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この半年が報われた??(中編)

前編も見てほしいにゃ🐱

私の番になり、AT車に乗り換えた。死んだ魚の目をした彼も後ろに乗り、開始5分で始まった地獄の空気も持ち越された。これは私も何かやらかすのではないか。 人生で経験したことのないような急ブレーキだったので(教習所では日常茶飯事なんでしょうけど)、自分の時にあれをされたらと思うと怖い。
でも、直前になるとあまり緊張はなく、謎の落ち着きがあった。そう、私は変なところで病的に不安がるが、普通緊張するであろうシチュエーションは案外平気なのだ。

発進時もこれといったトラブルはなかった。一度合わせた座席がやっぱりちょっと遠いなと思ったのでもう一度調整し、その際にミラーの角度を合わせることも忘れなかった(座席をずらすと視点もズレるので)。このコンディションにしてはかなり落ち着いていた。ただ、後方確認の時に覗き込みすぎてサイドガラスで若干頭を打った。

人が横断歩道を渡ろうとしている時に止まらなかったら一発アウトなのだが、運悪く横断歩道付近を歩いている人を発見したためスピードを落とした。でも距離的にまだ渡りそうになかったので「大丈夫なのか?!これは大丈夫なのか?!」と思いながら直進してみたら、恐怖の補助ブレーキは炸裂しなかった。OK判定だったみたいだ。もしスピードを落とさなかったら歩行者を見ていないとみなされてアウトだった可能性もある。基準がヨクワカラナイ!!

また、最初の彼と同じルートだと勝手に思い込んでしまっており、逆を指示された時に頭が追いつかずギリギリで聞き返した(事前にルートが提示されるのだが、どうせその場で教えてもらえるしなと思い見ていなかった)。

一般道の制限速度60キロはそうそう超えないが、私は未だに制限40キロがどんなもんなのかよくわかっていないので、狭い道では2秒に1回くらい速度計を見ていた。逆に危ねぇ。

しかしさっきの補助ブレーキが本当にトラウマで、青信号を見ながら「これは本当に青色なのか」「私には青に見えるだけなのではないか」(でも実際は緑っぽく見えますが)などとわけのわからないことを考えていた。

また、対向車が右折しようとして中央線をガン踏みしていたので、これは来るか?と思い(教習車をトロくさいと思っているドライバーは多いと思う)手前で停止したらちょっと強めに注意されてその時だけは頭が真っ白になった。まぁ普通はこんなとこで止まらんわな……。

一回注意されるとそのことに気を取られて集中できなくなるという人間の弱点を知っていたので(天才ですか!?)、気にしないようにと考えていたら、今度は気にしないようにと考えることに頭を持っていかれていることを自覚しハッとした(頭が弱いですね?!)。

そこからは工事に引っかかったりもしながらも明らかなミスはなく進行し、無事路上検定は終わった。地味に恐れていた救急車や、進路変更しようか迷う微妙な路駐には遭遇しなかった。

そこから場内検定が始まった。課題は方向転換だった。突起になっているスペースにバックで車を入れ、方向を変えて出るというものである。

縦列駐車か方向転換かは当日に決まる。まだ仮免許の教習生にとってはバックが必要な時点でどっちも難しいが、普通に考えて縦列の方がややこしいのでこれはラッキーだった。都内でもあるまいし縦列駐車なんて普通しないので、実際のところは全員方向転換なのでは……?と思った。

ミスったことないしまぁいけるやろと思っていたのだが、ここで朝に中途半端に教本をチラ見したことが頭を過り、「右の方向転換だから左を広く開けておいた方が入れやすい……」と余計なことを考えた。それで、右の側方間隔を狭くしすぎたようだ。バックに入れてハンドルを切ったら前輪が落ちかけ、即座にブレーキを踏んだ(私が)。
1回切り返すだけなら減点なしのはず、多分これならギリギリ脱輪はしていない、完全に脱輪したら-20点(100点満点中70点で合格の減点方式なのでこれは痛い)、そしてそこから戻せなかったら終わり!!と頭を駆け巡った。
そしてドライブに入れて車の位置を適当に戻した。まだ右が狭いような気はしたが、切り返す練習をした事がなく、うまいやり方がイマイチ分からなかった。ええい、いってまえ!!と思い、もう一度忘れずに後方確認をし、再度入れたらなんか知らんが綺麗に入った。出ることにも成功した。

左折時や進路変更の際の確認、ウインカー、速度、信号などいわゆる勿体ない種類のミスは犯していないと思ったので、これは……いけたのでは?!と思った。

方向転換さえ済めばあとは採点対象にならないと言われていたので気が緩み、最後に車を戻す場所を勘違いして明後日の方向にハンドルを切ってここで今日初めて補助ブレーキを踏まれた。終わったからどうでもいいのサ……

ここで死んだ魚の目をした彼は追い出され、ミスの指摘、いや、アドバイスタイムに入った。
まず、
「黙ってたけどずっとシートベルトねじれてたよ」
と言われた。そ、そうなんだ……。
「まぁ、つけてたからいいけど、ねじれてると効果落ちるから」
「はい……(減点はされてないっぽい……?)」

その後は、注意したところの状況判断が遅すぎたとか、君はすぐにアクセルを構える癖がある、こんなにガチャガチャガチャガチャする人いるか??と極端な実演をされたりだとか、場内で脱輪しかけた原因を解説されたりした。ギリギリ脱輪はしていない(←良かった!!)、よく気づいたねとも言われた。私としては直前に無駄に教本を読んだ以外にないと思っていたのであまりピンと来なかったが、プロが言うのならそうなのだろう。御指摘が一通り終わった後、

「で、体調悪いらしいから結果聞いたら帰っていいけど、後日卒業証明書取りに来てもらわないとダメなんだよ。次いつ来れるの?」
と言われた。
「ちょっと今は分からないです……(つまり受かったってこと❔❕)」
「まぁ1年以内に免許センターで学科受けないと教習所でやったこと全部無かったことになるから気をつけて。じゃ、中で待ってて」
「ハイ、ありがとうございました」

多分受かったのに、体調が悪すぎて、エンジンを切ったあたりから自分の顔から本格的に血の気が引いていくのを感じていた。
土曜日は人が多い。皆大抵待ち時間はスマホをいじっているが、その日(昨日)は地上波に大谷か映っていたからか半分くらいの人が顔を上げてテレビを見ていた。私にとってテレビは基本雑音なので、また気持ち悪くなった。目が回る。AirPodsのノイキャンが仕事をしない。兎にも角にもはよ結果教えてくれ、そしてはよ帰らせてくれ。

つづく

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