『がんばれ同期ちゃん』Webアニメ化
◉書くのがすっかり遅くなってしまいましたが、色んな意味で興味深い話題ですので。後々、これがマイルストーンだったと振り返るかもしれませんので。本作『がんばれ同期ちゃん』はTwitterやpixivで発表され、書籍は現時点ではあくまでも同人誌の扱いです。つまり雑誌連載はもちろん、Web系雑誌の掲載さえ経ずして、アニメ化がなされるという、とても興味深い状況にあります。マンガ・雑誌・出版社・アニメスタジオを取り巻く状況の変化、ですね。
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■電子書籍革命■
雑誌は、自分が開け出しの編集者だった1993-97年ごろをピークに、バンバン潰れているのに、昨年は電子書籍の売上が巣ごもり景気もあってか、とんでもない伸長を見せ、ついに出版社全盛期の頃の売上を抜いてしまったほど。これが一過性のものなのか、今年以降も続くか、それはわかりませんが。日本どころか世界中で、それこそ離島だろうが限界集落だろうが、ネットに繋がりさえすれば買える電子書籍は、流通の形態さえ変えてしまいました。
昔は、出版社が流通を独占していたので、どんなに才能があろうとも出版社を通さない同人誌は、全国流通できませんでした。今は、都市部の専門店とAmazon、そして電子書籍でかなりの流通量を確保できますから。全国の書店に1万部を1冊ずつ配本するよりも、専門書店とAmazonで5万部を流通させせられる時代。実際、DMMの同人誌でも、数万部を売る作品が増え、売上が1億円を超える作品も、チラホラ出ていますからね。時代は変わりました。
■個人出版の可能性■
読者は作家に付いてるのであって、出版社についていません。ある程度の固定ファンが居る人は、個人で出版する時代の到来です。それで人気があれば、アニメ化もされる時代になった。これが大きいんです。地方に本拠地を置くP.A.WARAKSなど、地上波テレビにこだわらず、アニメ制作をするところも出てきましたし、Netflixによる日本でのアニメ人材確保の動きも、報じられています。
思うに、これまで、出版社やテレビ局に独占されていた、本の販売やアニメ化のルートが、崩れはじめたわけで。『がんばれ同期ちゃん』もアニメ化に併せて、なにかそういう旧来のルートと協力しあうのかもしれませんが。10%の印税に甘んじていたクリエイターが、主導権を握る時代が、ようやく来たんですかね? だとうれしいのですが。アメリカでは、人気作家は印税率38%まで主張することがあるそうですが。日本はまだまだ。
■作家の生き残り戦略■
もちろん、そういう人気作家が稼いだ分のおカネが、新人育成とか振り分けられていた訳ですが。もう、作家の側も、そこが限界になりつつありますからね。トッププロはともかく、中堅どころがカツカツになって、かなり苦しい状態ですし。であるならば、中の下から下層の作家は、自分で作品を発表し、自分で収益を確保する、苦肉の策が必要でしょう。サバイバルするには、作家も少しだけ勉強する必要がある時代。
そうなったとき、出版社は何を作家に提示できるのか? ますます、そこが問われるでしょうね。週刊少年ジャンプとか、一部の雑誌はともかく、ブランド力や売り属性もない雑誌は、どんどん淘汰されるでしょう。商売としては小粒になるけれど、全体としてはパイが大きくなる、そんな状態が理想です。ちなみに自分のほうでは、inDesignなどのテクニックを、希望する漫画家に伝授しはじめていますので。これからの10年が勝負かと。
どっとはらい( ´ ▽ ` )ノ
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