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ジェンダー・バックラッシュ。かつては見えなかった第3の勢力が怖い件。

🚨注意書き
・筆者(私)は、著者の思惑から離れて、この本を読んだ。
・著者(Sok Hyan氏)は、バックラッシュ派(保守)を批判する立場。
・当記事は、著者と保守派の双方を批判しない。

『ジェンダー・バックラッシュとは何だったのか』

ジェンダー・バックラッシュとは何だったのか』から、色々考えていく試み。

 この本の『バックラッシュ派』は、いわゆる保守派を指す。登場人物は故安倍氏や山谷えり子氏など。彼ら保守派にフェミニストは手酷く攻撃されて「性教育活動を成し得なかった」という主訴でこの論文は書かれている。出版は2016年。著者はSok Hyan氏。Sok氏の博士論文『日本女性政策の変化と「ジェンダー・バックラッシュ」に関する歴史的研究』が纏められて、一冊の本になっている。

 保守派が彼女らに行ったバッシングについて、皆様には色々とご意見があるかと思われるが、ここではこの本を「時系列が記録された資料」として扱い、Sok氏の怒りをひとまず脇へ置き去りにする。申し訳ない。

 まずは下記の表を見て頂きたい。

第1章
現代日本社会の「ジェンダー・バックラッシュ」現象 より46頁

 『バックラッシュ派』の主張を見てみよう。

 そこには「男女性別否定」とあり、ジェンダー論者が「性差としてのセックスの差を認めず」や「トイレ・風呂・更衣室の男女共用化」などを進めていると批難されている様子が読める。しかしSok氏は、「ジェンダー論者は『そんなことは主張していない』」と、訴えている。
 上記表のCの2でSok氏は「性に関わる伝統の問題性」を挙げて「批判的に指摘するが廃止せよという主張でない。人の行動は時代によって変化するもので、自然だ・本能だと決めつけることはできない」とも訴えている。「性に関わる伝統」は「ジェンダー:性役割」を指していると思って差し支えないだろう。

 46頁表のSok氏の訴えは、古き良きフェミニズム内ではごく常識的なもの。
 では『バックラッシュ派』がバッシングしたさに嘘を吐いているかと言えば、そうでは無い。

https://www.amazon.co.jp
https://wan.or.jp/article/show/9090#gsc.tab=0

 能川氏♂は「身体性別などというものはない」と書き、岡野氏♀は「女子大学に入学する女性たちはすべて、トイレも更衣室も同じであることが当然でしょうし、部活動などでは、お風呂も一緒だということが前提とされるでしょう。そして、現在その大半の受験生が未成年であることから、ほぼ全ての学生にとって、適合手術を受けることは不可能なのです。」と書いている。

 岡野八代氏の文章を平たく言い直してみる。
「男性器あるトランスジェンダー者が女子大へ入学した場合、そのトランスの生徒には女子生徒と等しい権利があるので、トイレ・風呂、更衣室は全て一般女子生徒と共用すべき。」

ここで生物学的に女子の生徒が反抗したとしよう。

生徒「トイレ・風呂・更衣室の男女共用化は嫌です。」
先生トランス女性は女性です。男性扱いは差別です。」

生徒「しかし、男性器のある者は男性では?」
先生身体性別などというものはない、ということを早く理解してください。」

 つまり、46頁表の『バックラッシュ派』の言い分と同じ状態になる。

第1章 現代日本社会の「ジェンダー・バックラッシュ」現象 より46頁

しかし、Sok氏自身は「そんなことは主張していない」と訴えているのだ。

 この著書で言うところの『バックラッシュ派』と『ジェンダー論者』の双方が「嘘偽りなく、本当の事しか言っていない」と信じてみる。
 しかし、バックラッシュ派が述べた通りの主張もまた、実在する。

ここで『第3勢力』と呼ぶべき者が見えては来ないだろうか?

・『バックラッシュ派』は、正確に「男女性別否定論」を批判していた。
・『第3勢力』は『ジェンダー論者』に擬態していた。
・『ジェンダー論者』は身の内に潜む『第3勢力』の存在を見抜けなかった。
・そして『バックラッシュ派』は、『第3勢力』もろとも『ジェンダー論者』を吹き飛ばした。

 こう仮定すると、今現在の「トランス女性は女性です論争」の火種が、2000年前後には既に用意されていただろうことが浮かび上がってくる。

 2023年現在、各々は次のように呼ばれている。

・バックラッシュ派 → 保守派
・男女性別否定論  → トランスジェンダリズム
・ジェンダー論者  → ターフ(TERF:トランス排除派過激フェミニスト)
・第3勢力     → トランス活動家/クィア理論派/フェミニスト

 「健康的な性教育」の機会を「性自認思想流布」の機会にすり替えようとした「トランス活動家=第3勢力」こそ、性教育の機会を潰した戦犯であると言っても過言ではない。

 なお現在、男女性別否定論である「性自認思想」は、子供への布教を目指して、「包括的性教育」と呼ばれる思想を使って各教育機関に入り込んでいる。🤖


https://note.com/mojamojappa/n/n974d7ca6c5e5


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