小説 本好きゆめの冒険譚 第四十二頁
本が輝き出した…。
その光は、柔らかく、そして眩い…。
光が集まり始め、2人の人の形を成す…。
「お帰り〜って、ぶっ!」
「大丈夫」と書かれた白Tシャツ、ジーンズに白スニーカー、帽子を目深に被り、その下にはサングラス…。
今のゼウスの姿である。
ヘーラーは、その姿を見て
「グフッ、アナタ!何、その格好?イメチェンですか〜?それとも、オツムが悪くなっちゃたのかなぁ〜?」
それでも黙っているゼウスに、苛立ち…
「オラァ、聞いてんのか!このジジイ!」
と、悪態をつく。
黙っているゼウスの後ろから
「ねぇ、お父さん、どうしたの?」
その言葉に顔面蒼白になったヘーラーが…
「ゆ、ゆめちゃん、…今、何と?」
「お父さん。」
「お、おと!」
ヘーラーは、その場で倒れた…。
「ワァッ、ハッ、ハッ、ハッ!お前も騒々しいのう!」
ゼウスは、ご満悦。
それに対してヘーラーは部屋の隅っこ(本来この空間は無限なので隅などはありません。)で、いじけている。
「ゆ、ゆめが、私の大事な娘が、あ、あんな事を言うなんて!」
Tシャツ姿のゼウスに飛びかかる!ゼウスは悲鳴をあげる!しかしゼウスのTシャツには「大丈夫」!と書かれている。
「喧嘩はやめて!」
その声に、ヘーラーは手を引き、ゼウスに頭を下げる。
そして、ゆめに向かって、一礼。
「ゴメン、ごめんね。私が悪かったの。許して、ゆめちゃん!」
ゆめはすぐに、ニッコリと笑い、ヘーラーに抱きついた。
小さな身体を包む様に、ヘーラーは、優しく抱きしめながら
「許してくれる?」
「うん!」
「ありがとうね。」
ゆめは、何でゼウスが、こんな格好をしているのか?何故、お父さんと呼ぶのかを、ヘーラーに説明した。
「なぁ〜んだ、そういう事だったの〜。」
「だから、お前は、早とちりなんじゃ!」
その言葉に、ヘーラーはムカついたのか、
ゼウスをキッと睨みつけると、
「あれ〜、そんな顔、しちゃっていいのかなぁ〜ゆめちんが、見てるんですけどぉ〜?」
プルプルと身を震わせるヘーラーを指差しながら
「儂、この洋服?と言う物を、貢いでもらったもんね〜。」
「儂の事を、「お父さん!」って、呼んでくれるんだもんね〜、コレって両者同意の養子縁組なんじゃないかな〜んふ〜♪」
「はぁ」と大きくため息した、ヘーラーは、
イメージの練習をしている、ゆめの元へ行き、
「ねぇ、ゆめちゃん♡」
「なぁに、ヘーラーさん。」
「私達も随分と仲が良くなってきてるから、私の事も「お母さん」って、呼んで欲しいな♡」
「いいよ。」
「本当?やった♡」
「でもね、私のパパとママは、とても仲がいいの。だから、ゼウスのお父さんと仲良くしてくれたら、お母さんって呼ぶね。」
「そ、そうよね〜アハハハ、ゆめちゃんのパパとママは、仲がいいもんね〜、じゃあ、私はー、ゼウスのお父さんと仲良くするね〜アハハハハハ!」
と、踊りながらゼウスの所へ
ゼウスの首に腕を絡ませ
「ほうら、ゆめちゃん、私達、仲良しでしょ〜、だから「お母さん」って呼んでね〜」
ヘーラーはゼウスの耳に口を寄せ、
「ゆめちゃんが、いてる時だけだかんな、覚えてろ、このクソジジイ!」
「儂は、ずっとこのままでも良いぞ。」
「誰がするか、ボケ。」
そして、
「ア〜ハハハハハ〜ッ」
と踊りながら、ゆめの元へ戻る。
練習をしては、本の中へと移動する
ゆめでした!
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もう、イヤー!
何で私が、あのエロジジイと仲良くならなきゃいけないのよ!
元々はあの人の浮気が原因なのに!
他所で、どんだけ子供を作ってるの?
はぁ?うそ?信じらんない?って数よ!
神だけなら、いざしらず、
あの男、人間の女にまで、手を出して!
あの、エロ!好色男!変態!スケベオヤジ!
はぁ〜、ちょっとスッキリした。
ストレスが溜まったら、また、この場を借りようかしら?
そう思ったら、やる気が出てきたー!
あっ、ゆめちゃ〜ん♡抱っこさせて〜!