エネルギー関連:核融合炉・地熱・アンモニア
◉あまり人気はないですが、エネルギー関連の話題をいくつか まとめて。量子科学技術研究開発機構が、核融合実験炉の、運転開始記念式典を開いたとのこと。式には日欧の関係者に加え盛山正仁文部科学相や高市早苗内閣府特命担当相が参加と、かなり力を入れていますね。トカマク型としては、世界最大クラスですから、政府の核融合への期待が伺い知れますね。
ヘッダーはnoteのフォトギャラリーより、風力発電の風車の写真です。
◉…▲▼▲▽△▽▲▼▲▽△▽▲▼▲…◉
■Eavor-Loop地熱発電■
核融合発電に関してはやはり、アメリカの研究がかなり先行していて、そこはノーベル賞級の科学者がゴロゴロいて、研究予算も潤沢ですから仕方がないですね。それでも日本はかなり頑張っている方ではないでしょうか。とはいえ、発電に関してはいろんな方法がありますから。
火山国の日本では、地熱発電への期待もありますが、調べてみるとなかなか厳しい現実が浮き上がってきます。地熱発電は思ったほど高温の温泉は少なく、そういう温泉はほとんど人気の温泉街。地熱発電所建設で湯量の減少の懸念があります。またボーリング調査をするだけでも莫大な費用がかかってしまい、しかも 建設した後のメンテナンスも大変。ただ、Eavor-Loop地熱発電は興味深い方式です。
カナダのエネルギー企業Eaver TechnologiesのEavor-Loopは画期的な地熱発電ソリューションなんだそうで。2本の垂直杭と複数の水平杭を接続して、この中を作動流体=淡水を循環させるシステム。昔、あさりよしとう先生のまんがサイエンスで、似たシステムを見た記憶が。地上から高圧の水分を送り込んで岩盤を破砕し、人工的に地熱貯留層を創り出すという、高温岩体発電ですが。
Eavor-Loop地熱発電は、さらに洗練されていますね。水平杭は熱回収機の役割で、熱水を汲み上げることなく地上に熱を伝えることができるシステム。これならばメンテナンスの問題がだいぶ軽減できますし、湯量の枯渇で温泉観光地との対立も避けられます。ボーリング調査に莫大な費用がかかるのは相変わらずですが、火山地帯でうまく狙い撃ちして、設置できれば面白そうですね。
■ガレージに収まる核融合炉■
こちらもまた興味深い、小型の核融合炉の研究です。まだ大型の核融合の自体が、まだ実験炉の段階であって。商用実証炉が建設されて商業ベースに入っていない時点で、すでに小型の核融合炉の研究が進んでいるというのも、不思議な感じですが。こういう研究は、前記のトカマク型のような大型の核融合炉の研究と、セットですからね。ビジネスチャンスを考えるならば、先行しておくに越したことはありませんから。
出力自体は大したことはないんですが、大きさが コンパクトですから。ガレージに入る大きさ というのは、さすがに驚きですが。これがうまく実用化できれば、うちの田舎のような過疎地だと、数千世帯の電力が賄えるだけで、かなりの範囲がカバーできてしまいますね。人口数万人の地方都市ならば、数基あればカバーできてしまうレベル。そうなると地産地消で、送電ロスがかなり軽減できますから。エネルギーの流通革命がおきますね。
安全性が高い第4世代炉の高温ガス炉は、出力自体は 第3世代炉の30%程度ですが、ロケーションを選ばないという利点があります。第3世代炉は古くて硬い岩盤と冷却用の水を必要としますが、第4世代炉はそれが不要。なので1都道府県に1基と地産地消に向いているのですが。小型核融合 ならば1町村に1基のレベルですね。
■アンモニア専焼バーナー■
さて、このnoteではおなじみの、アンモニア関連。アンモニアと言うと、化学肥料の原料にもなる、非常に重要な物資ですが。NH3で表せるように1個の窒素原子(N)と3個の水素原子(H)からできていますから。火力発電で燃やそうと思えば、燃えるんですよね。火力は弱く消えやすい、という欠点はありますが。なので 石炭などと混ぜて燃やす混焼が研究されているのですが。専燃バーナーの研究も進んでいるようです。
アンモニア自体は、ハーバーボッシュ法で簡単に合成できるようになり、これで化学肥料が大量に供給できるようになり、食料問題にも大きく貢献したのですが。ハーバーボッシュ法だと、高温かつ高圧状態で合成されるのですが。日本では常温での合成研究も盛んで、アンモニアはいろんな意味で有望な燃料の一つです。
そもそも、水素キャリアとしても、優秀な存在ですからね。石炭と混焼してもいいし、専焼もできて、水素キャリアでもあり、化学肥料の原料にもなる。アンモニア自体は、古代エジプトでも存在が知られているほどの、ありふれた存在ですが。ありふれた存在だからこそ使い勝手も応用範囲も広いということで。個人的には色々と調べると、ワクワクする研究が出てきますね。今後もできるだけ紹介したいです。
気に入った方は、サポートで投げ銭をお願いします。あるいは、拙著をお買い上げくださいませ。どっとはらい( ´ ▽ ` )ノ
売文業者に投げ銭をしてみたい方は、ぜひどうぞ( ´ ▽ ` )ノ