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藤波辰爾さんのトレーニング

◉今年の12月で古希になる藤波辰爾さん。自分らの世代は『藤波辰巳』表記のほうがしっくり来ますが。若い頃はまさにマッチョ・ドラゴンで、筋肉質なボディに精悍なマスク、ドラゴン・ロケットなどのルチャ・リブレ殺法も使えば、カール・ゴッチ仕込みの正統派レスリングもできる、アメリカンレスリングもできる、万能型でしたね。で、ドラゴン・スープレックスやドラゴン・スクリューなど、オリジナルの技も豊富と、日本のレスラーの、ひとつの理想形を示した方です。

【マッチョドラゴンのトレーニング事情【70歳を迎えるレジェンドの肉体/藤波辰爾#2】】ヴィタップ

職業、プロレスラー。デビューは1971年の5月9日。強靭な肉体が売りの過酷な世界で、半世紀以上もリングに立ち続ける男がいる。藤波辰爾、69歳——。12月28日に古希を迎えるリビングレジェンドの、50余年にも及ぶトレーニングライフを振り返る。

https://vitup.jp/20230630_fujinami-02/

ヘッダーはnoteのフォトギャラリーより、藤波辰爾で検索したら出てきました、ありがたいですね。

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■ストロングスタイルの証■

社長業には向いていませんでしたが、プロレスラーとしては、ほんと昭和最後のジェンドですね。多くのレスラーが、新日本プロレスは藤波さんがいたからこそ、名勝負が生まれたと指摘されていますね。体格的には、ジャンボ鶴田選手や前田日明選手ほど恵まれていませんでしたが、ディック・マードック選手のアメリカンスタイルとも併せられるし、チャボ・ゲレロ選手とのルチャも絶品、長州力選手との名勝負数え唄も、藤波さんの受けの上手さがアレばこそ。前田日明さんも、そこは絶賛されていましたね。

この肉体、マスク、切れ、人気が出ないはずがないというか。カール・ゴッチの遺伝子として、やはりジャーマン・スープレックス・ホールドをできるかどうかってのは、新日本プロレス・ストロングスタイルの正統の証。それを、フルネルソンから決める度胸。今は、猫も杓子もジャーマンを放ちますが、ドラゴン・スープレックスはスープレックス系の最後の切り札として、その地位を保っていますね。今見ても、この角度はヤバいと。カルロス・ホセ・エストラーダ選手の高い受け身の技術があってこそ、ですが。

■ジュニアヘビーの開拓者■

各種ドラゴン殺法も、実にキレッキレ。というか、藤波さんがいたから、ジュニアヘビーの価値が上がったんですよね。ダイナマイト・キッドも、元は藤波さんのライバルでしたから。佐山聡選手のタイガーマスクも、藤波さんがジュニアヘビーの地ならしを終えてたからこそですしね。立って良し、寝て良し、飛んで良し。格闘技経験がないまま、日本プロレスに入門されたわけで、ある意味で純正培養された、日本プロレス界の最高傑作なのかもしれません。馬場さんのアメリカン・スタイルも猪木さんのストロング・スタイルもこなせる、オールラウンダー。

自分の記憶の中では、背面跳び付き式のハイアングル・ジャパニーズ・レッグロール・クラッチの記憶があるのですが。カール・ゴッチさんが開発した技で、伝授された猪木さんが、ゴッチさんからピンフォールを奪った技でした。でも、猪木さんやゴッチさんのそれは、よっこいしょという感じなんですよね。それに対して、藤波さんのこのスピード感。ジュニアヘビーならではの魅力です。タイガーマスクのインパクトが大きかったですが、ジュニアヘビーはまさに、藤波さんが銭の取れるコンテンツにしたんですよね。アメリカでもメキシコでも、そりゃあドル箱の人気選手になります。

■日本人対決を確立した男■

さらにいえば、日本人対決を客が呼べるコンテンツにしたのも、藤波さん。もちろん、元祖は力道山対木村政彦ですし、アントニオ猪木さんも大木金太郎さんやストロング小林戦で、名勝負を繰り広げましたが。あれは、本当にビッグマッチの切り札。シリーズを通しての目玉にしたのは、長州力選手との絡みがあってこそ。逆サソリ固めや雪崩式ブレーンバスターなど、定番のムーブもできましたし。また、長州力選手への藤原喜明選手のテロで、UWFへと繋がる流れができたわけですから。藤波さんがいなければ、大量離脱後は倒産していたかもしれません。

前田日明さんも、やはりカール・ゴッチ道場の先輩として、リスペクトが伝わりますね。8ヶ月ってのは、藤原喜明さんの半年より長く、ある意味で最もゴッチさんの近くでトレーニングした人です。他の格闘技経験がないので、ほんとうの意味でストロングスタイルの継承者。ただ、器用だったので、誰とでも合わせられるという意味では、UWFスタイルとはイメージが違いますが。でも、UWFスタイルに、誰よりも合わせることができた訳で。歳とともに、再評価されるのも当然でしょう。

ほんと、無理せず藤波さんが続けたいだけ、現役を続けてほしいです。

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