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髙野倉さかえ(詩画家)絵画展<再訪>作者ご本人からお話を伺いながら鑑賞
先週、訪れた絵画展。
じっくり観られなかったため再訪した。
最終日のお昼休みに行くと作者ご本人がおられ、ゆっくりと鑑賞。
作者からお話をお聞きしながらの鑑賞という恵まれた時間を過ごせたので、会話が途切れてしまう写真撮影は数枚に留めた。
スマートフォンではなくRX100M7を持っていたのは良かったと思う。
先週の記事には『油絵具も使っている』と書いたが、全作品使用しているのは油絵具。
展示作のうちキャンバス地は1-2枚。ほとんど全ては板に描かれており、その板の削り出しも工房で行われている。
(先週の記事で『磁器』と誤った記載は訂正した)
キャンバス地の使い方もユニークで、パンパンに張り太鼓に出来るくらい張るそうだ。
その理由は作画方法を伺い納得😊
この記事に掲載した絵は少ない。
ご本人のWebサイトや、先週の記事を参考にして頂きたいが、一見すると油絵には見えない。
作品によっては、漆塗りのようにも見える。
ご本人のお話によれば、イタリアに渡ってからもしばらくは一般的な油絵技法の絵を描かれていたらしい。
しばらくしてから、今の技法に変えたとのこと。
【作品の特徴】
・油絵の具を使った薄い重ね塗り
・絵によっては30層重ね塗る
・絵に動きが感じられるよう金箔も散らしたり
・既製品の額は使わない、その絵に合う額を作る(加工する)
・絵の吐息も考え、額と絵の間には間隔を開け、そこへ絵に合う柄を施す
・描くベース(板絵)は絵に合わせて板を削り出す
・絵に添える詩は、その絵を描く自分用のイメージを書き留めたものから紡ぎ出す
・一般の油絵に見られるサインは入っていない(小ぶりの作品が多いのも理由)
絵の中に細かい文字で制作した年とサインを入れている
(ご本人曰く『ウォーリーを探せ』😊)
購入後、数年経ってから『見つけた!』と連絡してくるオーナーも
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4月や12月は分かりやすい
これらの絵を描いている小さな木の板も工房で削り出している
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理由を聞くと「景色に建物を描くと写真に近くなる。ある夜、夜景に浮かぶ建物が線画のように見えたので、それを絵に取り入れた」とのこと
海面に映る建物の水影は線画ではなく、建物のままにしているところが、絵に落ち着きを与えている
この絵の元となった場所はイタリアでは有名なリゾート地だそうです
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雑感
昨年もこのギャラリーで何度か、作者ご自身から作品の説明を聞いたが、観るだけと、作者から作品への想いなどをお聞かせ頂くのとでは、作品を観る目が大きく異なることを毎回実感する。
人が作ったアートを人が観る時は、目のレンズがそれを捉えるのではなく、視覚を通じて心で観ているのではないかと思う。
髙野倉さかえさんはイタリアに移住され、アトリエを構えてから20年以上経ち、アートから見た西洋と東洋の違いを知っている方ならではの視点でお話を聞かせて頂いた。こちらが小説を書いている話をすると、短時間ではあったが絵画に留まらずアートの表現等について、お話が出来たことは貴重であった。
作者が表現したいことが、観る人読む人に分かってもらえる喜び。作者が意図していないところに、それを鑑賞する人が気が付く意外性の驚き。
静止している成果物(絵や文字)から、どの様にして『動き(時間)』を観る人読む人に伝えられるのかの工夫。
それが絵でも文字でも、考えるところが同じであることを共感出来たことがうれしい。
そのような話をして『だから(大変だけど)作品作りは止められない』という思いが一致した時間であった。
会場で先週の記事をスマートフォンでご覧に入れ、この記事をご本人にお伝えすることを約束した。
noteに掲載して連絡を入れたい。
MOH