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オードリー・タンの睡眠記憶法

◉ちょっと以前に話題になった、興味深い記事がありましたので、noteでも紹介を。台湾でデジタル相も務めた天才プログラマー、オードリー・タン(唐鳳)氏の睡眠記憶法について。と言っても、昭和の時代に流行った睡眠学習法とは、全然違いますので、ご注意を。

【オードリー・タン氏実践「睡眠記憶法」の超合理性 睡眠の効能を最大限活用する徹底した工夫】東洋経済オンライン

台湾のデジタル相も務めたオードリー・タン氏は、多忙な中でも8時間の睡眠を確保し、その睡眠を膨大な情報を処理し記憶する時間として活用しているそうです。同氏の実践する「睡眠記憶法」とはどのようなものか、約2年ぶりの最新刊『オードリー・タン 私はこう思考する』よりピックアップして解説します。
※本稿は『オードリー・タン 私はこう思考する』から一部抜粋・再構成したものです。

https://toyokeizai.net/articles/-/834434?display=b

ヘッダーはnoteのフォトギャラリーより、メイプル楓さんのイラストです。


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■ロングスリーパー?■

詳しくは、上記リンク先の全文を、ぜひお読みいただくとして。天才の真似をすると、凡人は往々にして失敗するものです。イチロー選手の振り子打法を真似ても、イチロー選手のような成績が残せるわけもなく。でも、世の中では有名選手の手法や道具を真似する人間は後を絶ちません。ただ、オードリー・タン氏の睡眠学習法は、かなり入りにかなった手法に思います。まず 十分な睡眠時間を日頃から取ることが大事で。日本人はすぐ、不眠不休で短期決戦的なことを、やりたがりますが。

毎朝7時に起きるオードリーが8時間の睡眠を確保するためには、前日の夜11時までに眠りにつかなくてはならない。さらに、眠る前と目覚めたあとには自分のためだけに過ごす時間が必要なので、毎日およそ10時にはベッドに入り眠る準備をしている。

8時間の睡眠の前後に、さらに1時間ずつの時間を取るのですから、合計10時間。一般に、1日9時間以上の睡眠を習慣としている人を、ロングスリーパー(長眠者)と呼びます。 かのアルベルト・アインシュタイン博士も、かなりのロングスリーパーだったようで。1日10時間も寝ていたそうで。ノーベル賞の小柴昌俊教授は11時間だそうですから、天才級はロングスリーパーが多いようで。でも、日本人はナポレオンがショートスリーパー だった話の方を、好みがちですね。

■具体的な記憶方法■

具体的な記憶方法は、リンク先に詳しく書かれていますので、重要ポイントだけ。前日の寝る前に30分かけて、資料を読み込むのがポイント。そして朝起きて、前日読んだ資料を、再度読む。寝る前と寝る後に、同じ資料を読むので、サンドイッチ方式。人間は寝ている間に記憶が整理されるので、寝る前に読んで、起きて反芻して、記憶に定着しなかった部分を、補完する感じですかね。なるほど、合理的な記憶方法に思います。ただし、オードリー・タン氏の場合は、そのスピードが尋常ではないように思います。

➂翌日に使用する大量の資料や書籍を30分かけて読む。小説ではなく、論文のように事実が整然と記された、知識を得るための文章が中心だ。1ページにつき2〜3秒のペースで読んでいくので、30分で600ページほど読み終える。読むべき資料が多い場合は1時間長く眠る。眠っている間に情報を消化し、翌朝目覚めたときには前の晩に読んだ資料をすべて記憶している。

普通の人間が読む速度では、ないですね。日本人の平均的な読書速度は、1分間に400~600文字程度です。年齢別だと、小学低学年で200~400文字、小学高学年で400~600文字、中学生だと500~700文字と平均的な数値に達し、 高校生だと600~800文字と、読字能力は高まります。難関高校の受験や大学入試では1分約1500文字が必要とされているため、平均読書速度の2倍以上に。ちなみに、自分も結構なナチュラル速読人間です。測定サイトで調べてみたら、1分間で3360文字という測定結果でした。ホルホルの実〜( ´ ▽ ` )ノ

https://www.sokunousokudoku.net/hakarukun/

■サンドイッチ記憶法■

でもオードリー・タン氏の場合は、ページあたりの文字数は分かりませんが、尋常ではない速読ですね。30分600ページなら、1分20ページ。A4レポート紙で800文字から1000文字と仮定するとたぶん、1分間に16000~20000文字級かもです。天才のこういう能力は、とても真似できません。それでも、就寝前に本を読み、起床後に読み返しというのは、凡人でもできる手法です。サンドイッチ記憶法の提唱者は、規則正しい時間帯の就寝と起床の大事さも、指摘されていますが。この年齢になってくると、規則正しい生活の重要さは本、当に痛感します。まぁ、ちゃんとできていませんが。

また、正しい時間帯に睡眠をとることも重要だ。石井は、記憶を増強するには夜10時に就寝し、朝5時半に起きるのが最適だとしている。彼が提唱する「サンドイッチ記憶法」は、寝る前の90分間に本を読み、夜10時に就寝、起きた直後の90分間で前日に暗記したことを復習する、という3つのステップを踏む。

オードリー・タン氏、明日の会議の議題に関する資料や研究論文などを大量に・高速で読み、逆に小説や詩集などはじっくりと噛みしめるように読む、と。ここら辺の情報はかなり重要で。小説まで速読してしまっては、味わいもクソもありませんね。また、タン氏は、詩文を好むようですね。ガッチリ理知的なプログラム言語を扱う人物が、情緒に訴えてくる詩文を好むというのは、読書のバランスというものを考える上でも、興味深い事例ですね。日本だと、詩文や小説や漫画は、無駄なものと切り捨てられがちですが。

■積極的傾聴法とは■

もうひとつ、オードリー・タン氏の積極的傾聴法(アクティブリスニング)という方法も、興味深いですね。相手の話を、邪魔せず聞く。簡単なようで、これがなかなか難しく。人間は話し上手であることよりも、聞き上手である方が、人生を豊かにしてくれます。極端な話、聞き上手であれば、話上手である必要さえ、ないのかもしれません。昭和の名人・古今亭志ん生の川柳に「話し下手 聞き上手に 助けられ」なんてものがあります。まぁ、表現者や政治家でもないと、話上手の能力はあまり必要ありませんけれどね。

誰かの話を聞いているときには心を完全に開放して聞く。100パーセントの意識を相手に向け、相手が話す内容を先回りして推測しない。最初は自分を制御するのが難しいかもしれない。ならば、まずは一定の時間を設定してみる。
10分間は話を邪魔しないことを相手に約束し、10分が過ぎたら聞いた内容を簡単にまとめて伝える。その間、相手にも話を邪魔しないようお願いする。伝え終わったら、自分のまとめが正しいかどうか相手に尋ねる。いわゆる「積極的傾聴法(アクティブリスニング)」と呼ばれるもので、訓練を通じて習得することができる。

これはある意味で、コミュニケーション能力を高める意味でも、重要な指摘ですね。相手の話を邪魔しない・相手の話を聞く・それをまとめる・相手に確認するの繰り返しは、認知能力を高める上で、とても大切です。専門学校生や大学生の講義で、取り入れても良い訓練方法に思いますね。二人一組で、自分の研究していることや課題を説明させ、それを相手側に聞かせる。相手から話をまとめてもらってフィードバックする、みたいな形で。MANZEMI講座でも、工夫して取り入れてみたいところです。


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喜多野土竜
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