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バンディットQ Time Bandits/テリー・ギリアム
タイトル:バンディットQ Time Bandits
監督:テリー・ギリアム
テリー・ギリアムの初期作品で、ジョージ・ハリスンが出資していたハンドメイド・フィルムズが配給したダークファンタジー。
R2-D2で有名なケニー・ベイカーなど小人症の人々がわちゃわちゃと演じている様が愉快な雰囲気ながら、あのラストは中々にビターな後味を残す。僕は初見はテレビ放映されていたものを父が録画していてそれを何度も観ていたけれど、やはりこのラストが強く印象に残っていて、救われなさと救いが同時に来る不条理さがある種のトラウマになっている(今でも)。不条理好きな父が好んでいたのも良く分かる作品だったと個人的な体験ながら思う。
この映画はなによりもモンティ・パイソンをある程度知った状態で観るかどうかでかなり印象は異なると思う。共同脚本に名を連ねるマイケル・ペイリンやジョン・クリーズが出てくる場面で笑えるか否かというのもこの映画の楽しみの大きな所。もちろん知らなくても楽しめるのだけれど、知ってると無条件で笑えてしまう。
ある種裏モンティ・パイソン的楽しみ方ができる映画なので、観ていない方はある程度観てから観た方がより楽しめる内容です。
テリー・ギリアムの後の作品にも通じる内容でもあり、時間移動や魔王の側近のヴィジュアルなどは12モンキーズにもろ繋がるし、夢というテーマはテリー・ギリアムの諸作に一貫したテーマでもある。未来世紀ブラジルが好きなら観るべき一本なのは間違いない。
主人公ケヴィンの両親の姿はイギリスのネオリベ以降の物質主義的な側面もあって80年代のイギリスの姿も切り取っていて、この辺りもアメリカ人というストレンジャーながらしっかりと時代を切り取っている(ラストの両親のやりとりでよく分かる)。
音楽についてはサントラを担ったレイ・クーパーはジョージ・ハリスンのバックミュージシャンで、イエロー・サブマリンのサントラに通じる不協和音を使った少し古風なもの。
エンドロールのジョージ・ハリスンのDream Awayはアルバム「Gone Troppo」に収録されたスライドギターが印象的な名曲。
とまあモンティ・パイソンとテリー・ギリアムの味が色濃い一作ですよ。テリー・ギリアム作品の中でもライトな内容なのでかなり観やすいはず。