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日本ビクターの業務用VHS ダビング機 BR-7000 カセットハウジング編

前回、ビクターのダビング機BR−7000のメカについて説明しましたが、今回は引き続きBR−7000のカセットハウジングについて説明します。

 メカは業務用で長く使っているもの(R38シリーズ)ですが、カセットハウジングはこのひとつ前の機種(BR-8600)から民生用のR73/95シリーズのものを使っています。


 この写真はメインギアに緩衝スプリングがないから一次対策版かな?

 緩衝スプリングはよかったんですが、ダビング屋のお兄ちゃんに思い切り叩き込まれるとストロークいっばいまで行ってしまい、結局衝撃を吸収できなかったんです。ここが一番最初に壊れました。


最終対策版

最終対策版を解説すると

ウォームホイールにクラッチ追加
緩衝スプリングと違ってストロークの限度はありません。あらゆるところにかかる負荷を低減できます。



ギアの軸の傾きを防止するカバー追加
 衝撃で軸が傾くと歯飛びを起こしやすいので、軸の先を板金でつないで傾きを防止


小径ギアの材質変更
 カセットホルダーを駆動する小径ギアは、歯が小さいのでメインギアの次に壊れやすかったです。
 形状変更では強化できなかったので材質をジュラコン(ポリアセタール、POM)からべスペル(ポリイミド)に変更。
 これ、粉体の圧縮成形のあとに端面の切削加工が入るのでけっこう高いんですが、背に腹は替えられない(ジュラコンの成形品だと1,2円だけどべスペルだと100円ぐらいだったような)。

宇都宮?のデュポンさんの工場まで行って打ち合わせたりして、切り替えました。

 そういえば、暫定対策で真鍮の削り出しのギアを使ったこともありました(めちゃ高!1,000円ぐらいしたかも)。

 ちなみにべスペルは強度もあるんですが耐摩耗性が抜群で、世の中的には耐摩耗性で使われることが多いようです。
 当時、自動車のシフトレバーのガイドのローラーが、ふつうの樹脂だとお結び型に削れてしまうんでその対策としてべスペルが使われてるって言ってました。
 その話を信じて、このあとの3in1のカセットハウジングで耐摩耗性向上のためにべスペルを採用した部品があります。


ギアの肉盛り
 メインギア(黒いギア)を肉盛りして強化(だったと思う)


カムギア
 首の部分の形状を変更して強化
 カムの形状はいじれないので、写真では隠れている裏側の首を伸ばして強化しました。
 逆に、裏についている黒いギアは、その分クビを短く変更。



カセットリッドのギア
 長くして位相ずれ防止(青いギア)

カセットを叩き込まれたときにこのふた(リッド)がたわんでかみ合わせがずれることがあるようなので、ギアを長くしておきました(気休め?)。


 カセットハウジングは、まあこんな感じで次から次へと対策して強化していったわけです。 
 強化なのでカセットハウジングとしての互換性はありました。また、このあとのシリーズ(BR-9000とかBR-810/811とか)にはこの最終対策版が採用されています。

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