前科あります(17)
ハローワークに仕事の相談。
クラブのママに聞かれました。このままずっとここで働く?
え、とりあえず今のことしか考えてなかった。
「失業手当出るんでしょ、もう少ししたら。ちゃんとした仕事探した方がいいと思うよ、私の方はいつまで働いてくれてもいいけど」
確かに、私は一緒この仕事はできそうにはない、従業員はできてもお店の経営なんかきっとできない。
ママは、そのあたりを一発で見抜いていたからこそのアドバイスでした。
実は、私は公務員だったので失業手当は出ない(雇用保険をかけていない)と思ってました。
だから、しばらくはママのところで稼ぐことにするつもりもありました。
ところが懲戒免職で退職金は吹っ飛びましたが、まるっきり何もなしという訳でもなかったんです。
何かあるはずだから、ハローワークで相談してみて、と後押しもあり、数日後にハローワークに。
担当者に相談したら「あ、でますよ、こっちで申請しますから」拍子抜けしました。退職金がない場合は、申請すれば失業手当と同率のお金が出るそうです。
ただし、自己都合扱い、自分から馘になったわけじゃないのに、なのですぐには出ないらしい。
「で、四月から新しい職業訓練が一年間あるんですけど」
「え?」
仕事を探す人のために、厚労省はいろいろな職業訓練をやっているらしいです。
この職業訓練のいいところは、訓練期間中は失業手当の支給期間にかかわらず、ずっと失業手当が出ることになっています。つまり、一年の職業訓練を受ければ一年間手当てがもらえます。
「その訓練って何ですか?」
「デジタル制御の金属加工です」
「え?」
「旋盤って知ってますか」
「あの機械加工の」
「はい、今はコンピューターを使ってやるんですけど、訓練を終えたら会社も紹介しやすくなります」
ということで、私は一年間学校に行くことにしました。
手当が出るまでの間は、ママのお店で働かしてもらい、ママの紹介でアパートも借りました。
本格的にこの街で暮らすことになったのです。
ただこの街には事件の関係者もいたので、帽子をかぶり下を向いて歩く癖がついたのは仕方がないかもしれません。
まあ、今はその街からも離れたので、また昔通りの私に戻ってはいますが。
職業訓練が始まるまで暇というか仕事は夜だけなので、弁護士に言われた申請書類をせっせと書きました。
結構申請書類はページが多くて大変。
借りた先と金額、そのお金を何に使ったか、まあメインはそこです。
銀行とカード会社と消費者金融。
それぞれの額は大きくはなかったけれど、件数が多かったから大変。
遊びに使ったお金は、免責になりません。
最初に弁護士に言われました、どきっ。
遊び、無駄遣い、ないよね、ということにしたい。
嘘をついても、カードの明細でばれるので、正直に。
ちょっとぐらいは飲食や旅行につかっても、いいよね。
ちなみに、破産は簡単に(普通はね)認められます。
でもね、免責は、どうかなあ、ギャンブルや、FX、キャバクラで散財、などというのは免責にならないかもという話。
あ、免責って何、ですか。借金がなくなることです。破産は認められても、免責が得られなければやっぱり借金は返していくことになります。
ただ、免責にならなくても、利息が法定の範囲になるとか、一か月の返済額が減るとかメリットはあるので、まるっきり無駄ではありません。
破産すると公務員とか弁護士とかできなくなる仕事もあるので、そこらへんは注意してください。
それもあって、今は破産しなくても、個人再生法というもののお世話になることもできます。
私の場合は懲戒免職になったから、選択の余地はなかったのですが、とりあえず弁護士に相談してみることをお勧めします。
知り合いの弁護士がいない(まあ、普通はそうです)は市町村などが開いている法律相談を利用してみてください、ちゃんと弁護士を紹介してくれます。
免責が認められても、税金はチャラになりません。ちなみに弁護士費用もチャラにはなりません。
えー弁護士頼んだらお金かかるの? まあそりゃあ当たり前で、彼らはそれで食っているのですから。
働いて弁護士費用だけなら何とかなるかも、でも今は一銭もない。そんな人お安心してください、法テラスという組織が、一時的に立て替えてくれます。
そこら辺りも、法律相談で聞いてみるといいと思います。
数日かけて、書類を作り、弁護士に渡しました。
「結果が出るまで、半年ぐらいかかるから、と言ってもう何もできることはないから、頑張って仕事をして」
弁護士にそう言われこの件はもう考えないことにしました。
職業訓練が始まるまでの二か月、頑張って稼ぐことにしました。
ということで、次回はお店かなあ。
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