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小説 本好きゆめの冒険譚 第六十七頁

「現実世界」に戻ってきて・・・


「パパぁ、聖剣エクスカリバーって、存在する剣なの?」

「ああ、そう言われているなぁ。」

 パパは思い出す為か天井を見ている。

「アーサー王という人がな、地面に刺さっている剣を抜いた噺が、このゲームにも反映されているんだよ。」

「その本の名前、知ってる?!」

「確か・・・「ブリュ物語」だったはず・・・」

「ありがとう、パパ!」



 次の日の学校帰りに本屋に寄ってみた。

・・・ない。

・・・どこを探してもない!

 店員さんに、問い合わせても、やはり無いのだそうだ。

「何だったら、お取り寄せしましょうか?」

・・・お願いした。

 取り寄せには、2週間程かかるとの事なので、本が届くまでは、ひたすら「集中しない」ゲーム三昧、パパに攻略法を教えてもらったり、友達が同じゲームをやっていると言ってたので、教えてもらったりしていた。


 そして「2週間後」・・・

 やっと、ゆめの手に本が届きました!

 この時を待ちわびていたんだよ!

 急いで、家に帰り、本を開いた!

・・・読めない!原作だった。なんで日本語訳じゃなく、原本なのよ!

 悔し涙を浮かべていたら、フワッと「ゼウス」が姿を現して

「ゆめ様、私にお任せください。」

 ゼウスがその本を飲み込んだ

 そして、「日本語訳の本」になって帰ってきた!

 ゼウス、使える!

 でも、タイトルが「アーサー王神話集」…。本を間違えたのかしら?


 そして、私は「本の中へ」・・・

・・・アーサー王よりも先に、聖剣エクスカリバーを抜く必要がある!急がないと!

 ゆめの眼の前には、慌てるようにページが捲られるのが映る・・・そして目当てのページの中に入る。

 そして、剣の前に立った。

 剣を引き抜こうとしても、やはり抜けない!

 アーサー王でなければ、抜けないのか!

 ゆめが悪戦苦闘していると、1人の男性が声をかけてきた。

「どうしたのですか?」

 その男は、まだ青年ではあるが、逞しく引き締まった身体、腰には名刀なのか、立派な剣を持っている。

「実は「私の剣」が、岩に刺さっちゃって、抜けないんです。」

「成る程、そういう事ですか。」

 その男は片手で剣を持つと、軽々と抜いてしまった。

「あっ、ありがとうございます!助かりました!」

「ところで、その腰の物、素晴らしい剣とお見受けします!見せて頂いてもよろしいでしょうか?」

「ああ、済まないが、この剣は私しか持つことを許されないのです。そう女神様から聞きました。」

 ゆめは、「あっ!」と言う声を出そうとする口を両手で塞ぎ

「では、その剣の名前を教えて頂けますか?」

「ああ、この剣の名は、「聖剣エクスカリバー」と言う!」

「ありがとうございます!この御恩は、忘れません!ありがとうございました!」

 しまった!本を間違えたのか?

 これはパパに確認を取らないと・・・



「現実世界」。に戻り・・・

「パパぁ、アーサー王の噺って、「ブリュ物語」だけなの?」

 ゲームに夢中のパパは、画面から目を離さず、

「アーサー王の噺はいっぱいあるよ!聖剣エクスカリバーは湖で女神様から貰ったと言う噺もあるぐらいだしね。」

 なっ?

 問題を整理すると、聖剣エクスカリバーの噺は2種類あって、ひとつは先程のアーサー王が腰にぶら下げていた、女神から貰ったと言う「聖剣エクスカリバー」。じゃあ、私の見つけた岩に刺さってた剣も「聖剣エクスカリバー」ではないか?

 ゼウスを呼び出し、私が持った「聖剣エクスカリバー」らしき剣を飲み込ませると、ゼウスの中に剣の絵が浮かび上がった。私はそれに、「聖剣エクスカリバー」と名付け、出来たかどうかは判らないけど、「聖剣エクスカリバー」が、誕生したのである。


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