小説 本好きゆめの冒険譚 第五十一頁
パパをからかい、お風呂で遊んだ後…
パパはソファで、グッタリとしている。
そんなパパを見ながら、クスクスとママは笑っている。
私は牛乳を飲みながら、そんな2人を見てる。
そして
「ねぇ、パパ、ママ。」
2人の視線が私に向けられると…
「私が出来るようになってからなんだけど…」
「お父さんとお母さんに会って欲しいの…。」
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少し時間は戻って「何もない空間。」
「ゆめの力なら出来なくはないぞ。」
「お父さん」が言う。
「どういう事?」
「我々は、直接、人間の世界には行けん。じゃが、反対となると、可能性はある。のう、ヘーラー?」
私にベタついているお母さんが、頷いた。
「いい、ゆめちゃん。驚いちゃ駄目よ♡」
パチンとお母さんが、指を鳴らすと、
何もない空間に「ドラゴン」が、現れた。
ヒッっと驚く私に向かって
「あっ、大丈夫、大丈夫、私に懐いてるから♡」
召喚獣、ラードーン。
黒い身体に大きな翼、噛まれたら、ひとたまりもないだろう鋭い牙。全身に鱗?なのであろう物が、時折放つ光は虹色に輝いている。
お父さんが
「これが、出来ればゆめのパパとママを、この世界に連れてくる事が出来るぞ。」
「こんなの、私には出来ないよ!」
「ゆめ、よく考えるんじゃ、サボテンの事を。」
「サボテン?」
「虫食いのサボテンを元通りには、どうやって出来たかの?」
「それは、サボテンの形をイメージして、万能本に写したからです。」
「左用。では消したサボテンをまた生やしたの?あれは、どうやったのじゃ?」
「それは、元々あった、サボテンを万能本に書いて、それを元の場所に記したからです。」
「では、他の物を万能本に書いて、別の世界に移すには、どうすれば良いと思う?」
「先ずは、移したい物を、万能本に書きます。それから、別の世界に行って、記します。」
「それが、ゆめなりに出来る「召喚術」じゃ。練習するんじゃぞ。」
「でも、人間の世界は、本とは違います。」
「そうか?ゆめが人間の世界でも、万能本を開く事が出来れば、全て解決じゃ。」
「とりあえずは、万能本を出す事。それが出来るようになったら、実際に色々な物で練習じゃな?」
「今回は、人間の世界での練習じゃ。儂等は付いて行けん。ゆめが1人で頑張るんじゃ。」
「解りました。やってみます。」
「ゆめちゃん、頑張ってね♡」
お母さんが、抱きつきながら
「出来るようになったら、ご褒美をあげるわ。」
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