【万年筆】セーラー万年筆「TUZU」のレビュー
※サムネイルは独身男性が戯れに描いた絵です。
このたび、セーラー万年筆の新作「TUZU」を迎えたので簡単にレビューしたい。
今回はちょっと辛口なのでセーラー信者には不快な内容になると思う。あらかじめご了承願いたい。
TUZUの特徴(簡単に)
・ボールペンと万年筆の同時リリース。
・首軸にくぼみがあって握りやすい。
・筆記角度を調整することができる。
・コンバーター付き。
総じて、初心者に向けて作られたものだと思われる。万年筆にある面倒な所作やルールを取っ払い、魅力を存分に引き出したモデルだと言える。
購入動機
推しの概念。
私の記事をいくつか読んだ方はお分かりだろうが、万年筆だけでなくアイドルの記事も書いており、「概念万年筆」「概念インク」の話もしている。厄介なオタクなのである。
そして、私が今猛プッシュしているアイドルグループ「蓮ノ空女学院スクールアイドルクラブ」。
推しが「夕霧綴理」ちゃんという。美人なのにちょっと不思議ちゃんなところもあってかわいい。
ん……?
TUZU(つづ)がピッタリではないかっっっ!!!!!!
そしてTUZU側も、限定色に赤をラインナップしている。推しのメンバーカラーは「ボクの赤」のため、これに合わせにきたとしか思えない(んなわけないけど)。
というわけで買う機会を狙っていたのだが、鉄ペンを今さら買うのもなぁ…と躊躇していた。しかし、ある日Amazonアウトレットに並んでいたので思い切って購入。
見た目
サステナブルな製品を謳っているだけあって、再生プラスチックで作られている。そのためか軸は太いが思ったより軽い。
しかし、光沢があるのでプラスチック特有の安っぽさは否めないか。もうちょいツヤを消してくれれば、なんとか……
キャップは嵌合式で、サクッと筆記するのに向く。首軸のくぼみもあって、自然と万年筆の握り方ができるため使うのも簡単だ。
……万年筆に詳しい方はここまで見れば分かると思うがこれ、絶対サファリがライバルである。以後、比較対象としてサファリを引き合いに出していくことにする。
価格
税込4,950円である。新品で比較すればサファリより若干安い。
「でも高くね?」と思うかもしれないが、それだけではない。なんと、コンバーターも付いてくるのだ!
定価が770円なので、差し引き4,000円弱で買えることになる。コンバーター別売りのサファリより初期コストが低いし、最初からつけておけば初心者にも分かりやすい。同じような価格帯では最もスタートに向く一本である。
なお、カートリッジも付いている。あの、サステナブルを謳うならどちらかの方が……
性能
さっきも書いたが、首軸にくぼみがあって握りやすい。ぶっちゃけここはサファリと同じだが、それよりくぼみが浅い。
万年筆の握り方はペンや鉛筆と異なる上、脱力して書くことが求められる。これで強制的に矯正しておくと、今度万年筆を買い増した時に役に立つだろう。
そして目玉は筆記角度の変更。
TUZUは首軸を動かすことで、ペン先の角度を変えることができるのだ。
手順はこう。
まず胴軸を外し、首軸の銀のリングを回して外す。
すると、首軸を下げられる。自分の心地よい角度に回して完了だ。
これが10度間隔で変えられるらしく、けっこう細かい変更ができる。自分の細かいクセにも対応できるため、新感覚の筆記感が楽しめる。
持ち方に癖がある人にはありがたい機能だが、初心者こそ依存しない方がいい気もする。変な癖をつけたままだと他の万年筆を扱えないからである。最初から癖に合わせるのではなく、「書いている途中でひねってしまう」といった例において、あらかじめ角度を合わせておくといった用途が望ましい。
ちなみに、セーラーでは首軸をガッツリずらすことでくぼみを親指や中指にあてることも提案している。力を入れすぎる人は中指に負担をかけてしまうため、平面にして力を逃すのはアリかも。
書き味
気になる書き味だが、スチールなので硬い。というか、スチールの中でも硬い方かもしれない。ほとんどしならない。
でも、コンセプトからして正解だと思う。初心者向けなんだもの。デフォルトゴリラ筆圧な現代人に、繊細なタッチで書かそうとしてもストレスが溜まるし、壊すかもしれない。硬くて正解である。滑らかではあるし、個人的には結構気に入っている。
私は太字を選んだが、ちゃんと国産の太さになっていると思う。舶来と比べたらBでも細いと感じるが、日本語を書くのに適した字幅である。
EFがないのが気になるが、ノートや手帳には細字、メモや大きめな文字のノートには中字、字幅なんてしゃらくせえ!なめらかに書かせろ!って時に太字を選ぶとよいだろう。
ただ、気になったのがインクのスキップ。
書いていると、高頻度でインクが途切れたり、かすれたりすることがあった。AmazonやXのレビューでも同じ意見が少なからず見られるため、これは放っておけない問題だろう。
というわけでペン先をいじくってみたのだが、かなりスリットが詰まっている。
インクフローを絞っているのか、個体差なのか分からない。どちらにせよ、スリットを開いたらスキップは起きなくなったので、何らかの力が働いているに違いない。
うーむ、初万年筆でかすれたり線が細くなったりしたら萎えるのではないかな?意図したインクフローなのかもしれないが、個体差は頭に入れておいた方がよいかと思われる。もしインクが出なかったりかすれたり場合は修理に出すのも一考。ただし絶妙に保証がきかない。
まとめ
悪くはないが、惜しい!
いいものだと思うのだが、いまいち方向性に欠けるなと思った。
目玉の筆記角度変更だが、初心者に使わせていい機能ではないと思う。初心者こそクセや持ち方を意識すべきであり、最初から変更していいものか。どうしても直らない手ぐせを自覚したら使ってもいいと思う。
そして、微妙な高さ。筆記具はもう100円でも満足できるレベルにある。そこに最初の万年筆として5,000円はポンと出しにくい。それにこのテカリではちょっと価格相応のステータスを得られない。
サファリを引き合いに出したが、そちらは出回りすぎていてネットで2−3,000円もいける。新作で勝負に出るには厳しいフィールドである。
改めて、いい商品だと思うのだが、初心者向けなのに初心者向けでない感じがする。
ちょっと勿体無い売り方だ。軸のデザインやマーケティングをもう少し変えてみたら爆売れする匂いがするのだが……
以上、辛口(?)レビューでした。
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