もぐ

文字を書いたり、繋いだりしています。 お金にならないことを、熱く語れる人が好きです。 …

もぐ

文字を書いたり、繋いだりしています。 お金にならないことを、熱く語れる人が好きです。 本人は無趣味・無教養。 美味しいものがあれば、それでしあわせ。 http://mogutabi.com/

最近の記事

だからキャラメルはキライ

昔から甘いお菓子が苦手だった。 食べているときはまぁ美味しいとは思うのだけれど、食べた後のベタベタした感じがどうも好きになれない。 飲み物も甘いものは苦手で、コーヒーはブラック、紅茶はストレート。 緑茶や中国茶など、甘みがついていないものが好きだ。 甘いものの中でも、特にキャラメルやキャラメル味のものが苦手。 とことん甘く濃厚な舌触りは、なんだか食べていて疲れてしまうのだ。 今もブラックコーヒーを飲みながら、一方的な言い訳と謝罪を聞いている。 コーヒーが苦いのか、自分の

    • ドーナッツほどの幸福を

      「甘いもの食べてるとさ。  たいていのことなんてどうでもよくなるでしょ。」 ざらざらとした砂糖がたっぷりかかったドーナッツをかじりながら、彼女が笑う。 甘いものが得意ではない僕は、苦笑いしながら珈琲を飲む。 美味しいものを食べているときの彼女はとてもかわいい。 リラックスした猫のように、くにゃりと体中の力が抜けふわふわとしている。 あまり食に興味のなかった僕も、彼女のかわいい姿が見たくて、美味しいお店や料理を覚えるようになった。 「お腹空いてるとさ、よくないほうに考えが

      • ジンライムよりドライな彼女。

        「わたしね。  友達とは仕事もセックスもしない主義なんだ。」 思い切って誘ってみたのに、その言い方はなんだ。 ネコはかわいいよね、くらいのテンションでそんなことを言われたら、この行動や気持ちはどこへ持っていけばいいのか。 「セックスしちゃうとさ、もう友達には戻れないでしょ。  恋人にするにはもったいないもん。」 ジンライムを飲みながら、そうたたみかける。 恋人にするにはもったいない。 これはどういう意味なのか。 ふるならもう少し、こてんぱんにふって欲しい。 なんだよ、

        • カレーのように朗らかに

          最悪のスタートを切った月初め。 なんだかタイミングが悪く、すべてが悪いほうへと転がってしまった日。 こんな日も時にはあるさ、と自分を慰めてはみるものの、やはり気分がすっきりしない。 そうだ。 こんな日はカレーに限る。 カレーを食べながらくよくよなんてできない、と前にラジオDJが言っているのを聞いて、なるほどな。と感心した。 確かに、カレーを暗い気持ちで食べることなんてできない。 元気に、朗らかに。 そんな空気が似合うのが、カレーなのだ。 お気に入りのカレー屋さんは定休日

        だからキャラメルはキライ

          トーストを作ってもらえるほどの関係性。

          香ばしい香りと、美しい焼き色。 毎朝トーストを食べているが、毎朝新しい感動がある。 「トーストとコーヒー。  こっちは準備が楽だけれど、飽きない?  たまにはホットサンドとか作ろうか?」 眠そうな声で、ヨーグルトの入ったボウルをつつきながら、彼女が言う。 ヨーグルトにスライスしたバナナ、オールブラン、きな粉、はちみつ。 これが彼女の朝食の定番だ。 「トーストが好きなんだ。  それに毎日同じものっていうけれど、日によって焼き加減とか香りとか違うものだよ。」 そう説明して

          トーストを作ってもらえるほどの関係性。

          パンケーキ程度の興味と感心

          自分でもこんなにもストーカー気質などは思ってもいなかった。 彼の、SNSというSNSをくまなくチェックしてしまう。 どんなことをつぶやいているのか どこにでかけたのか 逐一投稿をチェックする。 我ながら気持ち悪い。 こんな人間なんだと自分でも驚くくらい。 彼のことを好きなのかと問われると、そうでもないような気がする。 セックスしたいかと聞かれれば、答えはNOだ。 でも、なぜだか気になる。 こういうことをしたら、彼はどう思うだろうか。 なんて声をかけてくれるだろうか。

          パンケーキ程度の興味と感心

          プリン・ア・ラ・モードでも食べながら。

          うすっぺらい甘さのプリンを見かけるたびに、彼女のことを思い出す。 「プリン・ア・ラ・モードってさ、なんだか小賢しい気がしない?  こういうの好きでしょ、って言われてるみたいで。」 そういいながら、プリン・ア・ラ・モードに乗っていたサクランボを、こちらに渡す。 彼女は缶詰のサクランボが嫌いなのだ。 「そうかな。  美味しいものの盛り合わせって感じで好きだけど。」 そういうと、つまらないとでも言いたげな表情で、プリンをひとくち口に運ぶ。 「甘いわねぇ。ベタベタに甘い。」

          プリン・ア・ラ・モードでも食べながら。

          8年ぶりの乾杯

          「あれ、お酒飲めないんでしたっけ」 メニューを片手に、驚かれる。 「飲めないというか、もう長いこと飲んでいないし。  それに、あまり強くはないから。」 そう言い訳めいたことを言って、ジンジャーエールで乾杯した。 仕事で知り合った彼とは、友達のような、仕事仲間のような不思議な関係性。 年齢もさっき知った程度の間柄。 一度一緒に仕事をして、彼の仕事の繊細さに、とりこになった。 それ以来、一方的にファンと言ってもいい。 繊細でナイーブな彼の仕事からは、思いもよらないくらい

          8年ぶりの乾杯

          まるでミルクチョコレートのように。

          「産地によって、ここまで味が違うなんてね。  もちろん造り手によっても違うから、沼にずぶずぶとはまってるのよ。」 困った、と言わんばかりのトーンで。 でも、嬉しそうな表情で彼女が言う。 人気のショコラティエが手がけるチョコレートショップで、アート作品のように並ぶチョコレートを見つめる彼女を見つめる。 たまに会って、チョコレートを中心にカフェやスイーツ店を巡る。 ただそれだけの間柄。 SNSで出会って、もうすぐ1年。 彼女のことで知っているのは、 ・甘いものが好きなこと

          まるでミルクチョコレートのように。

          旅するように暮らす

          これで13回目の引越しだった。 転勤の多い仕事に就き、転勤の多いパートナーと結婚して、18年間で13回の引越を経験した。 この夏も、引越し作業に追われた夏だった。 元々、地元がすき。 広い交友よりも、少人数と深い交流を好む気質だから、負担がないといえばうそになる。 よくいう「暮らすように旅する」ではなく、「旅するように暮らす」わたしたちの生活は、”心安”とは程遠いものだろう。 それでも、この暮らしを嫌いになれないのは、きっと出会いがあるからだろう。 その土地の人と出会

          旅するように暮らす