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『未解決事件は終わらせないといけないから』感想

『未解決事件は終わらせないといけないから』を実績コンプリートでクリアしたので、完走した感想をつらつらと書きます。
例によって、バレ考慮はしていないのでご注意ください。

それでは早速。


はじめに

まず一言、「終始、手のひらの上で転がされ続けた」って感じです。
ややこしい状況になっている事件の真相を明らかにするのが主題であることは分かったうえでプレイしてましたが、それでも踊らされていた自覚が
あります。
いつぞやにXでも言った気がするんですが、「頼むから代名詞とか続柄で話すのやめてくれませんかね???」って思いながらプレイしたのはこのゲームが初めてですよ。

総プレイ時間は約5.4時間エンディングは全部で2種類。基本的には1本道ですが、最後までやり切ってるとトゥルーが見れるタイプのマルチエンディング。実績もトゥルーエンディングを見られる状態であれば全てアンロックできるはず。
ボリュームは少なめですが、やり応えは十分すぎるぐらいに高かったと思います。

『未解決事件は終わらせないといけないから』とは

Somiさんによって制作された推理パズルアドベンチャーゲーム。最初はミステリー系のノベルアドベンチャーだと思っていたんですが、どちらかと言うとパズル味が強い作品でした。
韓国の個人ゲーム開発者さん制作のゲームですが、ローカライズがしっかりしていて、勝手に国産のゲームだと思い込むレベルで違和感なくプレイすることができました。語学弱者にとっては有難い限りです。
主となる画面が、昨今のSNSのようなデザインというのも特徴的で面白い点だと思います。

2012年2月5日、公園で遊んでいた少女・犀華が行方不明になったという通報があった。
警察は聞き込みと捜索を繰り返すが、事件は解決せずに未解決事件の書類ファイルに眠る。

清崎蒼警部の退職から12年後、ある日訪ねてきた若い警官。
彼女は清崎が解決できなかった「犀華ちゃん行方不明事件」を終わらせるよう協力を要請してきた。

清崎はバラバラになった記憶のかけらを思い出して再構成するが、明らかとなったのは犀華の周りの全員が嘘つきだったということだけ。

Steamストアページより

今まさに起こっている難解事件を推理して解決に導いていく のではなく、既に未解決扱いになってしまった事件について、ある人物の記憶を辿る形で真相を明らかにしていく というものになっています。
この設定になっているからこそ、本作の魅力とも言えるゲーム性が成り立っているように思いました。

ローマ神話における門の守護神、ヤヌス。

ということで今回は、まずゲームの導入部分に触れて、主軸となっている未解決事件の詳しい真相について語るのはほどほどにしつつ、主に本作のゲーム性エンディングについての感想を吐き出していこうと思います。

ゲームの導入部分

あらすじにもある通り、過去に警部として事件を捜査していた女性 清崎 蒼きよさき あお のもとに若い女性警官が訪れるところから始まります。
この若い女性警官のところに表示される名前は、清崎 蒼との会話が進むにつれてコロコロと変わっていきます。『犀華の亡霊』、『審判者』、『ヤヌス』、『ジグソーパズルチャンピオン』…。正直この時点で「はぇ???」って感じでした。

そして、清崎 蒼 の捜査では、行方不明になってしまった 犀華せいか は見つけられることはなく、この事件は 犀華 の父親である 宮城 哲郎みやぎ てつろう の望み通り未解決事件とされているそう。
しかし、若い女性警官が「それは違う」と主張し、清崎 蒼 の記憶を辿る物語…すなわちゲーム本編がスタートします。

非常に興味を惹かれる、これぞ導入としてあるべき形。

これが 清崎 蒼 が思い出した、事件捜査当時の証言の1つ。これは 犀華 の父親である 宮城 哲郎 の証言のようです。確かに、”娘は見つかっておらず、娘が行方不明になった事件が未解決のままにされることを父親が望んでいる”らしい…。
この時点で、一筋縄では行かなさそうな、妙な事件であることが伝わるし、何よりゲームに対する期待感が凄かったですね。

そこから徐々に事件についての記憶の断片が思い出されていくんですが、3人目の証人についての記憶で、いきなり元英語講師の男による自首の情報が出てきます。
ということは完全とはいかないまでも「犯人が分かってるなら事件の真相もそれなりに分かってるんじゃ?」と思ってしまいますが、実はこれがこのゲーム最大の特徴と言える要素になってきます。

というわけで、ゲームの導入部分についてはこのくらいにして、次は本作の特徴的なゲーム性について…

本作のゲーム性

さて、ここまでの間で 清崎 蒼 が思い出した事件の証人のスクショを貼りましたが、実はこの画面上での操作が本作の8割…もしかしたら9割を占めています。もちろん証人や証言は増えるし、たまに 清崎 蒼 と 若い女性警官の会話が挟まることはありますが、誇張抜きに8, 9割がこの画面上で進んでいきます。パズルゲームとしてはそこまで珍しくないかもしれませんが、アドベンチャーゲームとしてはかなり異色だと思いました。

では、この画面で具体的に何をしていくのか…。それは主に次の3つです。

  • 証言内のキーワードから、新たな証言を思い出す

  • 証言の証人と時系列を確定させる

  • 証言をヒントに、新たな証言のロックを解除する

非常にシンプルに見えるかもしれませんが、全くそんなことはなかったです。やること自体がシンプルなのは事実なんですが、やはり一筋縄ではいかない…。とくに序盤~中盤はめっちゃ難しかったです。
その辺りの理由も含めて、それぞれについて紹介しつつ感想を述べます。

- 新たな証言を思い出す

これがメインの行動…というかメインである事件の真相を理解するために必要な行動、と言ったところですかね。思い出すこと自体に難しさは無いです。

清崎 蒼 が思い出した証言には、いくつかキーワードとなるものが含まれています。たとえば下の画像で言えば『#公園』です。
このような証言内のキーワードをクリックすることで、と同じ(あるいは似たような)タグが付けられた証言を新たに思い出すことができます。

証言内の1つのキーワードから思い出せる新たな証言は1つですが、その候補は複数存在します。そのため、今あるキーワードからどの証言を思い出すのかは、ある程度自由に決めることができます。
なので、プレイヤー次第でどのような順序で証言を思い出すかが変わるため、比較的スムーズに点と点が結びつく人とそうでない人が分かれるんじゃないかと思いますね。本作を知らない人にオススメして、その人がどんな順番で進めるかを見守るのも楽しそう。それ抜きにしても、リアクションを楽しめるゲームだと思いますけどね。

そして、新たに思い出された証言にある新たなキーワードを使って、他の証言を思い出していく というサイクルなわけですが…。

行方不明になった犀華の母による証言。でも何かがおかしい…。

- 証人と時系列を確定させる

これが本作の一番大変で一番面白いところになります。
ここで、直近で貼った 犀華の母 の証言の一部を抜粋します。

うちの娘が申し上げた通りです
私はきっと孫娘が公園で遊んでいるだろうと思っていましたが、 …(中略)
すぐにうちの娘が戻ってきて …(以下略)

この証言 犀華の母 のものということになっているので、彼女が言う”娘”というのは 犀華 のことを指しているはずです。
でも、行方不明になっている 犀華 はまだ子どもなのに 犀華の母 の口から”孫娘”というワードが。そもそも、犀華 が行方不明になったことについての証言なのに、”娘(=犀華)が申し上げた通り”とは一体…?何かがおかしいのは明白ですね。

では何がおかしいのか。
まず、犀華の母 が何らかの理由で嘘を吐いている可能性が考えられますが、もはや嘘とかいうレベルではなく、明らかに矛盾した発言をすることに意味があるとは思えません。それでは…?

実は、清崎 蒼 が思い出している証言、”誰の証言であるか”が不確定なのです。これが本作の特徴であり、難しいところでもあり、楽しいところでもあります。
先ほどの証言も、たとえば 犀華の祖母 のものと考えると矛盾はしていないように思えます。

このように、思い出した証言の話者を変更することができる…というか話者を変更することで 清崎 蒼 の曖昧な記憶を正しいものに変えていく必要があります。

先ほど挙げた例のように、証人の立場や性別、年齢などの情報から誰による証言であるかを決め打てる場合もありますが、多くの証言は様々な理由で非常にややこしい状態になってしまっているので、かなり難しかったですね。

もう1つ、清崎 蒼 の曖昧な記憶を正しいものに変えていく要素として、時系列もあります。
ゲーム画面のUIは、横に証人が並び、縦にその人の証言が時系列順に並ぶのが正しい形になります。時系列が確定していない状態では、具体的な年月日がどこにも記載されていないため、複数の証言内容から正しい時系列を割り出すことが必要になります。

そして、証人と時系列を正しく変更すると、その証言は確定の扱いとなります(以降、証人や時系列の変更はできなくなる)。
確定させていくこと自体も目的ではありますが、それによる新たなアプローチも生まれます。それは後ほど。

先ほど、多くの証言は様々な理由で非常にややこしい状態になっている、と述べましたが、例えば以下。
犀華 の父である 宮城 哲郎 の証言の中で、 育児ヘルパーである 槙野 恵まきの めぐみ という人物が出てきます。もちろん 犀華 の実母でないことは分かるわけですが、犀華 は 槙野 恵 のことを”ママ”と呼んで懐いていることが語られています。ややこしくなるので本当にやめて欲しい!(建前)

また、よく読んでみると”妻の病院生活が始まって以来” や ”母親が突然いなくなっても”とも証言されています。普通に考えると、宮城 哲郎の妻 = 犀華の母 ですね。
”いなくなった”というのがどういう意味なのかにもよりますが、仮に”病気で亡くなってしまった”という意味なのであれば、さっきまで何回か話題に出ていた 犀華の母 とは一体…?

こんな感じで、新たな証言を思い出すことによって他の証言を確定させることができる一方で、また新たな疑問が生まれてくる。なんなら、1つの証言で複数の疑問をぶつけてくることもあったと思います。
プレイヤーの頭が混乱するように1つ1つの証言が非常に上手く仕組まれているような印象を受けました。プレイ序盤から終盤に差し掛かるまでは、常に頭の上に少なくとも1つは ”?” が浮かんでいる状態でしたね…。

こ っ ち の セ リ フ 。

- 新たな証言のロックを解除する

これは、プレイヤーがどれだけこの事件のことを理解しているのかが試される、いわばテストみたいなものですかね。

キーワードから繋がった新たな証言は、基本的には青い枠で囲まれているのですが、中にはそうでないものがあります。

1つめは赤色のロック。これは指定された問いに対して、既に思い出した証言の中からその答えになるものを見つけることでアンロックされます。
ほぼ全ての証言の中から答えを探すことになるので、「あぁ~…確かにそういう話どこかで出てたかも」ぐらいの記憶は最低限必要になりますね。
ものによると言えばそうなんですが、この赤ロックの解除は結構大変でした。私が一番最初にチャレンジしたのは、画像上半分の”犀華の母を疑う理由(3個)”だったので、まだほとんど整理できてない状態で答えることになって大変でした…。当てずっぽうでやるのも嫌だったで極力見当付けて頑張りましたけど、結果的には違うのを結構選んじゃいましたね。
まぁ別にデメリットは無いんですが。

(画像の組み合わせが悪いけど…)”翔太が盗んだ物が分かる陳述”は簡単なほう。

2つめは紫色のロック。これも指定された問いに対して、既に思い出した証言の中からその答えになるものを見つけることでアンロックされるんですが、こちらは数字4つでの回答が指定されています。なので基本的には赤色ロックよりは簡単ですね。
良いスクショも持ってなかったので軽く流しますが、”犀華が死んだ日付”を答えるのは結構時間かかった気がします。そもそも「え?死んでるの?生きてるんじゃないの?」ってなるレベルの理解度だったので…。
それ以外は比較的スムーズにアンロックできました。

3つめは黄色のロック。これが先ほど後回しにしていた、”証人と時系列を確定させることで発生する新たなアプローチ”ってヤツですね。証人と時系列を確定させると、鍵(正確には、一定数貯めると鍵になるポイント)が貰えます
この鍵によるアンロックも、どの黄色ロックに使用するかは自由に決めることができるので、キーワードを繋ぐのと同じくプレイヤーによって多少なりとも差が出てくるところですね。
また、この鍵の数(=証言の確定数)がエンディングに影響します。エンディングについては後ほど。

右上のが鍵。証言確定6個で鍵1個ぐらい?だった気がする。

感想というよりは、本作を支える要素を長々と説明する形になってしまいました…。無理やりこじつけるとしたら、「このゲーム性がめちゃくちゃ面白いでしょ?ね?」っていう立派な感想です。
ここまで述べた通り、「いつの」と「誰の」が不明瞭な証言を整理していくわけですが、さらに厄介なことに、それらが不明瞭なうえで実は証言の中身すら嘘であるパターンも存在するんですよね…。というか、結果的には大半の人間が嘘を吐いてました。
そんな、もはや何を信じれば良いのか分からない状況で、辛うじて決め打てる部分を決め打っていくという、斬新かつ作り込まれたゲーム性から得られる満足度は非常に高いものでした。

エンディング

エンディングについて話す前に…。
本作の真相を知らないまま、ここまで読んでいる方はおられないと思いますが、真相についてノータッチなのは流石にアレなので、超軽く触れておきます。自分の脳内整理のためにも。
ややこしくなるのを防ぐため、できる限り人物を一意に特定できるよう、毎回フルネームで書きます。

- 超ざっくりの真相

[2004.04.03]
原島 公正はらしま こうせい原島 理佐子はらしま りさこ の娘である 原島 犀華はらしま せいか が、妊娠23週目という早産で生まれる。

[2004.07.20]
未熟児であった 原島 犀華 が生後108日で死亡。
その事実を受け入れられず、原島 理佐子 は 原島 犀華 がまだ生きているものと認知してしまう。また、原島 犀華 の死亡届が提出されなかったため、書類上では 原島 犀華 は生きている扱いになっている。

[2004.08.01]
宮城 哲郎みやぎ てつろう宮城 沙羅みやぎ さら の娘である 宮城 犀華みやぎ せいか が誕生。(原島家とは無関係)
ちなみに、宮城家にはもう1人、宮城 犀華 の兄にあたる 宮城 翔太みやぎ しょうた もいる。

[2006 ~ 2007 ?]
原島夫妻が離婚。理佐子は旧姓である 松田 理佐子まつだ りさこ に戻る。

[2009.09.01]
宮城 沙羅 が死亡。

[2011.12]
松田 理佐子 のもとに、既に死亡した娘 原島 犀華 の就学通知書が届く。
(死亡届が提出されていなかったため)

[2012.02.03]
宮城 犀華 が 松田 理佐子 によって誘拐される。

[2012.02.05]
松田 理佐子 のもとから 宮城 犀華 が居なくなる。(おそらくこの辺りのタイミングで、松田 理佐子 によって、「原島 犀華 が誘拐された」という届が出ている?)
これは、松田 理佐子 が 誘拐した 宮城 犀華 を、松田 理佐子 の母である 松田 貴子まつだ たかこ と、元夫である 原島 公正 が結託して誘拐したことによるもの。その理由は、松田 理佐子 によって誘拐されてしまった 宮城 犀華 を、宮城 哲郎 のもとへ返すため。
その後、原島 公正 は目的通り、宮城 犀華 を 宮城 哲郎 のもとへ返し、「宮城 犀華 を誘拐したのは自分である」と自首。その理由は、松田 理佐子 を庇うため。
また、加えて 原島 公正 は「松田 理佐子 が提出した 原島 犀華 の失踪届を未解決事件という扱いにして欲しい」と打診する。その理由は、そうすることで 原島 犀華 はまだ死んでいないことになり、それが元妻 松田 理佐子 のためになると考えたため。

実際はもっと関係者がいますが、肝となる原島家と宮城家にフォーカスするとこんな感じになるかと。

さらに簡単に言うと、

  • 同じ『犀華』という名前で同年代の女の子がいたこと

  • そのうちの1人である 原島 犀華 は既に亡くなっているが、母である 原島 理佐子(=松田 理佐子) がそれを正しく認知できなかったこと

  • そのうえで、原島 犀華 の死亡届が提出されなかったこと

このあたりが、この事件をややこしくしている主な理由だと思います。
とくに2点目がネックで、他にも様々な理由で意図して嘘を吐いている人物は大勢いますが、松田 理佐子 に限っては嘘を吐いている自覚が無いんですよね。
また、実際に誘拐された 宮城 犀華 の母である 宮城 沙羅 は、松田 理佐子 によって 宮城 犀華 が誘拐されるよりも前に亡くなっているため、この事件の証人としては一切登場しません。さらに、”犀華の母” と説明されている『松田 理佐子』の名前は、序盤・中盤あたりでは伏せられていました。これがプレイヤーに「"犀華の母"と記載されている人物(松田 理佐子)が、誘拐された(宮城)犀華の母である」というミスリードを誘っているんだと思います。…この表現で伝わるのか甚だ疑問ですねこれ。

- エンディング条件

さて、エンディングを見るための条件は、おそらく全ての証言を思い出していること。赤・紫・黄のロックもすべて解除した上で、キーワードを辿って全ての証言を見ていること、でした。
エンディングを見ること自体には、全ての証言の証人と時系列を確定させる必要はありません。しかし、両方のエンディングを見るためには、そこまでしておく必要があります。

この時点で全ての証言を確定させていれば、鍵が2本余った状態になる。

便宜上、全ての証言を確定させなくても見れるエンディングをノーマル確定させなければ見れないエンディングをトゥルーとしたうえで、それぞれのエンディングについての感想を述べます。

- どちらのエンディングが…

まずはそれぞれのエンディングをざっくり。

◆ ノーマルエンド
退職した警部 清崎 蒼(右) と一緒に未解決事件を振り返っていた女性警官(左)が、松田 理佐子 によって誘拐され、原島 公正 によって家族のもとへ返された 宮城 犀華 本人であることが明かされるエンディング。

◆ トゥルーエンド
一緒に未解決事件を振り返っていた女性警官(左)が退職した警部 清崎 蒼 であり、清崎 蒼 とされていた女性(右)は刑期を終えてなお精神が安定していない誘拐犯 松田 理佐子 であることが明かされるエンディング。

これらを踏まえたうえで、感想ですが…。
先にノーマルを見たときに「おぉ~!そういうオチか、おもしろい!」と納得して、後からトゥルーを見て「…え?そうなの?」となってしまいました。
なので、両エンディングを見た直後はどっちが真実なのかまでは正直よく分からなかったんですが、脳内整理したり、この記事を書きながら振り返ったりした結果…「どちらかと言えばトゥルーのほうが真実っぽい気はするけど、やっぱり分からん」というのが正直なところです。

ゲームの導入部分では、左の女性の表記が『犀華の亡霊』となっているタイミングがあります。この”亡霊”という表現は、「例の事件は未解決になっているから、見つからないまま時が経ったことで(宮城)犀華ちゃんは亡くなっているはず」という 清崎 蒼 視点の考えからくるもの と言えなくもない気がします。

それを考慮すると、ノーマルエンディングは”成長した 宮城 犀華 が、当時事件を捜査していた 清崎 蒼 の元を訪れるエンディング”と考えられ、見た直後は結構しっくりきてました。
ただ、このエンディングで左の女性は、「先輩が見つけ出してくださった行方不明児童ですよ。」と言っていますが、実際は 原島 公正 が 松田 理佐子 から家族のもとへ連れ戻したわけで、清崎 蒼 自身が見つけ出したわけではない気がするので、そこが若干引っかかりました。
でもそれを言うなら、導入部分でも「あなたが見つけてくれたあの子、どう成長したのか知ってますか?」って言ってるんですよねぇ…。
つまり、”見つけた”というのは言葉の綾で、”あなたが捜査してくれた行方不明事件の児童”ぐらいのニュアンスなのか。だとしたら納得できるような、でも何か不完全感が否めないような…。

一方でトゥルーエンディング。こちらも謎や疑問が残ります。
清崎 蒼 が吐いた嘘とは何なのか”です。ざっと 松田 理佐子 の証言も見返してみたんですが、それらしいものは見当たりませんでした。

あと、退職したはずなのにその恰好は…。

また、どちらのエンディングを迎えたとしても導入部分は共通なのであれば、こっちはこっちで 清崎 蒼 が 松田 理佐子 に対して「あなたが見つけてくれたあの子、どう成長したのか知ってますか?」という発言をしていることに違和感があります。松田 理佐子 は、強いて言うなら 宮城 犀華 を(実娘である 原島 犀華 であると誤認して)見つけていますが、そのせいで 宮城 犀華 は一時的とはいえ行方不明になっているわけですから、”見つけてくれた”という表現はおかしいでしょう。
さらに、本末転倒なことを言ってしまうと、結局どこまでが事実なのかがハッキリしていないように思えます。
松田 理佐子 は事件当時からエンディング時点までずっと精神的に不安定で、清崎 蒼 と会話をする度に、まるで別人のように振舞っていたということがトゥルーエンディングでは語られています。であれば、我々プレイヤーが頭を抱えながら整理していた、あの全ての証言もどこまで本当なのか怪しいのでは…?

ということで、エンディングについては両方ともしっくりこなかったというのが正直な感想です。「こういうことじゃない?」って考えがあれば是非聞きたいところですね。

さいごに

ということで、わりと感想というよりはゲームの紹介チックになってしまった気もしますが…。エンディングについては自分の意見をバリバリ出してみたので許して?

エンディングについては、個人的にはモヤモヤが残る感じになってしまいましたが、ゲーム全体としては非常に満足度が高い作品でした。
とくに、「誰の発言なのか」「いつの話なのか」という重要な情報が不確定なところから正しい状態へと整理していくゲーム性は、今まで味わったことのない不思議なパズルという印象が強く、それでいて論理パズルゲーム特有の「あー、そういうことか!」「ってことはここも…?」という点と点が繋がっていく気持ち良さも味わえる、とても質の良いゲーム体験だったと思います。

最後に、制作に携わられた全ての人に感謝です。
斬新なデザインでやり応えのあるゲームをありがとうございました!

『未解決事件は終わらせないといけないから』の感想、以上です。最後までお付き合いありがとうございました。

それでは、良ければまた別のゲームの感想で。


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