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米原潜が中華潜水艦に接触か?

◉ブルームバーグの元記事、見出しではインド太平洋地域と書かれていますが。南支那海で正体不明の物体に衝突して、乗組員11人が負傷したとのこと。これだったら、マッコウクジラやザトウクジラ、ナガスクジラなどの大型鯨類とぶつかった可能性はありますが。中国が情報公開を請求したとなると、そりゃ中国製の潜水艦とぶつかった可能性があるわけで。バイデン政権が対中国対決姿勢を明確にし、習近平主席が台湾統一を口にするタイミングで、これは───。

【米原潜、インド太平洋地域で物体に衝突-中国が情報公開を要求】Bloomberg

米国の攻撃型原子力潜水艦「コネティカット」が先週、インド太平洋地域の公海を潜水航行中に何らかの物体に衝突したと米海軍が明らかにした。複数の負傷者が出たが、命に関わるようなことはないという。
 米太平洋艦隊は7日遅く発表した声明で、コネティカットは「安全かつ安定した状態」を保っており、「原子力推進設備や艦内空間に影響はなく、引き続き完全に稼働している」と説明。衝突が起きたのは2日で、損傷については調査中だとしている。

ヘッダーの写真はnoteのフォトギャラリーより、潜水艦で検索して出てきた良さげな写真を。機種はわかりません。

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■潜水艦とクジラ■

原子力潜水艦コネティカットは、シーウルフ級原子力潜水艦。ウィキペディア先生によれば満載排水量は9137トンで、全長 107.5メートルの全幅 12.1メートルの巨体。国立競技場の100メートルトラックをだいぶ超える大きさですから、動く要塞ですね。乗員は士官15名・兵員101名。潜航深度は610メートルとのこと。まぁ、これは公称ですが。実際はこの数字よりももっともグレるのは確実。中国の潜水艦は400メートルから500メートルではないかと推定されますが。

それでも、大型鯨類は船舶とよくぶつかるもの。鹿児島や新潟ではよく聞きますね。シロナガスクジラの150トンはともかく、マッコウクジラの22メートル50トン級との接触は、そこそこあるようで。鉄の塊の船舶とはいえ、特にマッコウクジラは深海のダイオウイカなどを好んで捕食するため、普通に2000メートル、非公式ですが最大3000メートルの深海まで潜れるとされます。潜水艦との接触は、頻繁ではないにしろ、普通にあるんでしょうね。潜水艦のデザインが、マッコウクジラの影響を受けていますし。

■海軍の位置づけとメンツ■

さて。これでもし、中国の潜水艦が本当に接触し、それで何らかのダメージを受けて浮上できない状態に陥った場合。中国としては人命重視で救助に向かうのか、メンツ重視でなかったコトにするのか? もし後者なら、海軍内部の士気は、大幅に低下するでしょうね。潜水艦は、浮上できなければ死が確実に待っている危険な任務。いくら人命軽視の一党独裁国家とはいえ、軍部自体は各地でけっこう独立性が高いと言うか、軍閥の名残が残っていますしね。

中華海軍自体は歴史が浅いぶん、そこらへんの陸軍的な軍閥的性格は薄いのかもしれませんが。逆に言えば、それだけに一体感が高い組織の可能性もあります。中国は莫大な軍事費をつぎ込んで、急速に海軍力を挙げています。ウクライナから購入した空母遼寧と、その二番艦や三番艦を急速に建造していますが。残念ながら、海軍力に関しては原子力空母を中心とした空母打撃群を10艦隊も用意できるアメリカとは、まだまだ差が大きいです。それは、潜水艦にしてもそう。

■空母と潜水艦の現代戦■

現実問題、中華空母は日本のそうりゅう型潜水艦の良い的になるという指摘は、多々ありますし。航空機の性能に関しては、中華ステルス機は本物のステルス機であるF-22やF-35には遠く及ばないという見方。だいたい、F-15ですら公的には、撃墜されたことがないんですよね。それぐらい、彼我の差は大きいです。アメリカがこの100年間につぎ込んだ軍事費は桁違い、10年や20年では追いつけないでしょう。ガワだけ揃えても、運営のノウハウとか蓄積が必要ですから。

日本自体は、いずも型護衛艦にF-35Bが発着艦訓練を行い、強襲揚陸艦への脱皮が前身。まぁ、出雲型を開発する段階で、F-35Bの運用は織り込み済みだったんでしょうね。そうでないと、エレベーターの大きさが説明できませんし。これであと2隻いずも型か、あるいは最初から強襲揚陸艦としてワスプ級やアメリカ級を参考に、建造できれば。中国にとってはすぐには動けないアメリカの空母打撃群よりも、F-35Bの強襲揚陸艦打撃群のほうが、脅威でしょうし。

大手マスコミはあまり積極的にこの件を報じていませんが、推移を見守りたいです。

売文業者に投げ銭をしてみたい方は、ぜひどうぞ( ´ ▽ ` )ノ