LEICA MP ドタバタ入手までの道のり
清水の舞台から飛び下りる思いで、新品のLEICAを購入しました。しかも、この時代にデジタルカメラでは無く、フィルムカメラのLEICA MPです。これまでLEICAは、中古を購入して愛用して来ました。最初のLEICAとの出会いは20年くらい前にロサンゼルスのカメラ市で手にれたLEICA M5、そしてLEITZ最初の一眼レフのLEICAFLEX、現在はLEITZ minolta CLを使っています。今後、フィルムカメラを新品で手に入れることは困難になるだろうと考え、ちょうど人生の節目を迎えたということもあり、妻と相談して意を決して購入しました。しかし、手に入れるまでの5ヶ月間、右往左往するドタバタの道のりでした。自分の飽くなき物欲と優柔不断な性格が、このドタバタ劇場を招いてしまいました。その道のりを紹介します。
LEICA MPをオーダーするまで
一昨年、会社の部下が、奥様の祖父母が他界し形見分けでLEICA M7を手に入れました。それを見せてもらい、かつてLEICA M5を使っていたので、再びM型ライカ熱に襲われてしまいました。その時は、所有していたRollei 35Sを楽しむことで、なんとか切り抜けました。ライカブームの中、あえて逆張りするイメージです。しかし、今年3月にeBayで程度の良いLEITZ minolta CLを見つけて、「やはりMマウントが欲しい」とドタバタで購入しました。そして、これでM型ライカに対する熱を冷ます予定でしたが、逆にLEICA M5で楽しんだことを思い出し、むしろ購入熱が高まってしまいました。こういうモヤモヤした気持ちを持っているのは不健康と考え、M型LEICAを買う事にしました。
M型LEICAと言っても、今の時代はデジタルです。しかし、この時点ではデジタルのLEICAにはあまり興味がありませんでした。何故ならば、デジタルはCANONのシステムがあるから十分と考えていたのと、LEICAは高価なので一生モノと考え、進化が止まった機械式フィルムカメラ一択でした。現在販売しているフィルムM型LEICAは、露出計の無いLEICA M-A (Typ 127)と露出計のあるLEICA MP 0.72のどちらかです。面倒くさがり屋の私には露出計があると便利なのでLEICA MPという選択になるのですが、さらに決め手になったのがブラックペイントです。ブラックペイントは、使っているうちに塗装が剥げてゴールドの真鍮が出てきます。昔、M3などのブラックペイントのエイジングに憧れていたことから、このブラックペイントは魅力的です。将来、娘が父親の使い古したLEICAを引き継ぐというシーンを勝手にイメージしました。数十年後、35mmフィルムがまだ残っているかという問題がありますが、、
MPは2003年発売で、もう17年が経過しています。いつディスコンになってもおかしくありません。ラストチャンスです。
5月28日:LEICA MPをオーダー
まず、5月28日にLeica Store New York SOHOのオンラインストアでオーダーしました。この日を選んだんのは、娘の誕生日だからです。将来の誕生日に彼女に譲るというストーリーです。他のオンラインショップでは、在庫切れで入庫次第連絡してくれる”Notify Me”で購入できませんでした。唯一、LEICA Leica Store New York SOHOが購入を受け付けていたのです。ところが、この店も在庫を切らしており、結局、購入手続きをしたものの入荷待ちという状態でした。店からは、入荷待ちは私しかいないので、入荷次第発送するとの連絡がありました。クレジットカードの決済も保留状態です。
しかし、1ヶ月経っても入荷する気配がありません。日本のライカショップなら買えるのではと思い電話をしてみると、どうやら日本でも順番待ちで半年くらいかかると言われました。また、米国への発送もしていないとの事でした。これは気長に待つしかありません。
7月14日:CANON EOS R6をオーダー
そして7月9日にCANONが、R5とR6を正式発表しました。ミラーレスのCANON機を心待ちにしていただけに、R5とR6はインパクトがありました。とくに、ダークホースだったR6は魅力的でした。1週間ほど考えてR6を買うことに決めました。早速、マウントアダプター「Drop-In Filter Mount Adapter EF-EOS R with Variable ND Filter』 と一緒にR6をB&Hでオーダーしました。R6は8月末の発売なので、1ヶ月半ほど待ちます。先にマウントアダプターだけが届きました。このマウントアダプターは、NDフィルターやPLフィルターを装着できる優れものです。この時点で、EOS R6とLEICA MPの2台をオーダーしている状態になりました。
8月10日:CANON EOS R5をオーダー(LEICA MPをキャンセル)
R6に先駆けてR5が7月30日に発売され、YouTubeで様々なレビューがアップされました。そのレビューから、R5の素晴らしい仕上がりに魅了されました。CANONが本気で作ったミラーレス機です。動画に関しては熱問題などが取り上げられていましたが、写真を撮るには間違いがないモデルだと確信して興奮しました。R6ではなく上位機種のR5にしようと考えを変え、8月10日にR6をキャンセルしてR5に変更しました。その場の雰囲気で流されるタイプなので、困ったものです。そして、流石にR5は高価ということもあり、いつまでも入荷しないLEICA MPも諦めてキャンセルしました。この時は、LEICA MPには縁が無かったと自分に言い聞かせました。しかし、R5は初期出荷以降、全く入荷する気配がありません。11月5日の現在でもB&Hでは入荷待ち状態です。発売してから3ヶ月経過しても、流通量が限られているのは、CANONとしても機会損失のダメージを被っていると思います。生産体制がコロナによって思い通りに行かないのでしょうか。
9月23日:CANON EOS R6を再びオーダー(EOS R5をキャンセル)
8月末にR6が発売され、同じくYouTubeで様々なレビューがアップされました。R5とR6の比較動画なども出回ります。それをチェックすると、やはりR6のバランスの良さを再認識しました。最初は2010万画素では心許ないと思っていましたが、レビューや作例からその心配は杞憂に過ぎませんでした。そしてR5の4500万画素はデータの重さから取り回しが大変だというレビューも多々ありました。瞳オートフォーカスで、バシバシ娘を撮りたいという思いから、R6の方がその用途に適していると考えを改め、R5をキャンセルし再びR6をオーダーしました。
9月30日:Leica M10 Monochrom "Leitz Wetzlar”をオーダー(EOS R6をキャンセル)
しかし、R6も入荷待ちが長く続きました。その間、EOS 5D Mark IVを使っていると、この一眼レフの素晴らしさを再認識します。瞳オートフォーカスに頼らなくても、本当に良い絵が撮れるんです。3040万画素というのも良いサイズ感です。そもそもミラーレスが必要なのか?という根本的なところで自問自答が始まりました。世の中のミラーレスという潮流に踊らされているのでは無いか、と悶々とする日々です。そんな中、Leica M10 Monochromの写真に出会い、その素晴らしさに感動しました。ブラックアウトされたステルスデザインも格好が良いです。LEICAはフィルムと決め付けていましたが、色々と調べてみると、それは勝手な思い込みでデジタルも魅力的なカメラであると知りました。とくにモノクロ専用機はエッジが立っている商品です。しかし、あまりにも価格が高い。R5の2倍以上の価格の$8,295には目玉が飛びで出ます。その中で、特別モデルの"Leitz Wetzlar”バージョンを見つけます。今、愛用しているLEITZ minolta CLと同じく、軍幹部に筆記体で"Leitz”のロゴが入っています。これは、何かの運命的な出会いと勝手に理解して、9月30日にR6をキャンセルしてLeica M10 Monochrom "Leitz Wetzlar”をオーダーしました。しかし、このカメラもバックオーダーで入荷待ちです。
11月2日:LEICA MPを再オーダー(Leica M10 Monochromをキャンセル)
Leica M10 Monochrom "Leitz Wetzlar”をオーダーしてから1ヶ月が経過し中々入荷されません。B&Hでは、R6がデリバリーできる体制になっていました。これまで、何度もオーダーしキャンセルしてきたのは一体何だったのだろう?と自分が情けなくなってきました。そもそも、M10 Monochrom "Leitz Wetzlar”は、本当に売り出すのか不安になります。イライラが募りLEICA US オンラインストアを見ると、LEICA MPが”Notify Me(入荷したら連絡)”から”Add to Cart(購入)”になっていました。あれ、これは購入できるの?と驚きました。しかし、Leica Store New York SOHOのオンラインストアでオーダーした経験では購入したものの、結果として入荷待ちでした。とりあえず、期待せずに購入手続きをしました。しかしこの時、Appleカードが不審な高額取引と判断され、不承諾とされカードがロックされてしまいました。慌てて、アップルのサポートに電話をしてロックを解除してもらい、無事に決済ができました。この5ヶ月間、何度もカメラをオーダーしましたが、カード決済まで行ったのは初めてです。そして、オンラインストアでLEICA MPを確認してみると、”Notify Me”に戻っていました。どうやら一台だけ入荷したようです。程なくカメラの発送を知らせるメールを確認して、Leica M10 Monochrom "Leitz Wetzlar”をキャンセルしました。どうやら、今回は本当に購入できたようです。
11月5日:LEICA MPを入手
とうとう、手元にLEICA MPが届きました。この5ヶ月間のドタバタにやっと終止符を打ちました。こちらの宅配クオリティはとても低く、これまで配達中に壊されたこともあったので、かなり心配していました。しかし、梱包はしっかりしており、中身は全くダメージがなかったです。
初めて新品のライカの開封の儀です。YouTubeで写真家夫婦上田家のLEICA MPの開封の儀を見ていたので驚きは無いものの、やはり緊張します。
ケースの中に入っているLEICA MPが神々しいです。
手にとって、デジタル製品とは異なり機械の塊であるLEICA MPの重みと、ブラックペイントの塗装の厚みから来るしっとり感をじっくりと味わい、新品のLEICAを手に入れた喜びを堪能しています。