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オープンレター「再炎上」
◉オープンレター問題が、ここに来て再炎上しているのです。與那覇潤先生による、理詰めの検証が興味深かったので、noteでも紹介を。Twitterで「オープンレター陽性」という表現を見かけて、思わず苦笑してしまったのですが。なるほど、たしかにTwitterで問題発言をやらかした教授や准教授や講師が、検索するとオープンレター署名人である確率の異常な高さゆえ、こういう言葉が生まれるのは必然でしょう。そういう意味では、あの署名はとても有能であったと、そう思います。
【お子様学者たちのファミリーレストラン:オープンレター「再炎上」余禄】アゴラ
2021年4月4日に公開され、数々の批判を受けた後に22年の同日にネット上から当初の文面が削除された「オープンレター 女性差別的な文化を脱するために」が、再度の炎上を起こしている。
私としては21年のうちに論じ尽くしたこのオープンレターについて、これ以上言及するつもりはなかったが、明白な「事実誤認」を拡散する人々が現われているので、一次資料を添えて実証的にその誤りを正しておく。
ヘッダーはnoteのフォトギャラリーより、手紙のイラストです。Twitterらしいデザインですね。
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詳しくは上記リンク先を読んでいただきたいですし、サイトの末尾に與那覇潤先生による他の関連記事もリンクされていますから、興味がある方はどうぞ。この問題の発端から、その問題点も含めて、実に懇切丁寧にまとまっていて、その内容の面白さに思わず、與那覇潤先生の著書を買って応援したほど。初期からこうやって、オープンに批判していた方がいるのは、貴重です。うちでも、主要部分は下記に転載しておきますね。
【関連記事】
・「言い逃げ」的なネット文化を脱するために:呉座勇一氏の日文研「解職」訴訟から考える①
・「言い逃げ」的なネット文化を脱するために:呉座勇一氏の日文研「解職」訴訟から考える②
・嶋理人さんへの警鐘:呉座勇一氏の日文研「解職」訴訟から考える③
・専門家を名乗る学者が起こす「専門禍」:呉座勇一氏の日文研「解職」訴訟から考える④
・北村紗衣氏の「事実誤認」についての疑問:呉座勇一氏の日文研「解職」訴訟から考える⑤
・北村紗衣氏の「指摘」に応える:呉座勇一氏の日文研「解職」訴訟から考える⑥
・SNS言論人の典型北村紗衣氏を論ず:呉座勇一氏の日文研「解職」訴訟から考える⑦
・オープンレターがリンチになった日:呉座勇一氏の日文研「解職」訴訟から考える⑧
・オープンレターを書いたのは「誰」なのか:呉座勇一氏の日文研「解職」訴訟から考える⑨
・歴史学者はいかに過去を捏造するのか:呉座勇一氏の日文研「解職」訴訟から考える⑩
・キャンセル・カルチャーの論理と心理:呉座勇一氏の日文研「解職」訴訟から考える⑪
・まとめと論点整理:呉座勇一氏の日文研「解職」訴訟から考える⑫
・オープンレター・ディストピアを排す:呉座勇一氏の日文研「解職」訴訟から考える・完
自分はあのオープンレター、人文村の集団イジメに見えました。ここらへんは、與那覇潤先生も指摘されてる部分でしょう。もちろんTwitter上でも、多くが指摘するところです。そもそもあの署名、1300人を超える署名があったのに、弁護士で署名しているのは、分かっている範囲でたった1人。法律の専門家は、あの内容のヤバさを自覚していたのでしょう。そして平裕介弁護士は、あのオープンレターの構造的な問題について、非常に的確な指摘をされていらっしゃいました。
オープンレターは巧妙な装置にもなる
— 平 裕介 (@YusukeTaira) August 19, 2022
例えば①前半に実名で特定私人のネガティブな情報を、②中盤に理念的で抽象的な長文を、③最後に書簡の形式的な目的を書く。この場合、一番注目されるのは①で、他は比較的読まれない。この読者の傾向を利用し、①の個人を社会からキャンセルする機能を発動させる
特に権威のある私人ら複数名が呼びかけ人となり、例えば数百名、千名を超えるような署名者をSNS等で集め、集団で連署の書簡をネット上に公表すれば、①に記載された特定の私人1名を適正な法的手続を経ずに「潰す」ことが可能となる。このような社会運動は法治国家・法化社会において妥当ではないだろう
— 平 裕介 (@YusukeTaira) August 19, 2022
この手法によるキャンセルカルチャーの巧妙なところは、①前半の特定私人のネガティブ実名情報は、あくまでも②の話と関連する一現象、一例にすぎないとか、①を責めている趣旨ではなく、むしろ変われる機会を作ってあげたのに、などと言う。そしてレターの目的はあくまで③なのだ!と反論するわけです
— 平 裕介 (@YusukeTaira) August 19, 2022
ポイントはまず、②を長文にしておく必要がある。そして、その形式的な趣旨は、誤解を招かないとか、①の私人攻撃の趣旨にとられぬように、慎重に筆を運んだ、というもの。しかし、実質的な目的として、一般人/専門外の人には比較的読み難いアカデミックで難しい内容として読めなくすることも一応可能
— 平 裕介 (@YusukeTaira) August 19, 2022
このように、工夫次第で、③の形式的な【目的】の達成というよりも、むしろ、①の実名を挙げた特定の私人1名の表現の自由、学問の自由などを行使する「場」を奪う【機能】を有するものとするレターを公表することができる。このような一種の悪用可能な社会運動を少なくとも研究者は支持すべきではない
— 平 裕介 (@YusukeTaira) August 19, 2022
これ、実は朝日新聞の天声人語などでも見られる、手法なんですよね。一種の指桑罵槐なんですが、読者を巧妙に誘導する詐術。詐術と言ったら言い過ぎと言うなら、文章術と言い換えますが。巧言令色鮮し仁の類の、文章術ですけどね。この件の中心人物である某准教授(名前を口にしてはいけない)は、内容証明を送った・送らないの話で、非常に奇妙な日本語の文章を描かれていました。あれも、詳細がわかってから見ると、法的にアウトになる部分は巧妙に避けた結果、時系列や主体が不明な、奇妙な文章になっただけで。弁護士のアドバイザーが付いてるんだろうなと、邪推します。でも、署名はしない?
>> オープンレターは解職を要求するものではないですし、そのような話は一言も出ていません
— 小山(狂) (@akihiro_koyama) August 23, 2022
これは普通に嘘ですね。オープンレター本文には「中傷や差別を楽しむ者と同じ場では仕事をしないという積極的な選択もありうる」とはっきり書いてあります。https://t.co/3PLPbpI5uM pic.twitter.com/vUHo57ydk3
まぁ、こういうツッコミも入っていますが。呉座先生の裁判とか、どうなってるかわかりませんので、自分は色んな意見の紹介と主観的な感想にとどめて、推移を見守ります。オープンレターは死体蹴り、あるいは教授や准教授という立場で助教という弱い立場を狙い撃ちにした、イジメみたいだなぁと。個人の感想です。以下に、與那覇潤先生の著作で、オススメのものを上げておきますので、興味がある方はどうぞm(_ _)m
どっとはらい( ´ ▽ ` )ノ
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