![見出し画像](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/111433117/rectangle_large_type_2_69004601dbdc0a062d37b705832d56a5.jpeg?width=1200)
日本ビクターの業務用VHS 3in1ダビング機BR−7030、BR-S777
ビクターのダビング機 BR-7000について3つの記事(総括、メカ、カセットハウジング)を書きましたが、次はその後継機、3in1タイプのダビング機BR-7030について紹介します。
VHS が広く普及してソフトの市場規模が大きくなると、ダビング屋さんも工場(倉庫?)を拡大してダビング機をたくさん増設するようになり、ダビング機のコストダウンが求められるようになりました。そこでビクターがBR−7000の後継機として新たに開発したのが3in1と呼ばれるBR-7030シリーズ(仕事番号:G46)です。
![](https://assets.st-note.com/img/1690003996416-9n6UEwWyOY.jpg?width=1200)
立方体形状の筐体の右側にフロントから抜き差しできるトレイ状のメカユニットが縦に3段並び、3台のVTRが1台になったようなユニークな構成です。
メカユニットにはメカのほかにはビデオのヘッドアンプとオーディオの回路のみが搭載された最小限の構成で、ビデオのメイン基板、電源、システムコントロール回路は、向かって左側にある3台共通の基板、という構成になっています。なお再生機能は持っていません(製造ラインやサービス部門には調整用に再生治具がありましたが、市場には供給していなかったように思います)。
また、メカユニットのイジェクトボタン以外に操作ボタンもありません。
このような構成でコストダウンをはかるとともに、ダビングハウスでのスペース効率の向上や配線の削減もはかれ、しかもメカユニットが取り出せるのでメカのメンテナンスも容易です(交換用のメカユニットもSA-K7030という型番で発売されていました)。
使用するメカも一新し、民生用のD66のメカ・カセットハウジングを採用して薄型化・コストダウンをはかりました。この頃には民生用のメカ・カセットハウジングも一部を変更するだけで十分ダビング機の使用に耐えられるようになってきていたのです。
主な変更点は
・ソレノイド方式のヘッドクリーナーの追加
・インピーダンスローラーの質量増加
・ガイドローラーのフランジの耐摩耗性向上
・ローディングモーター、ベルトの交換可能化
あたり。
BR-7000で好評だった
・大型のRECランプ(もっとでかくなった!)
・オーディオのレベルメーター(3台の信号を切り替え式で出力)
・4chのオーディオ記録ボリューム
・フロントパネルのテストポイント(これも3台の信号を切り替え式で出力)
などの仕様は引き継ぎ、壊れやすかったカセットハウジングの蓋は無しということにになりました。
スペース効率のよさと価格の安さから特に大手のダビングハウスに好評で、ダビング市場の拡大とあいまって、BR-7000をしのぐベストセラーとなりました。
また、その後に登場したSVHSに対応した3in1シリーズとして、BR- S777もリリースされました。
YoutubeにBR-S777の動画があったので載せておきます。メカ部分は、S-VHS検出スイッチが付いてドラムはビデオヘッドが変わったぐらい(ロシア語?なので何言ってるかわかりませんが、一応英語の自動翻訳の字幕は表示できます)。