小説 本好きゆめの冒険譚 第五十八頁
現実世界。ゆめの家にて。
時間は午前10時。神々の世界へ行った時間である。
光と共に、ゆめが表れた。
「ゼウス、いる?」
「はい!ゆめ様!」
「じゃあ、お願い。」
「畏まりました、ゆめ様!」
ゼウスがページを開くと、中から光と共に3人が戻ってきた。
「ふぅ〜、と言っても、場所が変わらんから、現実感ないな。」
「違う所は、テーブルと上にあったはずの料理がない事位ですものね。」
「とりあえず、お茶入れるわね、ゆめ、お手伝い出来るかな〜」
「は〜い!ママ。」
2人はキッチンの中へ入って行った。
「どう思う?」
「これは、まずいですね。」
「神様に会わせるのは、止めた方がいいんじゃないだろうか?」
「先輩、それの方がまずいですよ、もう、ゆめちゃんの能力は開花してしまったんですから!」
「仮に、神様に会わせるのを辞めたとしましょう。でも、現実世界には、山程本があります。それに、ゆめちゃん自身が、本を書けるんです。」
「そうだな…それに、ゆめから出てきたゼウスと言う神様と同じ名前を持つ本の存在もやっかいだ。」
「あの子を正義感溢れ、誰にも流されない、慈愛の女性として、育て上げなければならないと思います。」
「そんな完璧な人間がいたら、それこそ、神様だよ。」
「それともう一つ、気になる事があってな。」
「なんでしょうか?」
「以前に紋章の話をしたろ?あの時に一緒にあった「文字」の事だ。ゼウス様はその事に関しては何も言わなかった。」
「忘れてるだけじゃないですか?」
「神にそんな事があると思うか?僕は知らないんじゃないかと思っている。」
「それじゃ、別の神様が記したと…。」
「その可能性が高いんじゃないかな?しかしその影響は、一度も起こってない。」
「紋章とセットと考えるべきでは?」
「僕の思い過ごしだと、いいんだけどね。」
「パパっ!お茶とクッキー持ってきたよ。」
「あ〜、ありがとうな、ゆめ。偉いぞ!」
「ゆめちゃん、ありがとう。」
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「何もない空間」。
ゼウスは「ある神だった者」の事を思い出していた。その神は理由は解らないが我々に反旗を翻した。戦いの後に「封印」したのだが…。
ゆめには「闇」に堕ちて欲しくはない。今から手を打たないと、とんでもない事になってしまう…。
ゼウスは、一つの決断をした。
「これからは、ゆめに、別の力を与えようと思う。」
「どうしたの?急に。」
「話してた事、聞こえてたんじゃろ?」
「そうね…考えないとね。」
「アストライアーを呼ぼうと思う。」
「正義感の加護を受けさせる為なのね。」
「左用。これで、悪魔の闇には、落ちんじゃろうて。」
「私の加護も与えようと思うの。」
「なんじゃ、まだ与えとらんかったのか?」
「ええ、ゆめちゃんが、いい子過ぎて忘れちゃうのよね。」
「早くした方が、良いと思うぞ。」
「ええ、解ってるわ。」
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