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LEICA M11-Dを1週間使ってみた感想

あらゆる要素を削ぎ落としたミニマルなデザインが特徴のSIGMA BFが発表され、話題になっています。私が迎えたLEICA M11-Dも、それに負けないほどミニマルなコンセプトを持つモデルです。

しかし、LEICA M11-Dを迎えたものの、初期不良が発覚し、返品交換となりました。幸いにも、B&Hの迅速な対応のおかげで、今回の西海岸家族旅行にLEICA M11-Dをコンパニオンカメラとして持っていくことができました。この旅行ではメイン機として活躍し、1週間以上使用したので、その使用感についてまとめました。

M11-Dは、背面の液晶モニターがないことで、フィルムライクな撮影体験を提供する独特なモデルです。MP 0.72とハイブリッド運用する私にとって、理想的なモデルになると期待しています。


モノリス

背面モニターがないだけで、他のデジタルカメラとは一線を画す孤高の存在感を放つM11-D。そのシンプルな佇まいは、フィルムカメラよりもさらに研ぎ澄まされ、まさにミニマリズムを体現しています。当初は、LEICA M10-Dに採用されていたフィルムの巻き戻しダイヤルを模したISOダイヤルや、巻き上げレバー風のサムレストに惹かれ、それらがフィルム機に近いデザインとして魅力的だと感じていました。しかし、M11-Dはそうしたギミックを排し、より純粋な機械としての美しさを追求したモデルとなっています。その潔いデザインは、まるで『2001年宇宙の旅』に登場するモノリスのような存在感を漂わせています。モノリスが人類の進化を促したように、M11-Dが自分の写真技術を進歩させてくれるのではないか——そんな期待すら抱かせる一台です。

軽さの魅力

「軽いは正義」と言われますが、M11のブラックモデルは本当に軽い。マグネシウムとアルミニウムを採用したボディです。フィルム機のMP 0.72よりも軽量なのが印象的でした。この軽さに、コンパクトで軽量なスチールリム復刻版を組み合わせることで、最適なセットアップになりました。往復2時間のトレッキングでも、全く負担を感じることなく持ち歩けました。
M11-Dに、Elmar 3.5cm F3.5を組み合わせたらコンデジです。真鍮のボディは、エイジングを楽しめますが、この軽さならばマグネシウムとアルミニウムも悪くはありません。車で言えば、アルミボディやマグネシウムホイールは高級車ですね。

使いやすくなったISOダイヤル

M11-Dでは、ISOダイヤルが背面に移動しました。M10やM11のようにフィルム巻き上げノブを模したダイヤルではなく、Leica M-D 262と同様、そしてM型フィルムカメラと同じ背面ダイヤル方式に戻っています。M10-PではISOダイヤルが硬くて使いづらく、結局ISO400に固定していたのですが、M11-Dの背面ISOダイヤルは操作が簡単で、気軽に変更できるようになりました。その結果、AUTO ISOの使用頻度が増え、さらにシャッタースピードもAUTOにすることで、状況によっては、カメラ任せの撮影スタイルを楽しんでいます。

高画素機とデータ容量

M10-Pは2400万画素でしたが、M11シリーズでは6000万画素、3600万画素、1800万画素の3種類から選択可能です。私の使用スタイルでは6000万画素は不要と判断し、3600万画素に設定していますが、それでもデータ容量は大きいと感じます。6000万画素で撮影している方々には感心するばかりです。
しかし、記録形式をカメラ単体で変更できないのは不便です。時々、6000万画素で撮ってみたいと思う時もあります。その時、わざわざLeica FOTOSに繋げて記録形式を変更するのは面倒です。これに関しては、サムホイールやファンクションボタンを駆使して、カメラで設定を変えるようにしていただきたいものです。

バッテリーと充電

LEICA M11-Dは、充電器が付属していません。他のM11-Dシリーズでは充電器が付属しているようなのですが、さすがミニマリストのこころをくすぐるためか、充電器は省かれてしまいました。しかし、USB-Cケーブルで直接充電できるので、全く不便には感じていません。バッテリーの容量も大きいのでM10-Pのように予備バッテリーも必要としていません。確かに底プレートが無くなったのは寂しいですが、非常に合理的で利便性が高まったのは間違いありません。今回の西海岸家族旅行では、この大きな進歩を存分に享受しています。

MP 0.72との併用

これまでMP 0.72とM10-Pのハイブリッド運用をしていましたが、M10-Pの故障を機にM11-Dを導入し、よりフィルムライクな体験が深まりました。M10-Pでは、光環境が難しい場面ではまずデジタルで撮影し、背面モニターで確認してからMP 0.72で撮影するという方法を取ることがありました。しかし、M11-Dでは背面モニターがないため、その方法は使えません。その分、フィルム撮影のような純粋な体験を楽しめるようになりました。

測光方式

デフォルトの測光方式は多分割測光になっていますが、「ライカならスポット測光だろう」と勝手に思い込み、設定を変更しました。しかし、その結果、若干オーバー気味の露出になる傾向がありました。そこでデフォルトの多分割測光に戻したところ、ちょうど良い露出が得られるようになりました。

Leica FOTOSの活用

LEICA M10-Pでは、全く使っていなかったLeica FOTOSですが、M11-Dでは重宝しています。背面モニターを廃したことで、撮影する場においては、撮影結果を全く気にしなくなりましたが、フォトウォークが終わりカフェなどで休憩の際は、Leica FOTOSに繋げて写真をチェックします。場合によっては、うまくいっていない写真を削除したりもします。ファンクションボタンを5秒間長押しするだけで、簡単に繋がるので便利なアプリです。M10-Pでは、繋げるのにひと手間かかったので、便利になりました。

長い立ち上がり時間

気に入っているM11-Dですが、唯一の不満はスリープからの立ち上がり時間の長さです。特にMP 0.72と併用していると、その遅さがより際立ちます。人によっては、撮影のリズムを崩してしまうこともあるでしょう。MP 0.72は、フィルムを巻き上げていなくても、素早く巻き上げレバーを操作すればすぐにシャッターを切れます。そのため、スピード感があり、自然なリズムが生まれます。一方で、M11-Dのスリープから復帰するまでの数秒間は、非常に長く感じられます。M10を好む人が多い理由の一つは、こうした動作のレスポンスにあるのかもしれません。

センサーのゴミ

手元に届いてから、スチールリム復刻版を装着し、そのまま使い続けていました。ところが、あるときセンサーにいくつかのゴミが入っていることに気づきました。レンズ交換をしていないのにゴミが入るとは不思議です。レンズ側に付着していたゴミがセンサーに移ったのかもしれませんが、そんなことが本当にあるのかは分かりません。そこで、ライカロサンゼルスに持ち込み、センサーの清掃をお願いしました。しかし、作業には約2日かかり、費用は$170とのこと。さすがに高額だと感じました。試しに「1週間前に届いたばかり」と伝えたところ、センサーをチェックしてくれ、ブローで簡単に掃除してもらえました。とりあえずゴミはなくなったようなので、一安心です。このライカロサンゼルス店は、これまで訪れたライカストアの中でも、最もフレンドリーな店舗だと感じました。

今回の旅を通じて、M11-Dの魅力と使い勝手を実感することができました。今後もMP 0.72との併用で、より深い撮影体験を楽しんでいきたいと思います。


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