無意味な抵抗
違う、違うし。
そりゃ、笑い転げて椅子に座れないのとか、可愛いけど、違うし。糸目が愛おしいとか、思ってないし。
天才的なフィジカルと感性で紡がれる唯一無二のパフォーマンスにいつでも目が奪われるけど、違う。
一度聴いたら忘れられない中性的な歌声とその技術に何度も心ときめくけれど、いやいやいや。
メンバーが泣いているとそっと近づいて抱きしめる優しさと、そうせずにはいられないであろう彼自身の脆さを思うと胸がきゅっとなるけど、これは違うの。
自分の魅せ方を知っていて、場面に合わせてキューティーとセクシーを上手い塩梅で操って
色んな顔を見せてくれるのに毎度心臓がもたないけど、いやいや、うん。
だって、全部わかってやってるじゃない。
「僕、可愛いもん」って思いながら首をかしげるんでしょ?
私もそのくらいわかるよ。そうだね、可愛いねって、言うのもなんか悔しい。でも可愛い。悔しい。むむむ。
「最近ジミンジミンって言ってるから、はい、ジミンちゃん」
友達はそう言って、彼が印刷されたレモナを渡した。私ジンペンなんだけど。
なんか悔しい。微笑む彼を見て、可愛くて少しむっとした。
違う、違うもん。
彼を見たって、骨はきしまないし。お顔を見て、涙とか出ないし。
いや、まあ、「わっ」って声は出たりするけど。たまにね、そう、たまに。
それに、好きだって認めたら、もう帰ってこられない気がする。
彼の一部と、私の一部を交換こする、それが彼のコミュニケーションスタイルだから。
そんなことしてしまったら、依存体質の私は一生離れられない。怖い。
「どんな僕が良い?可愛い子犬にもなれるし、素敵な王子様にもなれるよ。それとも、もっと怖いのが、良い?」
…笑ってくれてたら、それでいいよ。君が幸せなら、それで。
「嘘つけ。こんな僕、見てみたかったんでしょう?」
そういって、彼はまた新しい魅力を振りまく。
ああ、全部わかってやってるんだろうな。
意図せず出てきた「うっかり」も、全部プラスに変わるもんな。ああ、わかってるのに。
今日もまた、色彩豊かなパレットから描き出される様々なあなたに、翻弄される。
…私、ジミンペンじゃ、ないもん。