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スペイン国立バレエ団(東京文化会館大ホール)

上演時間:約2時間(Aプログラム)
始まる前に食べたもの:上野駅構内のお蕎麦屋さんの海老天そば

バレエ団という名称ではありますが、いわゆるクラシックバレエの公演ではありません。
スペインの伝統舞踊フラメンコを、集団の美でアーティスティックに整えて見せてくれます。私はこちらのバレエ団の来日公演を見るのは二度目でした。素人目にも「これはすごい!」とひと目でわかる、一見の価値ある公演だと思います。
フラメンコには根強いファンがたくさんいらっしゃるようで、またバレエファンも見に来ているみたいで、客席にはおしゃれをした姿勢の良い人たちが多く、興奮と熱気が感じられました。
中国とかジョージアの伝統舞踊団もそうなのですが、伝統舞踊をアカデミックに学んでいる人たちはバレエも同時に学んでいることが多いような気がします。そう考えるとバレエっていろんなダンスを踊れる体を作ることができるんですね…。

一幕ではオーケストラの録音を使用。一曲目は、淡いピンクの男S女S、ショッキングピンクの男A3人女A3人、そして何色だったか忘れましたがあいまいなくすみカラーの13人くらいずつの男女、これらが編成を変えながら入れ替わり立ち代わり出てきます。構成がちょっと宝塚ぽい。隅から隅までダンサーの体型もレベルもそろっていて、女性のひらひらとしたスカートがまったく同じタイミング・同じ形で動いている様子は圧巻でした。衣装がシンプルで質感がやわらかく、踊ったときの動きが美しくてとても好みでした。
二曲目はピアノの生演奏と女性ソロダンサーの二人だけでのコンテンポラリー作品。青色のちょうちんみたいな変わった構造の衣装を脱いだり着たりして芋虫みたいな…あれは何を表していたのだろう…。意味とかあんまり考えちゃいけない。舞台面も客席も暗かったので、寝てしまったお客さんが近くにいて音楽より寝息が気になってしまいました…(笑)
一幕ラストはバレエ団の十八番、ラヴェルのボレロ。私の中ではベジャール振付のあれのイメージが強かったのですが、フラメンコバージョンはまったく別物として楽しめました。衣装の色が、トーンはそろっているのですが一人一人違う色でグラデーションのようになっていてとても綺麗でした。宝塚ファンにしかわからない話で恐縮ですが、紅ゆずるの退団公演だった『エクレール・ブリアン』のボレロの場面は、こちらのバレエ団のボレロにインスピレーションを受けて出来たのではないかと思ってしまうくらい通じるものがありました。

二幕はギターや打楽器、歌手のみなさんが舞台上に居並び、伝統音楽の生演奏にあわせての踊りでした。とにかく曲がはちゃめちゃに難しいというのが第一印象。特にリズムが難しすぎてしかも速くて、リズムに乗ろうと考えちゃうと秒で振り落とされるので音の流れていくままに委ねるしかない。この難しい曲を一糸乱れずカスタネットや床を踏む靴音で刻んでいける集団芸は、もうほんとに素晴らしいと感心しちゃいました。子供のころから血の中にこの音楽が流れてないとできない技でしょう…。

カーテンコールは撮影OKで、最後に黒い服を着た芸術監督さんが出てきて、おそらくアドリブでちょっと踊ってくれました。その、軽くやってるのに雰囲気のある感じがさすがすぎて、今見たばかりの素晴らしい舞台の記憶が「カーテンコールに出てきた芸術監督の踊りがうまかった」に塗り替えられてしまいそうなくらいでした(笑)

こんなハードな公演を何日もやってくれたバレエ団の皆さんには、日本の美味しいものをいっぱい食べて楽しんで帰ってほしいなぁと思いました。

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