街角クラブ〜ミナスサウンド⑦/グルーポ・コルポ
・グルーポ・コルポについて
ミナス発の世界的な活躍をみせるコンテポラリーダンスグループ「グルーポ・コルポ」。パウロ・ペデルネイラスを中心に当時15〜17歳だった彼の5人兄弟により1975年に創立されている。
“Corpo=身体”を意味する名前の通り、身体的な表現を使ったダンスを演出している。ピナ・バウシュにも通じるアグレッシブなダンスグループともいえる。(今年日本で公開されたルカ・グァダニーノ監督のサスペリアの劇中のダンスも、これらに近いコンテンポラリーダンスが描かれていた)
現在もほぼ毎年新作を発表しているほど、活発に活動を行っている。
ミルトン・ナシメントから始まり多種多様なMPBのミュージシャンの音楽を起用しており、舞台のサントラも合わせてリリースされている。
・事の始まり~ミルトンへの楽曲依頼
パウロとホドリコ・ペデルネイラス兄弟はミルトン・ナシメントに舞台の音楽を依頼し、ミルトンは快諾。1976年、バレエ「Maria,Maria」はブラジル国内でロングランヒットを飛ばす。
・Maria,Maria(1976)
タイトルの「Maria,Maria」はアルバム「Clube da esquina2」にも収録され、こちらもヒットを記録。グルーポ・コルポの公演も海外14カ国で公演を行い長い期間行われていた。
4年ものロングランの後、新たな作品に取り組むべく再びミルトンに声がかかる。かつてミナスとバイーアをつないでいた鉄道が廃線になってしまったことで苦しむ人々をテーマにした「Último Trem」は1980年の4月に公演がスタート。
この2公演で使われた音楽は、後にアルバムとして纏められリリースされている。
・Maria,Maria/Último Trem
1980年代はショパンを使った「PRELUDIOS」(1985)、モーツァルトを使った「MISSA DO ORFANATO」(1989)が続くが、1990年代から再びブラジルのミュージャンを起用する。以下時系列で並べていこう。
・21/Uakti(1992)
・Nazareth/Zé Miguel Wisnik(1993)
・Sete ou Oito peças para um Ballet/Philip Glass & Marco Antônio Guimarães(1994)
・Bach/Marco Antônio Guimarães(1996)
・Parabelo/Tom Zé e Zé Miguel Wisnik(1997)
・Benguelê/João Bosco(1998)
・O Corpo/Arnaldo Antunes(2000)
・Santagustin/Tom Zé e Gilberto Assis(2002)
・Onqotô/Caetano Veloso e Zé Miguel Wisnik(2005)
・Breu/Lenine(2007)
・Ímã/Moreno Domenico Kassin(2009)
・Sem Mim/Carlos Núñes e Zé Miguel Wisnik(2011)
・Triz/Lenine(2013)
・Suíte Branca/Samuel Rosa(2015)
・Dança Sinfônica/Marco Antônio Guimarães(2015)
・Gira/Méta Méta(2017)
2019年はジルベルト・ジルが参加というアナウンスが公式でツイートされている。
※2019 8/12更新
8/6にアルバム「Gil」がリリースされています。
・Gilberto Gil/GIL(2019)
2008年にBunkamuraが招聘し来日したこともあるグルーポ・コルポについては、カエターノ・ヴェローゾやカシン、ドメニコ、モレーノあたりでこのグループを知った方も多いのではないかと思う。
いままでのラインナップを眺めると、とりわけ多く参加しているのがゼー・ミゲル・ウィスニッキとウアクチのリーダーであるマルコ・アントニオ・ギマランエス。他にルアカ・バップで取り上げられて復活した後のトン・ゼーや、レニーニ、ジョアン・ボスコなど多彩な作家が並んでいる。
ミルトンやウアクチ以外はミナスというよりもトロピカリズモ寄りな人選なので、取り上げるのに少し悩んだものの、本来歌がメインのミュージャンがインストに取り組んでいるものも多くユニークな事と、他サイトを調べてみても、グルーポ・コルポに関わる記事が来日公演以外見受けられなかったため番外編に近い形ながら、一章を設けた形となった。
グルーポ・コルポが作品を作る過程として、まず作家に曲を依頼し、出来上がった曲をもとにダンスを作り上げるというスタンスだという。先のツイートにある動画でサウンドファイルからサンプリングした音楽かどのようにダンスへと変貌するのだろうか。日本で見る機会がなかなかないだけに、来日があれば実際に見て感じてみたい。
次は次世代の街角クラブを取り上げていきたい。