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美味しい珈琲はいかが?4 002

美味しい珈琲はいかが4 第二話

 カランカラン。
「おはようございます」

 マスターはいつも通りにおはようございますとにこやかに言ってくれる。
 マスターに相談すべきだろうか?いやいや、私事でせっかくの高級な珈琲を使って練習は出来ない。私はいつも通りに制服に着替え、掃除や店の準備をするがため息を漏らしてしまう。

 こんな時に限ってマスターは敏感で「香さん、どうしたのですか?」と聞いてくる。
「な、何でもないです!ただテストの成績が悪かっただけです。
「そうなのですか?香さんは優秀だと思っていたのですが……。何か悩み事があるんじゃないですか?」
 私は両手をブンブンと振り回しながら「何もないですよ!それよりも私に美味しい珈琲の淹れ方を教えてもらえませんか?」

 マスターは不思議そうな顔をしている。
 だってさ、私は料理長として食事を出すことが多いので、このところ珈琲を入れていないのだ。
 だからか、マスターは不思議と珈琲に目覚めたと期待でいっぱいなのである。

 カランカラン。

 常連さんがやって来たと思えば奥さんも連れて来た。
「いらっしゃいませ。いつものでいいですか?
「ああ、わしはそれで。かみさんはブレンドで頼むよ。
 仲むつましい二人だ。
 私との会話がないのも、少し寂しい感じがする。

 常連さんは私の異変に気づいたのだろうか、私を凝視しながら
「香ちゃん、何かあった?」気を回してくれる。
 奥さんも私を見て「なんだか元気ないわね、私で良ければ相談に乗るわ」
 と優しい言葉を掛けてくれる。

 その言葉に、少し涙ぐんでしまった。


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