小説 本好きゆめの冒険譚 第八十四頁
光の中から「ゼウス!眷属召喚!」という言葉と同時に、大軍が押し寄せてきた!神の精鋭部隊である。
「1000名は眷属を追って各地に散れ!魔王達は、それぞれの援護、それと意思伝達の為のネットワークを作れ!残った物は私と共に悪魔ダイモーンを討伐する!」
アイギスに乗ったゆめの号令に反応し、ある部隊は南、またある部隊は東へと散っていく。
残りの兵士達も見る見ると部隊編成を作り上げている。
さて、不思議に思わないだろうか?何故勇者は「空中戦」が出来るのか?実は勇者達は皆、「ペガサス」に乗っている。実はヘーラーが、絶対に役に立つからと言って、それぞれに分け与えた召喚獣だ。お陰で、空飛ぶ悪魔とも戦える。
「弓を放て!」一斉に弓矢が飛んで行く。この弓矢はヘラクレスの物を複製したもの。ダイモーンに降り注ぐが、簡単に薙ぎ払われた。
「怯むな!第二射、放て!」
一斉に打ち込むも、ダイモーンには歯が立たない。
「ククク、やっト来たカ! お前ラハ 神ノ軍だナ?ユメはいるノカ?いいエサがヤッテ来たものヨ」
ダイモーンが、軍の上を飛んで行くと同時に、蛾の鱗粉の様な物が降り注いで来た!
「全員、回避!」
ペガサスが、空を駆ける、
「うわぁー!」
消えてしまった勇者達、その瞬間にダイモーンの姿が、巨大化していく!
「旨い、旨いぞ!全員、喰ってやる!」
魔法使い達が、拘束の呪文を唱え、両手両足を鎖で繋ぎ留める。そのタイミングで、剣で斬りかかる!
ダイモーンの左腕が肩から飛んだ!流石は神が作った剣だ!いける!
そう、思ったのも束の間・・・
「ククク」悪魔は不敵な笑いをする。
切り落とした左肩からは、見る見るうちに腕が生えてきた・・・。
腕が生えてくるその様を見た中には、怯えを覚えた勇者もいる。
いかん、ゆめが心配している事が起こってしまった。実の所、勇者のレベルは低い。と言うのも、物語の中にゆめが入り干渉したが為に、勇者のレベル上げが必要なくなり難なく魔王討伐が出来てしまってたからだ・・・。
勇者達の怯えに気づくのと同時に「逃さんよ!」とダイモーンの口から紫色の吐息が吐かれた!
「防御!」
その吐息は、物理攻撃ではなく「精神攻撃」。
「ギャー!」
勇者達が次々と消えて行く!逆にダイモーンは巨大化していく。
「怯えるな!奴は精神攻撃を仕掛けてくるぞ!怯えを持ったものは、一旦、下がれ!」
すると、大半の者が下がって行った。
「フッハハハハ!神の軍勢と言っても大した事ないな!ちょうどいい、後ろに下がった奴らよ、全員死ね!」
ダイモーンの身体全体から、先程と同じ紫色が飛んできた!
「逃げよ!捕まるな!捕まったら死ぬぞ!」
慌てて逃げるが既に遅く、ダイモーンの餌食となってしまった・・・
「旨い!旨いぞ!弱腰であっても、流石は神の使者だ!これで、もう少しで我は完全体になれる!」
「魔法部隊!拘束!聖なる光も浴びせろ!勇者部隊!全員で首を刎ねるぞ!」
魔法の鎖が、ダイモーンの身体を拘束するが、力を増した今では、簡単に破られてしまう。聖なる光も申し訳程度の攻撃・・・まったく効く気配がない。
「くそ!この悪魔がー!」
勇者の一人が、突っ込んで行く!
「馬鹿!やめろ!」
私の制止も聞かずに向かって行った・・・
「馬鹿な奴め。」
その勇者は、簡単に捕まり頭から喰らいつかれ、首のない胴体から血が飛沫した。
残るのは、勇者500名、魔法使い100名、魔王200名位まで、喰らわれてしまった。
それに反比例して、ダイモーンは力を増しているのが目に見えてわかる。
「くそ、このままでは・・・」
ゆめは、噛んだ唇から血を流した。
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