細かすぎて伝わらなかったことなどなかった。
「細かすぎて伝わらないモノマネ選手権」が、年1回開催から年2回開催になるという。さっそく先日放送されていた夏バージョンを見たのだが、大変面白かった。優勝ネタにも爆笑したので結果にも納得である。
もともとは「とんねるずのみなさんのおかげでした」内の特別企画として始まったのだが、すっかり「細かすぎて伝わらないモノマネ」が独り歩きするようになった。一番最初はそもそも「博士と弟子」というコントの派生のような設定もあったのだ。そのため石橋貴明は弟子の格好をしていたし、木梨憲武は博士の格好をしていた。ゲストの関根勤なども基本的に白衣だったし。ただまぁ正直モノマネを見る上では必要な設定ではなかったのでなくなったということだろう。
「細かすぎて伝わらないモノマネ(長いので以下細マネ)」とは、通常のモノマネと何が違うのか。それはやはり瞬間を切り取るということだと思う。ネタが終わると落下するというシステムがその魅力を最大限に引き出している。
一時期からバラエティのロケなどの映像を「途中で切る」という編集が流行りだしてそれは今も続いているが、それを目の前で見せられるというのが秀逸である。この「途中で切る」編集は便利すぎて最近多用が目立つような気もするし、芸人に何か意気込みを言わせようとして(おそらく現場では本当に言っている)すぐ切る、というのにちょっと制作側のおごりが見える時もあるが、まあそれは別の話。
細マネのネタのタイプは、大きく言うと以下の4つに分けられる。
1.芸能人・有名人ネタ
2.日常の一コマ
3.形態模写
4.モノマネなのか謎なもの
1.芸能人・有名人ネタ
これが一番スタンダード。「アレンジが独特すぎる矢野顕子」「大技を決めそうで決めないシブがき隊」「マージャンをするケインコスギ」など、だいたい枕詞がついていることが多い。たまにこの部分だけで笑いを取りに来ているが、「危うく過去の嫌な事件を思い出しそうになるも持ち前の明るさで先輩からのいじりを乗り越えた時の●●●」といったタイプよりもシンプルなほうが好みではある。毎回サッカーまたは野球選手のそっくりさんが5~10人くらい出てくるタイプもこれに当たる。ただ正直団体芸のやつは似てるな~とは思ってもあんまり笑いのツボには入らない。まあでも雰囲気を盛り上げる役割があるのかもしれない。
2.日常の一コマ
「たつろう」「ハギノリザードマン」などが得意とするジャンル。別に有名人ではないが、日常で「あるある」「そんな奴いるいる」と思わせるネタで、爆発力も結構ある。日常のあるあるだけに、審査員側のコメントも「そうそう、場所遠いんだよね」「ああいう運転手いるよね~」とかネタを補完しつつ共感する方向にいきやすい。
3.形態模写
「古いジェットコースターの音」「カバンの中で放置されていた飴」など、シーンと言うより物や動物の動きそのものを真似するネタ。何をもって似てるといえるのか非常に判断が難しいが、そもそも似ている似ていないの問題ではない気もする。ちなみに形態ではないが、「静かな水面に落ちる一滴のしずくの音」みたいなのもまあこのジャンルに入るのではないだろうか。音声模写?
4.ありそうな気がする一幕
「バイトの子にいい格好をする、このあとすぐ潰れるイタリア料理店の店長」といった、一般ネタでありながら、モノマネかどうかと言われると難しいようなものも結構ある。もはや超ショートコントのようなものと言えるだろう。
このうち、ズバリ自分が好きなネタといえば2の「日常の一コマ」である。芸能人やスポーツ選手を知っていなくても楽しめるし、非常に広いようでいて深く刺さってくる。なお、中にはバレエとかブレイクダンスとかアクロバットとか、パフォーマンスを入れ込んだものが出てくるが、正直「これはもうモノマネではないだろう」と思ってしまう。欽ちゃんの仮想大賞でもたまに「これは仮想のアイデアではなくてパフォーマンスを見せたかっただけやん」というものが出てくるが、そこで披露するもの自体は凄いとしても本来の方向性は違うよね、と思う。
その意味でいうと今回は細マネはそういうたタイプのものがあまりなかった気がするのでよかった。原点回帰という感じだろうか。今後も楽しみである。
それはそれとして、ひとつ疑問がある。この番組はネタが終了するごとに落下するのだが、それは落下ボタンによるもので、アンタッチャブルの柴田英嗣の手がそのボタンに掛けられている。という前提にはなっているのだが、そうなると柴田が「ここでネタが終わる」ということを知っていないと押せないことになる。柴田自身が爆笑していることももちろんあるし、爆笑しながら冷静に落としてるのか?とも思うので、これは実際はスタッフが操作しているか、もしくはイヤホンで柴田に落下タイミングを指示しているかではないだろうか!?
まあこれを追いかけたところで別に答えも出ないのだが。
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