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ズミルックス復刻版というロマン(沼)
機材をいくつか整理し、その資金でズミルックスM 50mm f1.4 ASPH ブラッククロームをお迎えすることにしました。
私は、もともとf2まであれば十分であるというスタンスで、ズミクロンやエルマリート、エルマーで撮影を楽しんでいました。しかし、半年前にズミルックスM 35mm f1.4 スチールリム復刻版を手に入れてからは、LEICA M10-Pの常用レンズとしてこよなく愛用しています。このレンズは、開放で柔らかくソフトに滲むドリーミーな描写で絞ると切れ味ある描写に変化します。また、最新モデルのモダンなスタイリングと異なり、スチールリムが醸し出す大変美しいクラシカルな外観が所有感を高める魅力的な存在になっています。
大口径レンズと言えば、スチールリム復刻版を入手する前からLEICA MP 0.72と一緒に購入したノクトン ビンテージライン 50mm F1.5 Aspherical II SCを愛用しています。真鍮製でブラックペイントというクラシカルなスタイリングがとても気に入っていおり、MP 0.72の常用レンズとなっています。開放f1.5なので、基本的にはズミルックスと同等のパフォーマンスです。結局、クラシカルな外観が好きなのです。
そんな中、ズミルックスM 50mm f1.4 ASPH ブラッククロームが気になってしまいました。このレンズは、貴婦人と呼ばれた1959年に発売されたズミルックスM 50mmの初期モデルをオマージュしたクラシカルな外観が特徴です。ただし、スチールリム復刻版と異なり、中身は非球面レンズ1枚とフローティングエレメント1枚を搭載したモダンな光学設計になっており、開放から良好な光学性能を発揮します。工学設計まで完全に再現し、オールドレンズテイストを味わえるスチールリム復刻版とはコンセプトが異なっています。
発売は2015年4月らしく、B&Hの説明では500本限定と記述されていますが、8年経った今でも普通に購入できます。また、ライカUSAオンラインショップでは、ドイツ製は見当たらずポルトガル製が販売されていますが、500本限定という記述は見つかりません。500本限定モデルから通常販売に企画変更になったのかと勘繰っています。いろいろ調べてみると、同じ疑問を持っている人がいました。PROSOPHOSのブログでは、まず、全く同じスタイリングデザインでLHSA limited special editionが500本限定で発売されたようです。その後、通常モデルとして、ズミルックスM 50mm f1.4 ASPH ブラッククロームが発売されたようです。B&Hの説明文はLHSA limited special editionのものを流用し誤解を招いていると言う見立てです。
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さて、ズミルックスM 50mm f1.4 ASPH ブラッククロームと、愛用しているノクトン ビンテージラインを比較すると、以下のようになります。
ズミルックスM 50mm f1.4 ASPH ブラッククローム
口径比 : 1 : 1.4
最短撮影距離:70cm
レンズ構成:5群8枚
サイズ:ø : 52.5 x L : 53.5 mm
重量:335 g
ノクトン ビンテージライン 50mm F1.5 Aspherical II SC(ブラックペイント)
口径比 : 1 : 1.5
最短撮影距離:70cm
レンズ構成:7群8枚
サイズ:ø : 55.3 x L : 36.9mm
重量:ブラックペイント:255 g
常識的に考えれば、開放f値が少し劣っているものの、コンパクトで軽いノクトンで十分です。つまり、ズミルックスなんか必要ありません。何たって価格は1/5です。開放f値をこだわるならば、貴婦人をオマージュしたノクトン 50mm F1.2もラインナップされています。
また、発売されたばかりの最新ズミルックスM 50mm f/1.4 ASPHは、最短距離45cmで価格も$700ほど安いです。もし、ライカ純正レンズにこだわるならば、今は最新のズミルックスを選ぶのが常識人です。
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しかし、クラシカルなスタイリングが気になってしまったからしょうがありません。ズミルックス復刻版の沼、もといロマンにハマってしまいました。
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存在感ある佇まいは、只者では無いことを感じさせます。また、通常モデルのフィート表示はオレンジ色ですが、このモデルは赤アクセントです。そのため、LEICA MP 0.72とのマッチングがとても良いです。ツヤのあるMP 0.72のブラックペイントとマットのブラッククロームとの組みわせも、あまり違和感を感じさせません。
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LEICA M10-Pシルバーモデルに合わせても、なかなかのイケメンです。
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しかし、一点問題があります。レンズフィルターを装着すると、その厚みでレンズフードを装着することはできません。クラシカルなレンズフードが格好良いのでガッカリです。また、レンズフード無しで運用すると、レンズの重さでお辞儀してしまいます。これは、サードパーティのねじ込み式レンズフードで誤魔化すか、極薄タイプのレンズフィルターを手に入れるか考えなければなりません。
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とりあえず、LEICA M10-Pでのファーストショット。クリーミーなボケは、ノクトンよりも優れているように感じます。
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フィルムでは、モノクローム(Fomapan 400)と、napaさんからお薦めして頂いたKODAK ProImage 100で撮ってみようと思います。