M-1グランプリ 2024 個人的感想まとめ
今年は初出場5組に、連覇を狙う令和ロマン、昨年の雪辱を果たすべく牙を研ぐヤーレンズと、どう転んでも波乱が起きそうなドラマ感満載のM-1であった。そして結果も皆さんご覧の通り。今年はなんとなく見ながら既に書いていたのでnoteも早めにアップしてみる。
令和ロマン 850点→1st2位 個人的採点93点
なんと、前回トップバッターで優勝から今回もトップバッター。「うわ、これはドラマがいきなり完成した」と思ったが、それに恥じぬ出来の漫才で「名前のあるある」からしっかり笑いを取って最初から空気をフルスロットルに持っていった。共感からズラしていく作り方、めちゃくちゃ上手いなあ。これは考察本も売れるぞ。にしてもオリンピック連覇の阿部一二三がクジ引いて連覇めざす令和ロマンがトップって、ほんと出来過ぎてておもろい。大谷翔平といい、今年は現実が漫画を凌駕していく年なのか。
ヤーレンズ 825点(5位) 個人的採点92点
おにぎり屋さんのコント風漫才。相変わらずのおしゃべりボケ連打ぶりでかなり面白かった。一番最初におにぎり屋の名前が「一握の米」で石川啄木の「一握の砂」にかけていたのだが、そこで笑いが起きず「あっ、伝わってない」となったのがちょっとそのあとの流れにブレーキをかけてしまったような印象。知識に頼るネタってこういうリスクがある。ラジオのフリートークもわからないやつを置いていく感じがあるのだが、ハマる人に深く刺さる一方で、というのがあるなあ。「それは坂本冬美」とか、外し方もこなれていて面白かったんだけど。個人的には一番期待していたので残念。
真空ジェシカ 849点→1st3位 個人的採点94点
街ブラをやりながらボケを連発する、おなじみのスタイル。相変わらずワードが強い。ガクのツッコミというか、怯える感じで物申す感じが上手いなあ。やっぱり漫才で声の要素って大きい。「今年の東京都知事選みたい」とか、タメたあとでのツッコミでしっかり外さず爆発を起こして高得点で2位に食い込み、最終的にも3位で決勝に進んだ。
マユリカ 820点(7位) 個人的採点90点
同窓会で会った女の子との会話を軸にした漫才。「うんこサンドイッチ」というパワーワードがいきなりかましてきてそのあとも安定して面白かったのだが、そのあとで最初の爆笑を超えられず、という感じだったか。でも毎回中谷って女役やると決まってるんだろうか。そのあたり別のパターンも見てみたいなと思った。
ダイタク 820点(7位) 個人的採点94点
ラストイヤーの双子コンビ。双子ならではのあるあるからそれを超えてくるようなあるある→ありえないありえないに発展するようなネタ。兄弟のなりすましからパスポートまで、ヒーローインタビューに乗せてどんどん繰り出していくのだが、そんなことまであんの?という具合がいいネタで、かなり笑ってしまった。「これはみんな90点を下回ることはないだろう」と思ってたがそこまで得点伸びず。もう一本見たかったな。ちなみにうちの妻はダイタクに一番ウケてた。
ジョックロック 819点(9位) 個人的採点89点
医療ドラマに憧れてそのシーンを演じつつそれに合わせてボケをぶっこんでいくスタイル。声のデカさと決められたポーズでツッコミを入れるスタイルが完成されているが、それだけにもう少しどっかで外していかないと爆笑までいかないのかな?と素人ながら思った。なんかいろいろアドバイスもらってたけどほんとその通りだなと。まあ結成2年だからなぁ、いくらでも面白くなれそう。
バッテリィズ 861点(1st1位)→ 個人的採点95点
正直ここまで最初の3組がトップ3のままだったので「もしかしてこのまま決勝いくのかな」と思っていたところに初顔の爆弾が飛び込んできた。エースのキャラクターが久々に見る「明るいバカ」で、さまざまな偉人の名言に突っ込んでいくネタ。ガリレオガリレイの名前に「細そうすぎるやろ」と突っ込んだところでとんでもない爆発が起きた。キャラクターの浸透という意味では一番だったのではと思う。一言一言が、もちろん漫才のネタではあるんだけど、「本気で思ってるだろ」と思わせる感じで強い。
ママタルト 812点(10位) 個人的採点90点
決勝初出場。大鶴肥満が銭湯で大暴れするネタで、ツッコミの檜原が結構大声でガツンとツッコミ入れるんだなという印象。190キロとは思えない動きを連発するのが笑いどころだなと思ったのだが、あまりにもバンバン動きすぎて、なんとなくあんまり不自然さを感じなくなってきたところがあったかな。最初の桶が流れていくところにウケたなあ。
エバース 848点(4位) 個人的採点94点
初出場のコンビ。結構実績あるらしいが初めて見た。初恋の人と15年ぶりに会うが2月29日だったのでいつにしたらいいかわからない、というなかなか変わった設定。ツッコミの町田がいい低音ボイスで「さすがに末締めだろ」「チッ…土地開発か」など、一言でツッコミ、キレイに落とすのにかなりウケてしまった。もしかしてこれ2ndいくかも?と思ったが惜しくも1点差で4位。しかし審査後のやりとりとかでも達者な感じがあった。テレビで活躍しそう。
トム・ブラウン 823点(6位)個人的採点93点
5組目くらいから「最後にトム・ブラウンが空気をぶっ壊してくれるんじゃないか」と思ってたらホントに最後で驚いた。どっちがボケツッコミと言っていいのかどうかもよくわからないネタで、「飲まされる女の子をホストから救う」という設定がどうでもよくなるくらい死人が出る。途中で「扇風機のモーターを死体に仕込む」というところでもう一段階ハネた気がしたが、さすがに特殊過ぎて平均得点が伸びず、ラストイヤーが終わった。ただ、元からこのコンビは点数云々の感じじゃないんだよなぁ。海原ともこも言っていたが。唯一無二の存在感。
2ndステージ
真空ジェシカ、令和ロマン、バッテリィズの順番でネタ披露。
真空ジェシカ 「ピアノが巨大すぎるアンジェラ・アキ」で、1本目とかなりテイストが違う感じのネタでどうなるんだろうと思っていたら、途中で演奏を邪魔されたアンジェラ・アキがモンスターのようになるところが、ほとんどバイオハザードのような世界観だったが、かなり尺を贅沢に使う感じで面白かった。決勝にこんなのを温存してたのか~、と感心した。
令和ロマン「戦国時代へのタイムスリップ」なんといっても「熊猿」の爆発力がすごかった。松井ケムリが戦いに参戦する瞬間、それまでくるまのボケが軸だったのがガラリと変わってケムリで爆笑という形になったのが凄みを感じた。
バッテリィズ「世界遺産」1本目と同じタイプで、偉人ではなく今度は世界遺産にバカゆえの純粋なツッコミを入れていくというネタ。キャラクターの余韻があるうちに1本目を選んでもよかったかも…とは思ったが、初出場でそこまで計算はできんわなという感じ。自分も同じ立場なら絶対やらないし。
そして結果は令和ロマンの二連覇。いやほんと伝説になっちゃった。今年の爪痕枠はバッテリィズとエバースかな。最終決戦は自分なら真空ジェシカに入れたかもだが、3組のうちどれが優勝でも納得だった。