終活向けクラシック音楽配信サービス(?)NML(MUSE2019年7月号)

 今年の6月からナクソス・ミュージック・ライブラリーというクラシック専門の定額制配信サービスの利用を始めましたので、今回はその使い勝手などについて書いてみようと思います。

 このサービスはパソコンを使いネットワーク経由で聴くものでmp3やハイレゾなどの音源ファイルを購入する方式ではありません。そのため利用にあたってはインターネット契約(できれば従量制ではなく定額制)が必須となります。ただし映像ではなく音声なので回線の速度やPCの性能は要求されず、冷却ファンの音が耳につきがちなデスクトップ機よりもローエンドのノートの方が向いてます。我が家では以前の記事に載せたドンキホーテの2万円ノートでもっぱら聴いています。むしろCPU性能が低いほうがファンがついていない場合が多いので、こういう用途には好適です。
 非力な機械でもネット回線で聴けるように音源はハイレゾではなく圧縮音源を使っていて、機械の性能に合わせ音質もノーマルとハイを選べるようになっていますが、ドンキホーテのノートはハイでも余裕でした。よほど古いPCでなければノーマルを選ぶ必要はなさそうです。この違いはむしろスマホなどで屋外で聴く場合を想定し通信料を節約する観点から設けられているものでもあるのでしょう。
 家ではノートPCのヘッドホン用ミニジャックからミニコンポ経由で鳴らしているのですが、ノートPCの出力は本体の非力なスピーカーやイヤホンを鳴らすことも想定しているはずですし、配信音源もそういう機械で聴かれることを考慮しているせいか、総じてダイナミックレンジは控えめです。だからこそ、こういう音源には変に本格的な大型装置で鳴らすよりもミニコンポの方が適しています。音の強弱が控えめの音源を大型装置で鳴らすと、装置の余力を残して鳴っているのが判り過ぎて演奏まで消極的に聞こえがちなのですが、小型装置だと装置が目一杯鳴るおかげでそういう物足りなさを感じさせないのです。またポピュラー等に比べて音の強弱が大きいクラシックを屋外で聴くと弱音が雑音に負けやすいのですが、この音処理はそういう点も想定されている可能性がありそうです。

 曲数はとにかく膨大で、特にマイナーレーベルなどでなければ容易に聴けない古楽や現代音楽が充実している点はCD時代からナクソスのポリシーだった部分がさらに徹底されており、音楽の森の広大さや奥深さをまさに肌で感じさせられます。メジャーもDGやデッカ(旧フィリップス含む)ワーナー(EMIやエラート、テルデック等含む)もあり、有名どころで未参加はRCAや米コロムビアくらいでしょうか。とはいえそれぞれのレーベルの全音源が準備されているわけでは無論なく、ジャケットアートを見る限りこれまで1回でもCD化されたものに限られているようですし、逆に何回も再発された音源はかなりダブってもいます。これはおそらくCDを丸ごと取り込んだうえで、個々の曲を検索できるようデーターベースに分類登録しているせいではないかと思われます。

 それでも現在進行形でレーベルや音源が増え続けていることを思うと1ヶ月契約で消費税(8%)込み1980円という料金はこれほど巨大なライブラリーの対価として決して高くはないですし、6ヶ月契約(11610円)や1年契約(22140円)にすれば月料金がそれぞれ1935円と1845円(8%税込み)と割引になる上に、月契約と異なり更新期間中に入金しなければ自動的に退会扱いにされて後腐れがないというメリット(?)もあります。利用中に死んでも誰の手も煩わせずにすむというのは我が身の年齢を考えればありがたい限りで、ダブっているCDやLPを整理してゆけるなら終活の役にもたちそうです(汗)

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