ワンスアポンアタイム インアメリカ 雪組2020 から東欧ユダヤ人を知る
読んだ本の感想を書くコーナーなんだけれど、本日は宝塚雪組の千秋楽だったので、その感想を。
Once upon a time in America
その昔、ロバートデニーロが主演した古い映画を歌劇団がアレンジしたものです。正直話は暗いです。でも、そんなものは特に気にならないほど「美しい」宝塚のいいところはここですねぇ。
「ユダヤ人のアメリカ移住にいたる理由」
そんなことを深く学んでみたい。そんなふうに思える劇でした。ユダヤ人といえばドイツのヒトラーによる迫害だけを強く思い浮かべてしまうわけですが、本当にいろんな国に散らばっていて、そして自国を持たない。そのためなのか、いずれの国からも迫害を受けて、ヨーロッパからも飛び出して、世界恐慌前のアメリカに向けてもどんどん移住する羽目になったユダヤ人。
今回の劇の主人公は東欧ユダヤ人です。ユダヤ人には大きく2種類あって中東や北アフリカ系のユダヤ人もいますが、今回はロシアやポーランドを中心とする東欧系です。この人々はロシア国内から迫害「ポグロム」されて逃げてきたわけですが、アメリカでもやっぱり酷い扱いをうけるわけです。ちなみにこのポグロムは「殺戮、略奪、破壊、差別」がユダヤ人に対して行われた集団迫害行為。こんな恐ろしい漢字2字の熟語が4つも並んだのをかつて見たことがないですね。怖すぎる…。それをヒトラーの時代まで続けたロシア。ドイツの比じゃないくらいユダヤ人を殺し続けた歴史はなぜかあまり表に出てないですね。そしてアメリカでも…。時は1920年、もうすぐ世界恐慌、やってきますよという年代です。
アメリカでは裏社会で生きるしか無かった主人公たちの悲しい運命。アメリカが舞台だと結構チャラチャラした若者文化と浅い愛の物語が出てくると思い込んでいたのですが、大きく外しました。東欧ユダヤ人という背負うものが大きすぎてアメリカの軽さが全くありません。ドスーンと鉛色でした。あ、もしや土留色?
宝塚トップさんは今1番の歌唱力がある実力をお持ちの方で、何か説得力もあり見応えありました。私の個人的な1番の見所は、主人公が仲間の恋人から重罪を犯そうとしているのを止められないから警察に密告して未遂にしてほしいと言われ悩むシーン。ダビデの星の描かれた美しいステンドグラスの教会で今まで神にすがったことはなかったけれど、今日ばかりは祈らせてくれと懇願する主人公の切ない、苦悩の歌声がたまらず泣けてきました。
結局仲間を売る覚悟を決めて警察にチクるんだけど…みたいに展開していきます。毎回思いますけど、ユダヤ人の迫害だけを追っていくだけで、世界史の大半理解できるような気がします。これを機にユダヤ人の迫害の歴史、せめてアメリカにおける迫害の歴史を知ってもいいかもしれません。
歌劇団なのでストライキのところは結構思い切ったかんじのあっさりした話展開にはなっていましたけれど、これが日本のメーデーの話ときっとつながっていくんだろうなとか、他にも本当にいろんな事思いながら観てました。世界恐慌前後というのは世界の仕組みが本当に劇的に変わった時代の中の1地点なんだろうと思います。そして今ITの導入で前後の「後」の部分に突入しつつあるんだろうなと思うと、怖いけど、ワクワクしますね。時代の変遷期の真っ只中に生きるのは苦しいけれど、あかる未来がきっとあるのがこれまでの歴史が証明してくれてますもの。あれ、じゃ、今、苦しいの?い、嫌だわ、、、。あ、まあ、気を取り直して、、、。
綺麗なもの見ながら勉強にもなるなんて、今日はなんて素敵な1日だったんだろうと神様に感謝して眠ろう。