リストに入れていたが、
去年のGW、浅草に行く用事があり、についに来訪した。
GWなので混んでいるかとおもいきや、
梅むらさんは観光のメイン通りからは一本離れた道にある。
開店時間はのんびりで、たしか11時だったか。
開店ジャストに行ったところ、
女性二人連れが並んでいるだけで、無事に入店できた。
みつ豆も美味しそうだったが、ここはあの豆かんを注文。
マンガの豆かんの表現と寸分たがわず、
いや、もっと豆が輝いていた。
豆がしっとりとほの甘く、本当に美味しい豆かんだった。
まあ豆かんという食べ物自体がシンプルで素朴な食べ物なので、
このためにだけ、に浅草に来る…ことはないかもしれない。
だが、また用事で浅草に来ることがあれば、
その時は絶対に立ち寄りたい。
そんな、落ち着いたステキなお店だった。
この日、私(とパートナー)は、
とにかく豆かんを食べたかったので、
朝も昼も食べずに、空腹で梅むらを訪れた。
孤独のグルメのゴローちゃんと同じく、
本来なら腹に何かいれて、デザートに豆かんを楽しみたかったが、
ゴローちゃんと同じくお昼が後になってしまうのも
ある意味「孤独のグルメ体験」であろう。
豆かんを食べた後、適当に浅草をぶらぶらして、
並ばず席に着ける所で食べようと思っていた。
豆かんを食べてちょうどお昼12時。
GWなので、仲見世通り近くの店はどこもいっぱいだった。
ブラブラと少し歩いて、裏通りっぽい所へ。
ランチの呼び込みをしている店があった。
「寿司屋の極上海鮮丼 サービスタイム 半額1500円!」
普段、私は呼び込みしている店には入らない。
なんか怖いし、美味しきゃ自然に席が埋まるだろう。
逆に、呼び込みをしているということは、すぐ座れる。
海鮮丼1500円…観光地にしては安いかな?
と思い、私たちはその寿司屋に入った。
入ってすぐ、その店は異様だった。
「何やってんだ馬鹿野郎!!そんなこともできねぇのか!」
ヤク漬けになった海老蔵さんというか、
ヤクザになった海老蔵さんというか、
いかにもカタギ脱してますという大将の風貌。そして怒鳴り声。
厨房にいる若い職人さんを、とにかく怒鳴り散らかしている。
「あ、いらっしゃい!こちらの席どうぞ~(ニッコリ)」
私たちに気づくと愛想笑いで声をかけてくれたが、
うん…
いや、これ、
孤独のグルメの
「大山のハンバーグランチ」の回、そのものじゃん。
…帰りたい。。。
神様。
私は孤独のグルメ体験したかったけど、
こういうのは、いらないんですよ・・・
大将は、外で呼び込みしていた女性アルバイトにも怒鳴る。
「おい!!もうランチの時間終わるんだから!
いつまでもチンタラ呼び込みしてんじゃねえよ!!」
…う。うちら、入っちゃまずかったのか?
が、さすがに客には怒鳴らないようで
「ランチの海鮮丼でいいですか?(ニッコリ)」といわれ、
もう小さな声で「はい…」というしかない。
座ったところで、Googleマップで店を見ようと思ったが、
…なんと!Googleマップにこの店の情報は載っていない。
(※今このブログを書く段になって、
Yahooマップには乗っていることを発見!!★1.8wwww
おそらく、Googleでも★1になって消したと思われる)
地図にも乗ってない。めちゃくちゃ不安になってきた。
パートナーも緊張して何もしゃべらないw
周りを見ると、カウンターの奥に
「大将は妻帯者です。顔がいいですが好きにならないでください」
との張り紙。
え???ギャグ…かな??
なんだろう、怖くて笑えない。てゆうか、マジ怖い。
また、隣の席にはいかにも常連さんらしい客がいて、
刺身をツマミに大将と楽しそうに話しながら酒を飲んでいる。
あれ?
おしゃべりばっかりして海鮮丼は誰がつくっているの?
というと、
年配のパートらしき女性がもたもたとした手つきで作っている。
(自分も寿司屋でバイトしたことがあり、こういう古めかしい寿司屋では
女性の職人を雇わないので、ただのパートと推測。)
ああ、いちげんの客には自分で作らないのね…
常連さんとのおしゃべり、大事だもんね。
ネタはバットに切ってあるっぽかったので、並べるだけのはずだが、
モタモタしている。20分は経っただろうか。
早く帰りたいこともあいまって、長い長い時間が過ぎたように感じた。
そして悲劇は起きた。
「お待ちどうさま~」
パートのおばさんは、カウンターの奥から
両手に海鮮丼をもって、
片手で丼を配膳しようとした。
ツルッっ!
おばさんは足を滑らせた。
その時、私の眼にはマトリックスのように
コハダやトビッコたちが宙を舞うのが
はっきりと見えた。
ドシャーン!!ベチャ!
二人分の海鮮丼は厨房の床に見事に飛び散った!
「バーーーーッキャロウ!!!!!!!何やってんだこのグズ!
だから何やらせてもダメなんだテメエは!さっさと作り直せ!」
「…はい」とうつろな目で答えるオバちゃん。
「バカっ!拾ってんじゃねぇそんなもん!馬鹿ッ!
飯もどんぶりに入れなおすとこからだ!早くヤレっ!!!!」
オバちゃんは毎日毎日、毎日毎日。怒鳴られているんだろう、
むしろ、何を言われても全く意に介さない様子。
眼の光は、間桐桜ちゃんなみに失われている。
「ごめんね、すぐ作り直すからね~(ニッコリ)」と大将。
私たちは
「はぁ???またあの長時間かけて作り直すの?帰ります!!」
…と言えたらよかったが、
言えなかった。
むしろ、喰って金払ってけよな…という恐怖のオーラを感じて
席を立てなかった。
もちろん、作り直しも大将は、一切。手伝わない。
いや、さすがに!手伝えよ!!早く帰りてぇよこっちは!!
大将はおしゃべりが本当に大好きなようだ。
もうさあ、寿司屋辞めてさ、噺家にでもなりなよ。
最初は恐怖心だったが、こちらもいい加減腹が立ってくる。
そして、やっと海鮮丼ができた。
まあ、キレイで丁寧な盛り付けで、
それなりに美味しそうな海鮮丼ではある。
(あれだけ時間かけて汚かったら本当にブチ切れるが)
食べたら、味も、さすがにマズくは、ない。
…が、これで極上??
1500円で半額というなら、夜なら3000円か?
海鮮丼て、マグロとかハマチなどがドンと目についてほしいが、
青魚やトビッコ、ガリがやたらキレイに盛り付けられていて、
マグロはちいちゃな赤身のきれっぱし!
ハマチやサーモンなどは乗ってすらいない。
(アジは乗ってたかな?)
赤いものはイクラかと思いきやトビッコ。
まあ、これ、半額っつーか、
どう考えても、1200円で適正価格だよね。
極上てか、あまりもんの切れ端だよね。
すくなくとも3000円は絶対にとっちゃダメな具材だとは思います。
観光地価格なんだろうけどさぁ…
もうとにかく早く帰りたくて、海鮮丼をかきこんだ。
パートナーも同じ気持ちのようで、
普段はゆっくりと食べるタイプなのに、バクバクとかきこんでいるw
大将に美味しいからだと思われていそうで、
ものすごく、イヤだ。
なんなんだこの食事は。
そして心からこう思った。
ああ、私に古武術の心得があれば。
私がゴローちゃんだったら。
バンっと机をたたいてこういうのに。
「人の食べてる前であんなに怒鳴らなくっていいでしょう!
見てください!これしか喉を通らなかった!
あなたは客の気持ちをまるで分っていない!!
モノを食べるときはね
誰にも邪魔されず 自由で なんというか
救われてなきゃダメなんだ
独りで 静かで 豊かで…」
しかし私に言えたのはこれだけだった
「ご馳走様、3000円置いときます」
「はーいどうも~ ゴメンね、今度来たらサービスするからねー」
バカ野郎ォっ!!!!
今日、今すぐサービスして、せめて1000円にしろっ!
それか茶碗蒸しぐらいつけろっ!!
二度とくるか!!!
私は心の中でしか大将にアームロックを決められなかった。
そして、ゴローちゃんがいかにすごい人物かを思い知らされた。
店を出るとパートナーが、
「豆かんより、寿司屋の方が、孤独のグルメだったね…」
とつぶやいた。
「アームロックできなくてごめん…」と私が言うと、
緊張が解けて、二人は大笑いした。
店で一言も会話できなかったけど、
同じことを考えているツレがいて嬉しかった。
この「海鮮丼宙を舞う事件」の後、
しばらく「浅草」とか「海鮮丼」という言葉を聞くたびに、
ちょっとイヤな気持ちが胸に去来していたが、
最近、やっと呪いが解けたようなので
ブログに書きました。
いやー、怖くて店の名前かけないですけど、
浅草のオレンジ通りから一本入ったとこ…
食べログとかYahooマップで見たら、夜二人で4万円だって!
ランチでもちょっと酒飲んだらぼったくられるって!
お寿司は、地元のなじみの、知ってるところで食べるのが一番ですね!
別の被害者が出ないよう、ヒントで「房〇」…
浅草に行った際は、「海鮮丼」に気を付けましょう…
そうそう、豆かんは美味しいよ!
あなたが浅草に行くときは楽しい思い出ができますように。