【万年筆#1】万年筆との出会い

私は普段から万年筆を使っている。
ブログや頼まれた原稿を書く際、ネタやプロットをノートに書いてまとめたり、仕事の事務作業で使ったりと、用いる機会はそこそこ多い。書き味を試すためによしなしごとを書きつけることもある。万年筆で気取っているとかかっこつけとか、そういう気持ちは……まあ無くはないのだが(書くだけならボールペンを使えばよろしい)、基本的には実利を取っている形だ。

そんな私が万年筆沼に落ちたのは2年前。この界隈では若輩者である。

ただし、その前から文具沼にはハマっていた。万年筆沼にハマる前はそれ以外のあらゆる文具を試したといってよい。
当時、私は教育業界に勤めていたのだが、「学生でも買えるレベルの安くてありふれた、質のいい文具を探求したい!」と色々模索していたのだった。安いだけでなく、どこでも手に入るのがミソ。まあ、たどり着いたのは「グラフ500かスマッシュ、ちょっとプラスできるならS20」とありふれた答えだったが…。

それなら万年筆と出会うのも時間の問題のようだが、高い障壁もあった。
まず、簡単に入手できない。誰もが感じるところだろうが、万年筆関連の商品はコンビニですら見かけない。せいぜい、大きいホームセンターなどでひっそり、といったところだろう。今ではネット通販を利用できるが、学生の文具とはその日に入手できたり、最悪人に借りたりする性質でなくてはならないと思う。これでは学生に勧めにくい。

そして、ありがちな思い込みなのだが「万年筆は高い!」と思っていた。
おおむね、間違ってはいない。万年筆でも「安い方」の予算で、シャーペンやボールペンの「高い」と思えるラインは買えるだろう(舶来のブランドものは除く)。ただこれは、万年筆に触れた者だけが「そうとも言えないよ」と言えるものであって、触れる機会のない人には分かるよしもない。…まあ、万年筆の維持コストなどを考えるとペンより安いとは言えないが。


こういう風に触れそうで触れない万年筆沼だったが、たまたまカクノ(パイロット)が500円で売られていたのを発見。元々1000円くらいなのだが、グッとハードルが下がり「これなら万年筆を試せる!」と思い購入。結果、安易に沼に落ちることとなる。

現在は各種メーカーが努力し、1000円代で万年筆を買えるようになっている(バリエーションはものすごく少ないが…)。であるからして、一部においてはシャープペンやボールペンと同じような価格で使えるのである。万年筆としてのスペックも高級ラインと大幅に劣るようなことはなく、れっきとした万年筆として使えるのだ。

ただ、私はそれを知らなかったのである。というか、多くの方は知らないはずだ。そもそもペンですらいらない時代が訪れている。

しかし、最近はインクブームやマスキングテープ収集も相まって、「書くこと」に再びスポットが当てられつつある(まあ、「書くこと」に特別感があるのはいかがなものかと思うが…)。そんな潮流の中で、書くのが面白いと思っている私が、少しでも魅力を発信できればと思う次第。

短い連載になるかもしれないが、頑張って書こうと思う。




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