永遠の格ゲー初級者　～リアルに昇竜拳が出ない奴～

初めてゲームセンターで「ストリートファイター2」を見たときは、衝撃だった。昇竜拳？波動拳？レバーを下、ナナメ下、横って何？今ではもう文化遺産くらいの位置づけになったテーブル型の筐体で、興奮してプレイしたものだ。

「コレが昇竜拳か？！」
と思って出していたものはただのしゃがみ強パンチだった。
何せ見たことがないから。出せているのか出せていないのかも区別がつかないのだ。昇竜拳の話をしておいてなんだが、初めて使ったのはブランカだった。
なぜかというとパンチ連打で技が出ると書いてあったから。
タメ技の概念もよくわかっていないので、ひたすら後ろに下がって、前と同時にボタンを押すと「ガウ」と普通に立ち強パンチが出ていた。

要するにろくに動かせてなかったわけだ。しかし、楽しい。妙な感覚だった。これは新しい刺激の形と出会ったのかもしれないという高揚感。そしてそのうちゲーセンでは乱入対戦時代へ突入した。…が、自分は下手だった。
波動拳も出るようになった、アッパー昇竜拳も一応覚えた。しかしとっさの対空昇竜拳の失敗確率の高さといったらとてもゲーセンの猛者たちと渡り合えるレベルではない。その後もいろんな格ゲーにチャレンジしたが、「昇竜拳コマンドがとっさに出る」というスキルは身につかないままであった。

時は流れ、現在遊んでいるのは「ストリートファイター5」である。3Dモデリングされた圧倒的なグラフィック。逆転性を高めるVトリガーシステム。シーズンごとに追加されるキャラクター（40体超え）。キャラごとに設定された個性豊かなVスキル。クソ長いロード時間。毎回問題が出る技調整。一向に上に行ける気がしないランクシステム。多少ディスったが長いこと遊んでいる良作だ。

このゲーム、買ったときからいうと3年以上遊んでいるのだが、ペースでいうと週1だけだったりたまに2か月くらい触らなかったりで、一向に上達していない。昨今eスポーツの大会が本格化していることもあり、動画を見たすぐ後は刺激を受けてやる気になったりするが、スキルが追い付いていないので毎回勝った負けたを繰り返してろくに進歩がない。そもそも若いころから一貫して「対空攻撃が出ない」というウィークポイントがあるので攻めまくる相手をうまくさばけないことが多い。使用しているキャラクター（アレックス）には一応昇竜コマンドの対空技があるが、見てからだとほぼ出ないので、なんとなく飛んでくるんじゃないかというタイミングが読めたときのみ先読みで出している。とっさに出すとほぼ出ない。ヨコ・シタ・ナナメ→I Can't do it!（ｂｙ ザ・リーサルウェポンズ）である。

引用元動画。「まあそれはそれとして」の穴埋め感が素晴らしい

しかしこんなヘタクソなのに何でまだやってんだろう。「始めて3か月なんでまだスーパープラチナ（ランク）です～」みたいな書き込み見ると「こっちは3年でようやくゴールド（スーパープラチナよりけっこう下）だぞナメんな」という気分になるというのに。
若かりし頃友達と集まってさんざん遊び倒した思い出補正が大きいんだろうなあ。スト2ダッシュで18連勝していた友達のケンを止めたとき。餓狼伝説スペシャルでギリギリの局面で当身投げを成功させたとき。次が最後という意味のはずの「神のラウンド」を何度も繰り返していたとき。ボタン連打技での削りしかしてこない友達に思わず「消しカス人生か！」と叫んだとき・・・。

何より加齢により反射神経が衰えている。と思ったが40代で格ゲーのプロゲーマーもいるので衰えというよりもともとないというべきか。
しかし振り返ると友達連中はみんなだいたい似たようなレベルだったのがよかった。ネットで見る強豪ゲーマーのプレイは完全に別次元。再現しようにも頭の中でもう操作が何をしているかすらイメージできない。
今はもう当時の友達連中が誰も格ゲーをやってないのもさみしい。せっかく通信プレイもできるようになっているというのに。まぁやったらやったで経験値の違いがありまくるうちはボコボコにするけども。

そうして今夜も家族が寝たあとでひっそりとオンライン対戦でボコボコにされるのだった。