美味しい珈琲はいかが?4 001
9月。
と言えば『文化祭の季節』である。
誰もが浮かれる季節でもある。
何と言っても、文化祭の用意で学校にお泊りが出来るからだ。
青春の一ページでもあるのだ。
「え~文化祭の出し物をみんなで決めたいと思います」
学級委員長が騒がしい教室で大声で言う。
クラスのみんなは目を輝かして学級院長に視線を送る。
そりゃそうだ一年生の時、散々みんなで苦労を分かち合ったのだ中にはまた徹夜(遊び)が出来ると大騒ぎしている。
「でも簡単に出来るものが良いよな」
男子が言うのは分からんでもない。やると言っても面倒ごとは避けたいのだ。
普通、学園祭と言えばみんなが盛り上がるのが普通なのだが、中にはお化け屋敷をしたりしてみんなが昨年苦労したものばかりだ。
「カフェでいいんじゃない?それなら教室の中を飾り付けるだけでいいし」
ごもっとも。確かにそれだけで済むならばんばんざいだ。
「え~どうせやるならメイドカフェにしようよ。」
女子のひとりが言った。この提案に女子連中が賛同する。
可愛いからね!それよりかメイド服に憧れているんだろう誰もがいいねと言うのだ。
この意見に男子達も賛成する。だってさ、メイドイコール女子だけで済むからだ。
「とは言っても男子は執事として働いてもらうからね」
女子が賛成と手を上げる。男子は簡単に飾り付けだけだと思っていたのに大誤算。
みんなはオムライスやサンドウィッチやケーキを出したいと盛り上がっている。
ただ、大誤算と言えば…
「どうせなら本格的な珈琲を淹れたいよね!香なら適任じゃない?喫茶店でバイトしてるし」に私はびっくりしてしまって「無理だ」と言おうとしたが満場一致で私がすることに決定してしまった。
どうしよう……。私は喫茶小さな窓で1年働いてもマスターや常連さんからまだまだと言われているし自信がない。絶対においしい訳じゃないのは明白である。
「私の淹れる珈琲は美味しくないって常連さんから言われてるしマスターもまだまだだと言われてるんだから本当にダメなんだって!」
「大丈夫、香なら出来るよ!それにみんな珈琲の味なんて分かんないよ!」
なんとまあ、炎上しそうな発言が飛び交う。
そこまで言われちゃ私の性格上、断ることは出来なかった。
私はお世辞にも珈琲を入れるのは下手っぴである。
それを珈琲担当なんて…。
マスターに特訓してもらうしかない!
そう考えるのであった。