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とあるホテルの日常⑭


 パイロットプラン初日。
 この日は日頃お世話になっている近隣住民の方を招待した。

 綺麗な外壁、ドアマンが挨拶をしてくれる…
 自動扉を開けると、高い吹き抜けに明るいホール。
 誰もが「本当にあのホテルか?」と目を疑った。

「お帰りなさいませ。」静かに出迎えるフロントスタッフ。
 チェックインを済ませると、綺麗な廊下、綺麗に清掃された客室へと案内をする。

 夕食は、地元食材を使った日本料理。

 フカフカのベッドでお休み頂く。

 朝食も地元食材を使った日本料理のバイキング。

 チェックアウトを済ませ、家路についてもらう…

…完璧だと胸を撫で下ろしながら、アンケートを見ると・・・

 
 クレームが多かった!


 内容はというと
「フロントの人の元気がない。」
「朝夕の食事は美味しいのだけれど、日本料理ばかりでは飽きる。」
「アメニティを充実させて欲しい。」
「大浴場はせっかく露天風呂なのに、景色が眺めない。」
「枕が柔らか過ぎて眠れなかった。」などなど多数の意見が書かれていた。

…そうか、お客様が求めているのは、ホテルではなく「旅館」の形態なのだと知った。


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