小説ちひろ⑪
小説 ちひろ 第11話 敬礼。
ぷちブルを辞めた私はまず、引っ越しをした。新しいマンションの5階。
「かたずけるの面戸くせぇ~。」
引っ越してきたばかりで、部屋の中は段ボールだらけ・・・
とりあえずは・・・何しようか?
すぐに職探しは芸がない・・・私なりの遊びをしよう。
元カレ1号に会う
「3年ぶりの今日、別れたんだよな。」
「そんな事、覚えてたんだ~女子か!」
「プロポーズを断られた日を簡単には忘れられないよ。」
・・・つまらん。
元カレ2号と会う
「俺と別れるから、そんなんになるんだよ!」
・・・私の何を知ってる。
・・・つまらん。
元カレ3号と会う
「大変だったね・・。これからは俺が面倒みてやるよ。だから俺のところに戻って来い」と優しく抱きしめてくれる。
だが。
思いっきり笑ってしまった。
「ごめん、次は真面目にやるからもう一回!」
「ドラマじゃないんだからテイク2なんてないんだよ!この野郎!」
元カレは怒って帰ってしまった・・・。
・・・アンタに付いた途端にアンタは働かなくなるでしょうが
元カレ4号と会う
すぐに私の肉体をむさぼって来た。
「どうだ、これが欲しかったんだろ!」と腰を振る。
「あっ、それそれ、イキそう~」
・・・さらに磨きがかかった単調なセックス。
昔はこれでもよかったんだけどね。
元カレ5号と会う
高級レストランにて
「久しぶりだね、何年振りだろう?」
「さぁ、忘れちゃった。」
「今まで、何してたの?」
「風俗嬢をしていたの」
その男にあふれ出た、軽蔑・興味・差別・・・
「今度、指名しよっかな」
嘘の大人の余裕。
・・・この男もつまらん。
OL時代の同僚にも会った。
「久しぶり~突然辞めたから、結婚したんだと思ったわよ~」
「あれ、バレてたか。」
その瞬間に目の色が変わる・・・行かず後家の嫉妬の目
「どんな男?」
「うそうそ、結婚なんてしてないわよ。」
安心したのかまた目の色と表情が変わる
「それで、今まで何してたのよ?」
「実は風俗嬢やってて~生きるって難しいね・・・」
また目が変わった・・・今度は自分が優位に立ったという蔑んだ眼
そうそう、その表情が見たかったんだよ、こっちは。
「私たちでよかったら、いつでも相談にのるからね~」と帰って行った
私は小さくなっていく背中を見ながら「バーカ。お前らなんて相手するか」
これからも、自分を押し殺していく世界に帰る女性に敬礼をした。
夜の繁華街・・・。
「よ~、お姉ちゃん、よかったらうちで働かない?」
スカウトの声や、酔っ払いの愚痴が聞こえる街。
本音だけが飛び交う場所。私はこの空気が好きだ。
これが私の住む世界。
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そんな感じでしばらく遊んでいたけど、そろそろ職探し。
今度はピンクサロンに入った。
知らなかったんだけど、ピンサロってヘルスより格下だったんだね。ひとつ賢くなったわ!
ー***-
この話で【臨時】小説ちひろ は終了です。
理由は、これ以上書けないからです。
今現在の「ちひろ」は、暗いくらいどん底の海の中を泳いでいる魚とおなじです。
でも本当に書きたいのは「ちひろさん」で、その世界を書くには、どうしてもちひろという人物がどういう過去を過ごしていたかを表す必要がありました。
なので、今の【臨時】小説 ちひろ は小説全体で言うと「プロローグ」なんです。
それを中途半端で投げ出すのは・・・とも考えましたが、もっと上手く表現できるようになった時に、また書こうと思います。
その時には「続きを書くのか」はたまた「一から書くのか」は未定です。
また、皆さんに「ちひろ」が会えるようにがんばります。
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