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もじラ オカルト探訪日記2025/1/21
都内某所●●区には、見てはいけない道路標識がある———
もじもじ編集室にある日届いた1通の手紙は、そんな一文から始まった。
近年、街の物陰で、教室のすみっこで、テレビCMの楽し気な音楽にまじって、こんな噂を耳にすることが増えました。
もじもじ編集室の皆さまはご存じでしょうか。
最近、この噂を耳にして、それがなんだかどうしても気になってしまって、どうしても、どうしても。
どうしようもないんです。
オカルトに詳しいもじもじ編集室の皆さまであれば、この道路標識がどこにあって、なんの標識なのか突き詰めていただけるのではと思い、藁にもすがる思いでご連絡をいたしました。
突然こんなご連絡を差し上げてしまい申し訳ございません。
どうか、どうかよろしくお願いいたします。
2024年12月31日 ●●
手紙に並々ならぬものを感じた、もじもじ編集室 新米ライターのもじラは、この道路標識について調べてみることにした。
少しインターネットを漁ってみると、この噂を知っている人は多い。
ただ、はっきりとした情報は出てこない。
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それでも、根気強く調べてみると、いくつかの重要なヒントが見つかった。
「とある学生街の横断歩道で見たという人がいる」
「『進むな』と書いてある」
「今は封印されていると聞いた」
「それは、なにも書いていない」
「標識を見た友人が異世界へ行った」
「夢の中に出てきた」
「謎のラーメン屋の店主が設置したらしい」
「もじラ!かっこいい!」
「黒い人影が描かれている」
「もう帰れない」
どれも真実とは思えない話ばかりだ。
ただ、その中でもヒントはいくつか得た。
もじラは足で稼ぐタイプのライターだ。
都内に数ある学生街のラーメン屋を練り歩いた。そしてラーメンを食べまくった。
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月日は流れ、体重計の針は傾き、もじラもラーメンに飽き始めた頃、それは突然目の前に現れた。
あまりに不自然なのに、街の一部であるのが当然であるかのように、その標識はたたずんでいた。
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もじラは喜びと不安の入り混じる気持ちで、写真を撮った。
一度その標識に気付いてしまうと、どうしても目が離せない。
どうしても、どうしても。
心の不快な場所を誰かにジッとなぞられるような居心地の悪さに、さっき食べたチャーシュー丼が胃を逆流する。
あの、黒いビニールで封印された中にはなにが書いてあるのだろう。
もじラはそっと手を伸ばし
そのビニールに触れる———
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その日からもじラは帰らない。
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この記事を書いた人
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もじラ
「もじもじ編集室」ではたらく新米ライター。
やる気はじゅうぶんだがなにをするかはよくわかっていない。
もじラの日常 #もじライフ や好きな音楽・本・アートなど記事を書く予定
好き▶おんがく/zine/オカルト/ミステリー/喫茶/ピーポくん/ドトール/ファミチキ/柴田聡子
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