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離婚しなかった私
4年前、私は離婚を選ばなかった。
悩んだ末「今は決めない」を選び
今日まで夫婦を続けてみた。
結婚式の1ヶ月前、私たち夫婦は離婚の危機にあった。彼の秘密を暴いたらあれよあれよと芋づる式に出てきた色んな嘘。彼の両親は「私たちの子育てが間違ってました。ごめんなさい。もう離婚された方が良いと思います。」と平謝りに謝っていたが、私はもう訳が分からない。
悲しいやら
情けないやら
腹立たしいやら
体重は2週間で8キロ減り、夜は眠れず、髪は抜け、運転中やシャワー中は急に叫び出したい衝動にかられる。
こうなってしまった今、別れても別れなくても不幸なんじゃないかと思った。終わりの見えない辛い気持ちを持て余し、彼だけ自由になるのが許せない。とりあえずそばにいよう。嫌ならいつでも別れられる。私が苦しむ姿を見せつけてやりたい。そうしたらもしかするとひょっとすると改心して仲良く2人幸せな夫婦になれたりするかもしれない。色んな思惑、色んな未来がぐるぐると頭の中を渦巻く中で「今はまだ決めない」という事にした。
すると「別れるか」「別れないか」じゃなくて
「今か」「今じゃないか」の二択になった。
なんだか本当に言い訳くさいんだけど、その程度の決断だったら出来ると思った。逆にこんな小さな決断しか自信がなかった。一番傷ついているのにこのタイミングで人生の大きな決断させるなんて大変すぎる。眠れない食べられない一日中泣いている私にそんなことさせちゃだめだって。
決断ではなくてタイミングなら選べた。そして不思議と「今か?」と聞く私に「まだ我慢できる、今じゃない」と答えることができた。
泣く事しかできなかった私が2人の未来に期待した。
ふっと襲いかかる不安な気持ちには「いつでも別れられる」という選択が切り札になった。
閉鎖的な「夫婦」という人間関係の中で切り札が残っていることは、とてもとても大きな御守りとなった。
他人と幸せは比べるものではない。が、手を伸ばせばあったかもしれない未来はやはり眩しいし、よく目に滲みた。問題を先送りして何になるのか。ダラダラ生きる間にも自分を輝かせる人がいる。時間がもったいないんじゃないか?そんなことを思うと普通は別れるよな、何やってんだ弱虫めという思いでいっぱいになる。
しかし不思議なことに、
今となってはありがたいことに、
相談した人たちは別れを勧めなかった。
彼らは私がどんなに傷付いて憎んで苦しんでいてもただ話を聞き「私は味方だからね。」と口を揃えて同じことを言うだけ。みんな「決めない」私をただ見つめて抱きしめた。
唯一、離婚に反対(のようなものを)したのは意外にも私の両親。義理の両親は「別れた方がいいと思います」と平謝り。でも私の両親は「旦那がかわいそうだ、許してやれ。」「もう結婚しちゃったからなあ。」「男女のことだから口出しはできないよ。」「謝ってくれてよかったなあ。いつまで実家いるのよ。」と痴話喧嘩として扱った。
過保護だった両親があえて突き離すように接してくれた。はっきりと戻る道を見せてくれたから「すぐに答えを出さなくてもいい。そんな簡単じゃない。とりあえず今はそばに居てみよう。」と思えるようになったのかもしれない。
さて、そんな何も話がまとまらないまま家に帰って4年。また許してないけど、不思議なことに憎しみはずいぶん薄くなったきがする。
なんでもそうだけど、変わる時は徐々にだ。月が満ちるように 波が引くように 人の気持ちだって良くも悪くも日々少しづつ変わってゆくのかもしれない。
毎日、忘れたことはない。毎日、離婚を考えた。
でも 同じだけ
毎日、未来に期待して、毎日、彼を見つめてきた。
あの時決めなかった弱い私は
毎日決めなかったから
とてもとても強くなった。
幸せごっこを続けて迎えた今日があることを
少しずつ幸せも板に付いてきたかなと思うので
ここにご報告します。
よねんたちました。わたしは元気です。
あの時決めなかった弱い私に
最大の感謝と敬意をはらって。
ありがとね。
あれから私、歯を食いしばって尻に敷いたの
そしたら今
肩車されているみたいに楽しくやってるよ。
今日も切り札をぎゅっと握りしめる。
すがるような震える右手はもういない。
覚悟や希望を芯にして
カチカチになった切り札
祈るようにあっためるように
両手でしっかり包みこんだ。
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