北の伏魔殿 ケース Ⅰ- ④
○親切は人の為ならず
私は若い頃から、仕事好きで、ある部署で仕事が少なかったため、当時の係長に「もっと仕事がしたい」と言うと、係長は「お前変わっているな」と言いつつも仕事を割り振ってくれた。一方、別の部署では私が仕事を積極的にすると周囲の部下を使って、「出る杭だ」と言わせる管理職もいた。
その管理職は、上司から指示された仕事もせずに勤務時間中に株取引や役所のパソコンを使ってヤフオク取引をしたりする人間で、学閥人事で部の人事担当になり好き放題のことをしていたが、その詳細はケースIIで書いていこうと思う。
さて、海外出張が11月と整理され、日常業務についてはみたものの、担当業務は、さほど多忙でもなく、どちらかと言うとワーカーホリックの私として見れば、業務量が少なく、暇を持て余していた。
そんな時、現地事務所のM主査から現地予算の中で従来執行額より多く使いたいが配当額で足りるかとの照会があった。私の担当は、海外事務所の年間配当額を毎月の執行状況に合わせて、口座振替しているだけで、年間配当額の中で納まるかどうかは、M主査自身が積算すべきものである。
M主査は、昇格前に当該課で担当者としていたし、B主査から財政状況も含めて、普通は引き継ぎを受けているはずであるから、何ら経験も現地の実情も知らない私に聞くことではないのではないかと思った。
しかし、M主査は、秘書課で知事秘書をしていたことがあり、実務はさほど知らないのだろうなと思い、多忙だと言ってたこともあって、本来、私がやらなけれはばならない業務ではないが、手が空いていたこともあって、年間の執行見込みを積算することとした。
とはいえ、当該年度はまだ4月分の執行状況しかでていないので、昨年度の執行状況から、品目別に一年分を拾い出し、今年度の収入見込である補助金、会費が昨年より減少しているが、100万円ぐらいの余裕がある見込みとなった。それらの集計と分析結果をM主査に送付し、「今すぐ100万円を執行してしまうと、何かあった時には対応ができなくると思うが、執行の判断は事務所でしてほしい。」と伝えた。
しかし、親切に積算してやったことが、この後、大きな問題となってくる。
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