このロボアニメを見るべし・基礎用語編『スーパー系・リアル系』
第二回更新のアイディアを温めつつ、今回はノーカウントの基礎用語編です。
「スーパー系?リアル系?」
モ人はゲーム・スーパーロボット大戦が大好きでした。もう十年近くご無沙汰ではあるのですが(今でも、時間と元気とお金が有り余っているのなら、やりたいとは思ってますけど)
スーパーロボット大戦シリーズの(おおよそ)第五作目『第四次スーパーロボット大戦』にて、始めてこの世に出てきた「考え方・分類法」がタイトルにある「スーパー系ロボット」「リアル系ロボット」の二分類です。ざっくりと、基礎的な概念・定義と付随する各種あるあるを見ていきましょう。
スーパー系 とは
スーパーロボット。そう耳にして真っ先に思い浮かぶのはテーマソングの「スーパー♪ロボット!マジンガーZ(ゼット)~♪」というフレーズ。鉄(くろがね)の城、マジンガーZですね。
スーパー系というのは「そのロボット一つが世界を変える能力・要素・存在感を放つ、特別なロボット」といえます。
なんといっても一般のロボットではなく、スーパーなロボットですからね。特別です。原動力が光子力とか、ゲッター線とかそういう「特別なもの」「有用だけど、得体の知れないもの」となっており、「ロボを扱う巨大すぎる力を、主人公がどう扱うのか?」というのがシリーズを通したテーマ・問いかけになります。サポート陣やロボ開発経緯が天才科学者とごく一部の研究員で構成されがちです。
敵も特別なスーパーロボットだけを狙って自慢のメカ怪獣(!)なりなんなり、それっぽい異形の巨大ロボを送り込んできます。おおむね週一のペースであの手この手の異形ロボを送り込んでは、番組後半にスーパーロボと戦闘を行い、番組前半の日常生活パートでの気づきや偶然の発見、友人などの応援によって戦闘に活路を見いだした主人公が逆転劇をキメる!というのが王道のパターンとなります。
リアル系 とは
ロボアニメを語る段階で「リアルだ…」というのは、世の中を知らない高校生までは許される気がするのですが…分別のある大人である我々は「分類名、便宜上、スーパー系に対すると比較的」と冷静な気持ちで「(相対的には)リアルである」と抑えめに表現しておきましょうか。
リアル系ロボット筆頭として「機動戦士ガンダム」を挙げるのがお約束なのですが、何がどう「リアル」かといいますと、「そのロボット一つが世界を変える能力・要素・存在感を放つ、特別なロボットではないこと」と表現しておきましょう。
「ガンダムだって、世界を変えて戦争を終わらせただろうが」
「ガンダムは連邦軍の開発した初のモビルスーツであり…」
「敵方であるジオン軍に『白い悪魔』と恐れられる存在感あったですやん」
おお!聞こえてくるぞ!ツッコミの数々が!!
もう少し踏み込んで定義すると「物語の中で主人公が乗るロボットと同一カテゴリーのものが一般的に普及している」のはリアル系といえます。主人公のロボも、そりゃ物語の主人公ですからね、特別ではあるのですが「その世界の一部でしかない」わけです。マジンガーのように、世界中の敵が主人公だけを狙ってくるわけではなく、物語全体に何かしらの状況(だいたい戦争)があり、その状況の要所要所で活躍はするものの、状況そのものを単騎の力でエイヤッと変えるわけでもない。
状況を変えるのは主人公を中心として組織(チーム)だったとしても、大勢の人間の意思・意図が複雑に絡み合った結果であり、「ただ一人の人間の選択・能力ではなく、大勢の人間が世の中を少しづつ、しかし、しっかりと変えていく」という群像劇的なプロセス自体が「リアル」である。最近モ人は「リアル系」という言葉をそんなふうにとらえています。
物語の構成は、主人公がやむをえず軍の試作兵器(量産を考慮しない高いスペックである事が多い)に乗り込んでしまい、生き残る為に不本意ながら状況に巻き込まれていくうちに…という流れが多く、大河ドラマのごとく毎週のエピソードにすこしづつ関連があるものがほとんどです。スーパー系だと状況とお約束が理解できていれば多少見逃してても断続的に継続視聴可能ですが、リアル系だと序盤・中盤・終盤に連続エピソードが入りがちで、放送を飛ばすとついていけなくなる事もあります。
相対的な要素比較
スーパー系は、リアル系に比べて…
1.正体不明の超エネルギーで動くので必殺技をもっている(事が多い)。そして、ワザの名前を叫んだり、見栄を切ったりする。必殺技を使った後には動きが鈍くなったり、一定時間動けなくなったりと制約がある。
2.大きい上に頑丈である。ただし、動きはあまり素早くなく敵の攻撃はかわすというより受け止める事が多い。とっくみあい、殴り合いが主な戦闘風景。
3.敵は古代人とか異星人が多い。特に幹部以上は人間味があるものの、末端の兵士(?)やメカ怪獣(!)の人格が描写される事はまれであり、敵との交流のようなエピソードは珍しい(無いことはない)
4.ロボットそのものをどう扱うかで世界を守る事も壊す事もできる(ぐらいの存在感がある)。その選択を迫られる主人公達、というながれも多い。
リアル系は、スーパー系に比べて…
1.必殺技も無いことはないけど、技名を叫んだりはしない。技、というより「同世界、他のマシンに比べて特に優れた特徴」という描写が多いか。
2.スーパー系に比べると若干小ぶりな傾向(ガンダムの18mは標準サイズ。レイズナーはちょっと小さめ)動きが素早く、銃撃戦が主な戦闘風景。当然例外もあるが、この要素だけをもって「スーパー系・リアル系」という分類はあまりにもゲーム視点すぎて苦手。
3.敵は人類の別の国・軍だったり、異星人でも地球人と同等以上の文化・文明レベルの持ち主が多い。味方だった先輩や友人、果ては兄弟姉妹などが敵陣にいる事が多く「何故わかってくれないんだ!」とか「洗脳されているのか!」「お前が○○を死なせたんだ!!」といった人間ドラマを繰り広げる。
4.戦争など、色々な人間の思惑が交錯する状況を主人公の視点を通して目の当たりにする事で、「人間一人には状況をガラっと変える力はない」と思えるものの、「それでも、変えられる事はあるはずだ」という気持ちになれる。
…なんでこんな「分類」をしたかというと…シリーズを進める上で「便利だから」です。下記のような予告をするのにも、ね。
次回は90年代のスーパー系ロボットであり、放映から20年経とうとしている今なお燦然とロボット史に名を刻む名作を取り上げます。
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