#14 岩手にいつ帰ろうかな。
「 地元あるある 」
ご近所さんが、ピンポン押さずに家に入ってくる。
むしろピンポンを鳴らされるとドキッとする。
誰がどこで何やってるか、だいたい知れ渡っている。
会話のネタのほとんどは、人の事の情報共有。
「今なにやってるの?」
「どこに就職するの?」と、
なんの躊躇いもなく、ズカズカと聞いてくる。
一瞬、うっ!となるんだけど、
あまりにも近すぎるこの距離感、
案外悪くないんだよなぁ。
そうだそうだ。地元の人との距離感、
こんな感じだったよなぁと、
変わらぬものにほっとする自分もいる。
*
9月前半は、岩手に帰っていた。
今回は、群馬から車で7時間くらいかけて帰った。
福島を越えて仙台に近づいたあたりから、
どこにでもある田んぼや山の風景が
なんとなく愛着あるものに見えてきて、
ふぅーっと肩の力が抜ける感じがあった。
10日間くらい、長めに過ごした。
毎日たのしく過ごした。
「よく来たねぇ。元気そうでよかったよ。」
小学校の頃からずっと可愛がってくれて、
ずっと応援してくれている友達のおばあちゃんは、
私の顔を見るなり、涙を流してくれていた。
無償の愛を感じ、私も胸が熱くなった。
久しぶりに話した同級生に、
「いつ帰ってくるの?」と聞かれた。
迷わずどこにでも飛んでっちゃいそうな私に、
いつか帰ることが既に決まっているかのように、
当たり前のように、自然に、
「いつ帰ってくる?」と聞いてくれたのが
素直にうれしかったな。
*
そうだ。確かに、
いつ帰ろうかなぁ。
岩手を出て6年目。
知らなかったことや、初めての土地・人に
とにかく心が踊って、わくわくして、
切り拓くことに夢中で、ここまで来た。
今いるこの場所も、ここで出会った人たちも、
私にとってほんとうに大切で。
そして、
これからもまだまだ、知らない土地に
手を伸ばしてみたい。
「地元にいつ帰るか」
ガツガツと、目の前のことだけ見ていた私の
肩をトントンと叩くような、
なんとなく心に留まる問いだった。
答えはまだわからないけど、
きっといつか帰りたい。帰る。
新しい出会いにときめいてワクワクしていながら、
やっぱり、心の奥の奥では、
私の地元のことを想い続けている。
『 故郷を救いたい! 』なんて、
自分にとって大げさなことは全く考えてない。
ただ、私を大切に育ててくれた人、まちに、
父の日、母の日に両親へ贈り物をおくるような、ささやかな心持ちで、何かをかえしたい。
今の私がぼんやり描いていることは、
事務所なのか、作業場所なのか、私の拠点があって
お花、コーヒー、本、雑貨、良い匂いのもの、、私の好きなものたちを手に取れる場所もあって、
好きな音楽、心地よい音楽が流れていて、
学校帰りの子どもたちが、やっほ〜!なんて言いながらふらっと立ち寄れる場所でもあって、
近所のおばちゃんたちが“ズカズカ”入ってきて、好きなくらいおしゃべりしてったり、大量の野菜なんかをおすそ分けしてくれたり(笑)、
そんな、“着飾らない”、にぎわいがあって、
自分にとっても大切な場所になって、
私だけじゃなくて、誰かの心の拠り所になっちゃったりして!
そんな場所!つくりたいなぁ。
そんな場所が、岩手だけじゃなく
群馬や、熱海にも、
私がこれから出会うかもしれない大切な場所にも、
つくれたらいいなと考えながら、
ニヤニヤしている。
野望マンの私は、そんなことを常々思い描いて
ニヤニヤしている。笑
ニヤニヤしながら、これからも頑張ろう。
もっと頑張ろう。
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