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72枚空シャッターの恐怖 <PENTAX 17>

毎日、娘がスクールバスに乗るときに写真を撮るのが習慣になっていました。その際のカメラは、もちろんPENTAX 17です。このカメラは72枚撮りができるので、心置きなく娘の毎日を切り取ることができます。今朝もPENTAX 17を持って、娘と一緒にスクールバスのバス停まで歩いて行きました。カメラのスイッチを入れ、フィルムを巻き上げ、モードをストロボにセット。そんな確認をしながら、バス停までの短い距離をゆっくりと歩いて行きます。何しろ、バスに乗る瞬間は一瞬の出来事なので、フィルムの巻き上げを忘れていると撮り逃してしまいます。今朝はフィルムカウンターが72を指していたので、これが最後の一枚になるはずでした。

スクールバスが到着し、乗車ドアの前でかがんでカメラを構えます。娘がフレーム内に入ってきたところで声をかけ、カメラに振り返ってもらいパシャリ。今朝も無事に撮影できました。さて、フィルムを巻き上げて最後の一枚を確認し、現像のためにフィルムを取り出そうとしました。ところが、まだ巻き上げることができます。「あれ、まだ一枚撮れるのかな?」と思い、現像に出すためにはちょうど良いモードだったので、家の前のお花をマクロで撮影しました。これで終わりかと思ったら、まだフィルムを巻き上げることができます。不安な気持ちがよぎり、試しに空を撮ってみましたが、それでもフィルムは巻き上がります。

嫌な予感がして、PENTAX 17をダークバッグの中に入れ、裏蓋を開けてみました。すると案の定、フィルムは全くローディングされていませんでした。

よく確認してみると、フィルムの穴(パーフォレーション)が破損していて、フィルムが空転していたようです。なぜ破損したのかは分かりませんが、ギアとの噛み合わせが悪く、フィルムを破損させてしまったのでしょうか。

フィルムのベロなので、上部のギアにはフィルムが無いことから、この部分の破損だけで空転してしまいます。イージーローディング方式だからと油断してしまいました。最近はライカやRollei 35Sではこのようなミスはなかったので、まさかPENTAX 17でミスをするとは思ってもみませんでした。フィルム巻き上げクランクの回転を確認するというフィルムカメラの基本操作を怠ってしまった、私の完全なミスです。

ハーフサイズカメラのローディングミスで、72枚分の空シャッターを切るという悪夢のような出来事でしたが、不幸中の幸いといえば、ダークバッグの存在です。これのおかげで、フィルムの状態を確認することができました。もし状況が分からないまま現像に出していたら、大惨事になっていたでしょう。こうして、夏の朝にひとつの恐怖を体験しました。

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