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アポ・ズミクロン50mmをチェックしてみた - 2 <フィルムカメラ編>

お借りしているAPO-SUMMICRON-M 50 mm F2 ASPHをもっと深く知りたいということで、前回のデジタルカメラでの比較に引き続き、フィルムカメラのLEICA MP 0.72で色々とチェックしました。比較対象として、私のメインレンズであるVoigtlander Nokton Vintage Line 50mm F1.5 Aspherical II SCを使いました。

ちなみに、アポ・ズミクロンのフィルムとデジタルでの比較は、The M Photographyで素晴らしいレビューをしていました。とても詳細にレポートしているので大変参考になります。

ディテール表現

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LEICA MP 0.72 + APO-SUMMICRON-M 50 mm F2 ASPH (f8 1/500)

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LEICA MP 0.72 + Voigtlander Nokton Vintage Line 50mm F1.5 Aspherical II SC (f8 1/500)

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LEICA M Type240 + APO-SUMMICRON-M 50 mm F2 ASPH (f5.6 1/500)

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LEICA M Type240は、1段暗かったので絞りを1段開けています。まず、アポ・ズミクロンとノクトンとの比較では、シャドウ部分においてアポ・ズミクロンの方が情報量が多いのが分かります。ノクトンはコントラストが高くメリハリが効いていますが、シャドウ部の情報はアポ・ズミクロンに及びません。デジタル(LEICA M Type240)との比較ですが、フィルムならではの粒状感があるものの、デジタルに負けないしっかりと解像されているのが分かります。スキャナーはPlustek OpticFilm 8200i SEを使っていますが、もっと高性能なスキャナーを使えばさらに描写が良くなると考えればフィルムに伸び代がまだあります。

背景ボケ

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LEICA MP 0.72 + APO-SUMMICRON-M 50 mm F2 ASPH (f4 1/1000)

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LEICA MP 0.72 + Voigtlander Nokton Vintage Line 50mm F1.5 Aspherical II SC (f4 1/1000)

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LEICA M Type240 + APO-SUMMICRON-M 50 mm F2 ASPH (f4 1/1000) 

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LEICA M Type240 + Voigtlander Nokton Vintage Line 50mm F1.5 Aspherical II SC (f4 1/1000)

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特筆できるのは、なんとも言えないソフトなボケです。ノクトンのボケは、アポ・ズミクロンと比較してコントラストがあるので少し煩いですね。ただ、玉ボケに関しては、絞り羽根枚数でアポ・ズミクロンの11枚に対してノクトンは12枚と1枚多いだけあって円がより滑らかです。

開放での奥行き感

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LEICA MP 0.72 + APO-SUMMICRON-M 50 mm F2 ASPH (f2 1/30)

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LEICA MP 0.72 + Voigtlander Nokton Vintage Line 50mm F1.5 Aspherical II SC  (f2 1/30)

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LEICA MP 0.72 + Voigtlander Nokton Vintage Line 50mm F1.5 Aspherical II SC  (f1.5 1/60)

アポ・ズミクロンの前ボケの点光源が、若干レモン型になっています。ノクトンの方が周辺減光があり、開放F1.5だとさらに周辺減光が目立ちます。しかし、F2における差はじっくり見てわかる程度です。

感想

フィルムカメラでも、アポ・ズミクロンの性能を感じることができました。一方、ノクトンも負けないくらい素晴らしい描写をしています。

The M Photographyのレビューでは、エルマー 50mm F2.8とアポ・ズミクロンを比較していました。このレビューでは、描写性能に大きな差がありました。しかし、ノクトンと比較するとそこまでの差は感じませんでした。正直に言えば、このテストを通して分かったのは、アポ・ズミクロンと比較した上でノクトンで十分満足出来ているということです。アポ・ズミクロンを買うよりも、その差額でSUMMILUX-M 35mm F1.4 ASPH.など他の画角のレンズを購入した方が写真表現の幅が広がると思いました。ただ、レンズはロマンなので、ライカのプライドを掛けて、一切の妥協を許さずレンズの設計の限界に挑んだ姿勢に対する価値は確実にあります。そういう意味でアポ・ズミクロンを買ってしまう気持ちが分かります。実際、カメラに装着するときにドキドキします。そういうレンズは珍しいと思います。


<フィルム写真>
カメラ:LEICA MP 0.72
レンズ:APO-SUMMICRON-M 50 mm F2 ASPH. / Voigtlander Nokton Vintage Line 50mm F1.5 Aspherical II SC
フィルム:ILFORD HP5 PLUS
現像液:Kodak HC-110 希釈率H
停止液:水
定着液:TF-4 ARCHIVAL RAPID FIXER
水洗:水
水滴防止剤:Kodak Photo Flo 200
スキャナー:Plustek OpticFilm 8200i SE
スキャンソフト:SilverFast SE Plus 9

<デジタル写真>
カメラ:LEICA M Type240
レンズ:APO-SUMMICRON-M 50 mm F2 ASPH. / Voigtlander Nokton Vintage Line 50mm F1.5 Aspherical II SC
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