食べる、をアップデートした話 @代々木上原sio
ずっと「いつか行ってみたいなぁ」と思っていたレストランがあった。朝ディナーという、時代のきもちを大胆に掬い取るような提案でも話題になった、代々木上原のsioというお店。(Instagram:@sioyoyogiuehara)
憧れが長引くと、かえって行けなくなるということが結構あったりする。そんな状態に陥っていたところに、幸運にも行けるチャンスに出会えたので、少し前のとあるお昼に、念願の初来訪を叶えることができた。
憧れのお店は、やはり凄かった。
いや、想像を遥かに超えて凄かった。
美味しい、美しい、新しい……それだけ言葉を重ねても足りなくて、ひとくちひとくち重ねるたびに、脳がぐるぐるとアップデートされていく体験だった。「食べる」って、何をすることだったんだっけ…と何度も思った。
繊細で、小ぶりのお料理が10皿ほど。多すぎず、少なすぎず、この姿しか、この順序しかあり得ない、と思うしかないような美しすぎる体験の流れ。
いままでコース料理といえば、型にはまった形式的な必然性を味わうものというイメージを持っていたけれど、sioのコースは、複数の料理が順に重ねられていく体験の必然性の結果としてコース料理の形となったという感覚だった。
この日いただいた飲み物は、完全ノンアルコールの「ティーペアリング」。様々な茶葉に果汁やスパイスを絶妙に合わせたあたらしい飲み物を、一皿一皿に合わせて出してくださった。
ペアリングという提案だからこそ得られる感動を、お酒ではなく、お茶という飲み物で見せてくださることがあるとは。これまたひとつ、人生の思い込みが解けた瞬間だった。(「お酒じゃなくても美味しいんですね!」とか、そんなレベルではなく、人生ではじめての感覚を全身で体験したような感じだった。)
新たな体験の連続で、お店を出るころには、身体全体がなんだかふわふわとしていた。帰り道、余韻の中で色々検索していたら、sioのシェフである鳥羽さんの『「感動した!」と言ってもらえるぼくの料理には、圧倒的な戦略とロジックがある』というnoteを見つけた。
圧倒的な大胆さと必然性を持つこのお店のコースの意味を、noteを読んで改めて噛み締めた。このnoteは、ぜひ色んな人に読んで欲しい。sioの料理を召し上がる機会があれば、店を出たあとの帰り道か寝る前にでも、もう一度読んでみて欲しい。
私はいま、ものすごく面白いと感じる分野の勉強をしていて、心から物にしたいと思うとともに、自分に対する失望や挫折のような気持ちにもしばしば出会うことがある。そんな今の私にとって、sioの料理から伝わる凄まじい愛と、その裏にあるロジックの足腰の強さというものに触れられたことは、美味しいや楽しいを遥かに超える大きな意味があったように思う。
「愛があるなら、迷わずやれよ」と言われたようなこの体験を、私はきっと忘れない。
心の底から、感謝を込めて。
ごちそうさまでした。
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