IBMが2nmプロセス半導体を発表
◉あらあら、さすがはかつてはビッグ・ブルーと呼ばれたコンピュータ業界の巨人IBMですね。いきなり、2nmプロセスの半導体を発表ですか。今はスパコンなどの事業に注力していますが、さすがに老舗ですね。研究開発力や知的財産の保有数は、未だにトップクラスですから。AppleのM1チップが5nmプロセスですから、一気に半分以下です。コレでますますIntelは、株主から吊し上げられそうです。
【IBM、世界初となる2nmプロセス。バッテリ寿命4倍に】PC Watch
IBMは5月6日(現地時間)、世界初となる2nmプロセスで製造された半導体を発表した。
同社のナノシート技術を利用することで、高度な半導体スケーリングを可能にしたとしており、爪のサイズに最大500億個のトランジスタを搭載できるようになる。現在最先端の7nmノードのチップと比較して、45%高い性能と、75%低い消費電力を達成できるという。
これにより、スマートフォンのバッテリ寿命が4倍となるほか、全世界のエネルギー消費量の1%を占めるデータセンターの二酸化炭素排出量の低減、アプリケーション処理の高速化やラップトップの高速化、自動運転車の物体検出と反応時間の短縮などに貢献できる。
スマートフォンのバッテリー寿命が4倍というのは、スゴいですね。時代は、完全にスマートフォンの需要にシフトしていて、重厚長大のスパコンなどの研究開発のIBMも、そっちに重点を置くとは。
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■PowerPC時代の思い出■
IBMのPowerPCは、高性能でした。特に、PowerPCのG5の登場は衝撃的でした。何しろモトローラ社のMac用開発が、滞っていましたから。イヤもちろん、G4だってスゴかったんですけどね。それまでのG3に比較して、ベロシティエンジンの搭載で、iTunesのエンコードやPhotoshopの特定の操作が、爆速になっていましたからね。でも、G5は一気にレベルアップでしたからねぇ。メニーコアにも期待が膨らみましたし。
でも、スティーブ・ジョブズはデスクトップ型パソコンからノート型パソコンの時代に移り変わると、予見していましたから。あの時代、Appleが欲したのは低消費電力・低発熱のCPUでした。コレはバッテリー消費時間に直結しますから。しかし、AppleはIntel移行と同時期に、自社でのCPU設計に踏み出していたのですから、スゴいです。ARM系のCPUに賭けたのも、よい選択でしたが……まさかのIBM再浮上!
■Macへの搭載はあるのか?■
いうまでもなく、MacOSやそこから派生したiOSなどは、CPUに依存しないOS。だからこそ、モトローラ社やIBM製のPowerPCでもIntel製のx86系でもARM系のCPUでも、対応できるのですが。ということは、このIBM製のCPUでも対応可能ということですよね? いやぁ、その可能性はないとは言い切れません。PowerPCでは縁が切れたIBMとAppleですが、ソフトウェア開発では蜜月ですし。
自分は、Appleはひょっとしたらハイエンドのデスクトップ向けのCPUは現状維持か、AMDへの移行もあるかと思ったのですが。コレは、場合によってはIBMとの再接近もありそうです。M1チップなどは、台湾のTSMC社が3nmプロセスへの移行は発表していますが、そこさえ超えてきましたし。ちなみに、物理的な限界として、1nmプロセスが限度のようです。あくまでも現行の技術ですが。
■低消費電力CPU戦国時代に突入■
スマホのバッテリー消費時間が4倍とか、1日1回の充電の人なら、これが4日に1回になるわけで。さほど使い倒さない人なら、週1回の充電でも大丈夫そう。こうなると、ノート型パソコンの方だって、大幅なバッテリー消費時間改善が期待できます。素晴らしいです。もちろん、AppleはAppleで、独自設計の強みがあるので、単純に採用とは行かないでしょうけれど。
ただコレで、M1チップなどの受注先が、台湾のTSMC社やSamsung以外にも、選択肢ができたわけで。iPhone・iPad・Mac・Apple Watchに加え、AirPods系も成長が期待できるAppleですから、ここから受注できれば、IBMもメリットは大きいでしょうね。しかし、コレで王者Intelは、どう動くのか? かつては低消費電力・低発熱のCPUで業界をリードしていたのに。今後の動きが楽しみです。
どっとはらい( ´ ▽ ` )ノ