新型HondaJetの可能性
◉新型のHondaJetの話題が、上がっています。2021年に発表されたHondaJet 2600 Conceptを踏襲する感じで、現行機のHondaJet Eliteよりも一回り大きくなり、8人乗りから最大11人乗りになるらしいです。これはパイロットを含めての人数ですから、乗客は9~10人のようですが、3人の増加は大きいですね。初代のHondaJetは7人乗りでしたし、一歩ずつ着実に、ですね。自動車産業は将来的に途上国が参入してきますから、航空産業や宇宙産業は、日本が開拓すべき新らしいフロンティアですから。
ヘッダーはWikipediaのフォトギャラリーより、初代HondaJetの写真です。
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■千里の道も一歩から■
小型ジェット機カテゴリーでの出荷数で、2017年から5年連続で世界一を達成しているHondaJetですが。小さく狭いカテゴリーでの世界一じゃないかと、貶める人がいます。そうでしょうか? 三菱のMRJの失敗を見るに、自分のできるところから、堅実に始めたHONDAの戦略は、間違っていなかったと思います。それは、自転車にエンジンを付けただけのバイクメーカーから、世界的な企業にまで成長したHONDAらしい、戦略だと思います。小さな成功の積み重ねの先に、大きな成功もあると思うんですよね。
7人乗りが8人乗りになり、11人乗りになる。その先に、20人乗りとか次のステップがあるんですよね。ちなみに、ビジネスジェットのライヴァルである、ボンバルディア・エアロスペースのLearjet 45が11人乗りで、Learjet 60が12人乗りですから、まずはこことの勝負。Bombardier Challenger 600が21人乗りですから、将来的にはここらへんを目指していくでしょう。その先に、MRJが目指した69~88席ぐらいのリージョナルジェットも見えてくるでしょう。
■アメリカ横断への道■
そもそも、飛行機って先行投資が莫大ですから。2015年から運用が始まったHondaJetですが、利益が出るのはけっこう時間がかかります。ホンダエアクラフトカンパニーの藤野社長がかつて「5年を目安に単年度黒字のラインには乗っている」と語っていましたから、5年連続で世界一を達成しても、ようやく去年ぐらいから黒字になって、利益が出ている感じでしょうか? 利益が出て、継ぎの新機種開発との、バトンタッチのタイミングは難しいのでしょうけれど。新機種の型式証明を2028年に取得する予定ですから、5年刻みなんでしょうね。
新機種で重要なのは、西海岸の大都市ロサンゼルスと東海岸の大都市ニューヨークの間を、燃料補給無しでカバーできる2625マイル(約4862km)の航続距離でしょう。残念ながら、狭い日本国内ではビジネスジェットの需要はあまりないので、日本の20倍以上の国土面積のアメリカなどが主要な市場。HondaJetからすれば、ここで、ノンストップでアメリカ横断できるってのは、ビジネス的にもひとつの到達点。ちなみに、沖縄県庁から北海道町までの直線距離は、2200キロちょっと。初代の航続距離が2265キロだそうですから、日本はすでにカバーしてるんですね。
■大西洋横断への挑戦■
ところで、かのチャールズ・リンドバーグが大西洋横断で飛んだ距離は、飛行距離5810キロとのこと。翼よあれがパリの灯だと、リンドバーグはパリまで飛んだのですが。ニューヨークとロンドンだと約5500キロ。次の目標は、この距離を飛べる航続性能ですかね。さらに言えば、ロサンゼルスとホノルルの距離は4945キロで、東京とハワイの直線距離は約6600キロでとのこと。東京からロサンゼルスまでは直線距離でも8000キロ以上。そう考えると、ジャンボジェット機などにHONDAが進出するとしても、それはずいぶん先のことに思えます。
戦前から政商であり、軍用機の開発でノウハウも実績もあった三菱が、民間機では進出に失敗したのは、とても象徴的。確かに政治と結びつくと、豊富な開発資金が得られますが、紐付きとなりますし、会社としての理念とかないと、目先の金に振り回されるわけで。HONDAも、今のところは順調ですが、大ポカもあり得るわけで。でも、やっぱり本田宗一郎と藤沢武夫の、その理念に感動した身としては、暖かく見守りたいですね。もし、スティーブ・ジョブズが存命なら、HondaJetを購入したでしょうし、応援したでしょうから。
どっとはらい( ´ ▽ ` )ノ